様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第133回のゲストは現役大学生であり、粂井塾を起業された粂井龍三さんです。高校2年生の時に、得意であった家事での起業をされた粂井さん。起業のきっかけから粂井塾で開催されている家事講座について、お話を伺いました。
お手伝いの意味を教える家事講座
ーまずは簡単な自己紹介をお願いします。
2017年11月、高校2年生の時に粂井塾を立ち上げました、粂井龍三です。現在は慶應義塾大学法学部政治学科の学生でもあります。
ー粂井塾とはどのような塾なのですか。
小学生・中学生を対象とした家事講座を開催しています。塾という名前ではありますが、毎日通うような塾ではなく基本的には単発の講座です。私自身が平日は学業に専念しているため、講座は週末に開催しています。コロナ以前はこの家事講座を月3~4回、自宅や学校の教室などを使用して開催していましたが、現在は全てオンラインに切り替えています。
ー家事講座とは具体的にどのような講座なのでしょうか。
お手伝いをする意味や家事のやり方を学べる講座になっています。具体的に教えている家事としてはお片付けと洗濯物の畳み方を教えています。
ーなぜその2つなのですか。
家に帰った時にすぐに実践してもらえるのがこの2つだと思ったからです。家には必ずどこか片付いていない箇所があるかと思いますし、洗濯は毎日のようにされているご家庭が多いです。いずれも小さい子供さんでもはじめられる比較的簡単な家事であることも理由のひとつです。
ー家事講座は初めて聞きましたが、需要があるのですね…!
そうですね。親御さんからは「お手伝いの意味を子供に教えて欲しい」や「子供のなんで?に答えて欲しい」という要望をいただくことが多いです。現役大学生が起業し、開催している講座ということで、子供の視野を広げたいという目的で申し込みいただく場合もあります。
また、地方自治体からご依頼をいただき、学校で講座を開催することや保護者向けに子供目線で見た子育てに関する講演を行うこともあります。
やりたいことをやり続けた中高生活
ーそんな粂井さんの過去についても教えてください。どんな小学生でしたか。
サッカー好きの小学生でした。姉が中学受験に合格していたのを見たこともあり、小学4年の頃から塾に通い中学受験を目指していました。結局、成績が思ったほど伸びなかったことと、サッカーをやる時間が減るのが嫌だったこともあり中学受験はしませんでしたが…
「好きなことをやりなさい」と言ってくれる自由放任主義な両親だったこともあり、やりたいことをやらせてもらっていましたね。
ー中学生活はどのように過ごされたのでしょうか。
応援団長をしたり、合唱コンクールのピアノ伴奏者をやったりと何かと目立つことをやっていた、やんちゃな中学生でした。また、中学受験リベンジの意味も込めて中学1年から塾にも通っていました。勉強は相変わらず嫌いだったのですが塾に仲の良い友人たちがいたので辞めることなく続けることができました。
特に行きたい高校があった訳ではなかったのですが、附属高校に進学できれば大学受験がない分、自分のやりたいことに時間を使うことができると思い慶應大学の附属高校を受験しました。
ーそして無事高校受験に合格されたんですね。
はい。校則が厳しくなく、自由度の高い高校だったこともあり楽しい3年間を送ることができました。姉がアメリカ留学で変わったのを見たことがきっかけで私自身も高校で約9ヶ月のアメリカ留学を経験しました。
ーアメリカに留学されていたんですね!留学生活はいかがでしたか。
シアトル郊外にある公立高校に通ったのですが、英語が得意ではなかったので留学直後は周りの人が何を言っているのか全く分からず苦労しました。
個人的にアメリカでは褒める文化が浸透しているのが素敵だなと思いました。表現方法がストレートで、気持ちを直接伝える文化は日本とは違うかったので印象的でした。また、アメリカでは個人が尊重され、オンリーワンであることを大切にした教育が行われているということも留学で体感することができました。
家事は生きる力を育む手段の1つ
ーたくさんの収穫がある留学生活だったんですね。帰国後、粂井塾をはじめられたのですか。
いいえ、実は起業したのは留学前になります。留学中は活動を中止していましたが、帰国後再び事業を再開させました。
起業のきっかけは留学前に高校生向けサマーキャンプHLABに参加し、全国から集まった高校生に刺激を受けたからです。何で起業するか初めは全く決まっていなかったのですが、人前で話すことが好き・子供が好き・家事が得意だったので家事講座を開いてみようと思ったんです。
ーそうだったのですね。家事が得意というのはかなり変わっているかと思いますが、意識したきっかけは何だったのですか。
自由放任主義な家庭で育ったという話をしましたが、唯一、お手伝いにだけは厳しかったんです。「勉強はしなくてもいいけれど、お手伝いはしろ」と育てられました。そのため小さい頃からお手伝いの当番表があり、毎日のようにお手伝いをしていました。できるだけ早くお手伝いを終わらせようと思い、工夫して効率よく片付けや掃除をしてきたこともあり家事が得意だという自負があったんです。
ーなるほど…幼少期からお手伝いをされてきた粂井さんですが、家事を教えるようになって家事に対する思いは変わりましたか。
家事は生きる力を育む手段の1つと思い、家事講座を行っていますが、改めて家事のすごさを実感しています。家事をすることで子供の自立を促すこと以外にも、子供の自己肯定感が高まったり、子供が率先してお手伝いすることで家族の仲が良くなったりすることもわかりました。
ー良いこと尽くしということですね!
はい。今はコロナもありオフラインでの講座ができていませんが、やっぱりオンラインではなく実際に集まって講座をやりたいという気持ちが強くあります。
今後もお金儲けではなく次世代の生きる力を育むことを目的に、たくさん講座を開いていきたいです!