習慣3. 静寂を楽しむ
いしかわ:会話が苦手な人からはよく、「沈黙が怖い」と聞きます。私もインタビューをするとき、口数が極端に少ない人との会話が一番難しかったです。「私とはあまり話したくないのかな?」と不安になったりもしました。
ただ、人によって話すテンポがゆっくりな人もいるし、話す前に考える時間が必要な人もいる。そう思えるようになってからは、「いろんな人がいるから、無理に間を埋めなくて良いのかも」と考えるようになりました。
沈黙は決して悪いことではありません。沈黙を怖がらず、ぜひ静寂を楽しんでみてほしいです。
習慣4. 観察してリズムをあわせる
いしかわ: 相手の反応をきちんと見ることも大切です。
私も以前は人のことをあまり見ていなかったので、相手の会話にかぶせて話したり、相手が上を見て考えているときに質問をしてしまったり……うまく会話ができませんでした。
小説などの文章には気持ちや描写が書いてありますが、リアルな会話では相手の反応を表情や身振り手振り、声色などからくみ取らなくてはいけません。
聞くというのは文字通り「耳を傾ける」だけでなく、目で見て、肌で感じて、相手にリズムをあわせるものだと思っています。相手を観察してリズムを合わせられるようになると、お互いに心地よい会話ができるようになるのではないでしょうか。
習慣5. ミーハーになる
いしかわ:これは私の持論なのですが、物知りな人はいろんな引き出しをもっているので、話すのだけでなく聞くのもうまいんです。
たとえば、映画の話をしていて、相手が「タイムリープものが好き」と言ってきたら、「じゃあクリストファー・ノーラン監督とか好きそうですね」と、知識があれば会話を広げることができますよね。
どの情報から取り入れていけばいいかわからない人は、まずは話題になっているものに熱中して“ミーハー”になってみると良いと思います。
世の中でブームになっているときに、斜に構えずにいち早く見たり聴いたり感じたりすると、知識が増えるだけでなく「あのときすごい流行ったよね」「感動したよね」と共感できる。
そうやって、流行りのものから取り入れていくことで、話し手だけでなく聞き手としての力も上がるはずです。
今からできる!少し意識するだけで気づく“自分の癖”
ーいしかわさんが日頃から意識している「聞く習慣」ですが、どれから始めればいいかわからない人は、まず何をすれば良いですか?
いしかわ:今からでも始められる方法が1つあります。それは、徹底的に聞き手になるのを意識すること。
「たったそれだけ?」と思う方もいるかもしれませんが、これが意外と難しいんですよ。会話をしていて自分が話したくなってもグッとこらえて、相手の話に耳を傾けてみてください。
そうすると、思ったよりも自分が話していたことや、相手の話を全然聞いていなかったことに気づかされるかもしれません。
その方法を試すときは、一緒に話していると楽しいと感じる人とやってほしいです。
楽しいと感じるのは、おそらく相手が聞き上手だから。みなさんが一緒にいて楽しいと思う人と話すときに聞き手になってみると、「いつもこんな良い角度で質問してくれてたんだ」「私が話すの8割で、この子は2割くらいだ」など、様々な気づきがあると思います。
ー最後に、コミュニケーションや会話に悩むU29世代の方々へメッセージをお願いします。
いしかわ:実は私、いまだにコミュニケーションが得意ではありません。だから「コミュ障でも大丈夫」だと伝えたい。
心理学者のアドラーは「すべての喜びは人間関係である」と語っています。人が嬉しいと感じるのは人と関わったとき。そんな「人と関わるのって楽しい!」と思う瞬間は、誰にでも必ずくるはずです。
人見知りの人も、コミュ障の人も、自分で頑張って話さなくても良い。だから、聞く力を磨いていきましょうと伝えたいです。
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今回お話を伺ったいしかわさんは『聞く習慣』をはじめ、『書く習慣〜自分と人生が変わるいちばん大切な文章力〜』や『ポンコツなわたしで、生きていく。〜ゆるふわ思考で、ほどよく働きほどよく暮らす〜』なども出版されています。
そのほか、書く+aのスキルを学ぶスクール「Marble(マーブル)」の運営・講師もしているので、ライティングスキルやインタビュー・編集・広報スキルを身につけたい、いしかわさんと直接お話がしたいと思う方はぜひサイトをのぞいてみてください。
聞く習慣 〜自分と人生が変わるいちばん大切な会話力(著:いしかわゆき)
元コミュ障インタビューライターが教える、「興味を持てない相手」ともうまく話すためのコツ! |