次の目標は愛媛の旅商人!日本一周の旅での出会いと学び。

色々なキャリアの人たちが集まり、これまでのキャリアや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。本日は1年間の旅生活を終えたばかりの宮土良太さんにお話をお伺いしました。

大学4年生の時から日本一周をしたいと思っていたものの、まずは社会人経験を積むべく地元の印刷会社に就職された宮土さん。ユニークなミッションを掲げて行った日本一周であった出会いや客観的に見た愛媛の感想、今後の展望についてお話いただきました。

気になるヒッチハイクのコツや日本一周にかかった費用についても教えていただきましたので今後日本一周を検討されている方は必見です!

 

就職するもギャップを感じ、退職を決意

ー日本一周の旅から戻ってきたと言うことでお疲れ様でした!

ありがとうございます。沖縄・本州・北海道と1県1週間くらいのペースで1年かけて回ってきました。最後の四国というタイミングでコロナの影響が大きくなってきたので電車等を使い1週間くらいで急いでまわらないといけなかったのが少し心残りですが、無事全都道府県行くことができてよかったです!

ーそうだったんですね!日本一周する前は地元で働いていたとのことですが元々日本一周はずっとやりたかったことだったんですか?

大学を卒業してからは3年間、地元愛媛の印刷会社で働いていましたが日本一周は大学4年の時からやりたいと思っていたことでした。でも社会勉強をした方がいいかなと思ったことと、お金を貯める必要があったのでまずは就職を選びました。

ーなぜその中でも地元の印刷会社を選ばれたんですか?

印刷会社であればいろんな職種の方に出会えるかなと思ったからです。また地元愛が強かったので地元で自分の力を活かしたいなとも思っていました。

ー実際就職してみてどうでしたか?

いろんな企業・職種の方とは出会えましたが、それ以外の面では結構ギャップがありました。営業として働いていたのですが土日に仕事が入ることもあり、週末にしたいと思っていたボランティア活動等もあまりできませんでした。自分がやりたいことと仕事があまり結びついていないなと思うことが正直多かったです。

それでも、お客様が必要としているチラシやポストが何かをヒアリングし、それをデザイナーさんにデザインしてもらい、完成したら印刷して納品するという過程で学んだヒアリング力やコミュニケーション能力は日本一周の旅でも生かされたなと思います。

ーそして3年で退職を決められたんですね。

はい。特に大きなきっかけが3年目にあった訳ではありませんでした。日本一周もたくさんある選択肢の中に一つでしかありませんでしたが、「客観的な愛媛を見たい」という目的を達成するのに日本一周が良い手段だと思いました。

愛媛の防災を考える学生団体を設立

ーそもそも日本一周をしたいと思うまでの過程について聞かせてください。どのような高校生活・大学生活を送られていたんでしょうか?

高校時代は自分の本心を伝えるのがとても苦手な高校生でした。2年生で文理選択をする時も、本当は理系に進みたかったのに、先生に文系にしなさいと言われて文系に進むことになりました。数学が唯一の得意科目だったのに、文系に進んでしまったことはその後とても後悔したこととして今でも覚えています。

3年生になって一般入試で大学受験をする際も、もう少しで同じ後悔をするところでした。その時も英語・国語・数学で受験しようと思っていましたが、先生に英語・国語・社会での受験を勧められて…社会にしようとかとも思ったんですが、文理選択で後悔したことを思い出してきちんと先生に自分の気持ちを伝えて数学で受験ができました。

やりたいと思ったことや、自分の思ったことをきちんと言葉にして伝えることがとても大事だなと思ったので今でもそれは大事にしています。丸め込まれずにやりたいことをやっていきたいですね。

ーその結果、地元の松山大学に進学されたんですね。大学生活はどうでしたか?

大学では3年の時に愛媛の防災を考える学生団体を設立しました。その団体では減災事業部と魅力発信部の2つの事業を行い、2年間活動しました。減災事業部では愛媛の若者が防災や減災に関することを考えるワークショップ等を実施、魅力発信部では郷土料理教室などを開催しました。

大学入学後に東日本大震災後からはじまった東北に桜を植えようというプロジェクトをされている方とお会いする機会がありました。その際に東北にボランティアに来てくれるのは嬉しいけどまずは自分の街について考えてみてほしいと言われたことがとても記憶に残っていので、愛媛の防災について考える場を作ろうと思いました。また自分自身がその後東北に行った際に、減災のことを学んだ以上にその地元の文化や出会った人のことが印象に残りました。なので何年後かにみんなにも東北を訪れて欲しいという意味を込めて魅力発信部という事業を作りました。

ー学生団体を設立してみてどうでしたか?

やってよかったです。自分の思いや意見を発言し、実行したことによって応援してくれる仲間をたくさん見つけられることができました。また大学入学時は両親が銀行で働いていたのもあり、漠然と自分も将来は銀行員になるのかなと思っていました。それがこの活動を通して実現したいと思うことに真剣に取り組む人達に出会い、これから自分が何をしたいか、どのような社会人になりたいか等について考えるようになりました。

愛媛県民に出会うまで次に進めない日本一周の旅

ー日本一周は手段でしかなかったとのことですが、客観的な愛媛を見たいと思った理由は何だったんですか?

生まれてから26年間ずっと愛媛で過ごしてきましたが、大学に入学してから県外の人と出会うことが増えました。その中で自分が日常だと思っていたことが他県では当たり前ではないことがわかりました。ずっと住んでいたことで愛媛の良いところや悪いところが正直わからなくなってきたので一度外にでて客観的な愛媛を見てみたいと思ったんです。

ーなるほど。実際に客観的な愛媛をみることはできましたか?

はい。例えば愛媛は海と山が結構近いのでそれが当たり前だと思っていましたが、海しかない、あるいは山しかない県もたくさんありました。また愛媛の海はかなり穏やかなので、海といえば穏やかというイメージを持っていましたが、日本一周をして自分のイメージと違った海をたくさん見る機会がありました。

他にも、都心部・地方で人柄が違うとよく言われますが、愛媛と東北の人の人柄も全然違いました。東北の方は愛媛の人と比べて警戒心が高く初めて会った時は距離を感じます。その代わり仲良くなりだすと一気に距離が縮まります。愛媛の人は最初から距離が近い人が多いのでそこはびっくりしました。

ーそれは面白いですね。旅の中で設けられていたマイルールも面白いですね。

ありがとうございます!これは何かミッションがあった方が面白いかなと思い、訪れた県で愛媛県民に出会うまでは次の県に進めないというマイルールを決めました。ただ、難易度はかなり高いミッションでした。愛媛から1泊2日で行けるくらいの距離の地域には比較的いるんですが、東に行けば行くほど自然と愛媛県出身の方は少なく…最長は秋田県だったんですが、愛媛出身の方を見つけるのに10日かかりました。

ーその時はどうやって愛媛県民の方を見つけられたんですか?

ヒッチハイクで乗せてくださった方に愛媛県民の人を探していると伝えたところ大仙市のラジオ局で働く知り合いの方につなげていただき、ラジオに急遽出演させてもらうことができました。しかしラジオで宣伝させていただいたものの愛媛県民に出会うことができず困っていたらラジオ局の方に秋田市のラジオ局に愛媛出身のアナウンサーがいるからと紹介していただき、無事お会いすることができました。ちょうど秋田市のラジオ局で街づくりに関するラジオ番組をされていたので、その1ヶ月後には新潟からそのラジオ番組にも出演させていただくという素敵なご縁もありました。

どの県でも地元のゲストハウスやカフェにお邪魔して、地元の人と話してみなさんに協力してもらうことが多かったです。

ーその他記憶に残っている出会いはありましたか?

北海道で最北端の宗谷岬でヒッチハイクをした所、酪農家のおじいさんに乗せていただいたのですが奥さんがまさかの愛媛県出身で地元が一緒だったことですかね。あとは三重県で乗せてもらった方が石川県在住のご夫婦で、半年後に石川県に行った際に連絡をしたら覚えてくださっていてご飯を御馳走になりました。

愛媛の旅商人を目指して。

ーヒッチハイクでの出会いがやはり多いんですね。ヒッチハイクはそんなに簡単にできるのなんですか?

移動手段の8割くらいはヒッチハイクでしたが、ヒッチハイクにもコツがあります。大切なのは①事前の情報収集、②立つ場所、③目的地の書き方、④一般道路で行う、の4点です。

まずは行きたい方面に行く車が多そうな道を事前に調べておくことです。たくさん車が通る道でも自分の目的地に行く予定の車が通らないと意味がないので。

次に、車が止まりやすい場所に立つこと。乗せたくても車を止めるスペースがない所だと他の車の迷惑になるのでスルーされてしまうことが多いです。また、スピードが出しにくい場所に立つことも大事ですね。

ヒッチハイクをする際に目的地を書いたボードを見せると思いますが、その目的地も最終目的地ではなく現時点から30分くらいの途中の街を書くのがベストです。遠い街だとそこまで行く予定の車が少ないですし、初めてヒッチハイクを乗せる人も近距離だとハードルが低くなり乗せてくれることが多いです。

最後は高速を使わず、一般道路で行うこと。高速道路を使用する車は急いでいることが多いです。また高速道路を走るトラックの多くは会社から事故があった時に保険がおりなくなる関係からヒッチハイクを禁止されていることが多いです。逆に一般道を走っている車は時間に余裕がある方が多いので乗せてくれる確率が高くなります。

ーヒッチハイクも戦略的に行う必要があるんですね…!ちなみに日本一周はどれくらいお金はかかるんですか?

ヒッチハイクをどれくらい駆使するかや宿代にどれくらいかけるかで大きく変わってくると思います。車で日本一周などの場合は車中泊もできるのでお金をかけずに旅することができます。

私の場合は3年間で200万円程貯金していました。ヒッチハイクはよくやっていましたが、ゲストハウスなどに泊まることが多かったのでそれくらいかかってしまいましたね。それでも200万円以上の価値はあったと思います。

ー旅の経験や出会いはお金には変えがたいものですよね。日本一周の経験を活かして、これからやりたいことなどは決まっていますか?

自分が旅商人となり、愛媛のPRを全国でしていきたいと思っています。食べ物に限らず、愛媛にいろんな人に訪れてもらえるようなきっかけ作りをやっていきたいです。やはり愛媛の魅力は実際に来てもらわないと分からない部分もあると思うので、愛媛に行きたいと思ってもらえるきっかけをいろんな場で作りたいと思っています。

ただ、今はできることも制限されている状況なのでまずはこの1年間程で地元の人々に出会い、愛媛についてもっと勉強したいと思います。コロナでいろいろなことがオンライン化されていますが、文字や画像だけでは伝えられないこともたくさんあります。なのでコロナが収束したら旅商人として人に直接会って愛媛の魅力を伝えたいです。

ー地元愛が溢れていて素敵ですね。いつか愛媛公認の旅商人になられるのを期待しています!

取材:西村創一朗(Twitter
執筆:松本佳恋(ブログ/Twitter