自分で自分を好きになること。Crankle西村薫が考える「等身大の教育」とは

やりたいことが押しつぶされず、ありのままでいれるように

ー西村さんのお話を聞き、「主体性」というのがひとつのキーワードのように感じました。ただ、なかなか主体的になれない方もいると思うので、アドバイスがあればお聞かせください。

自分から動けるかどうかは、自分のことを信頼できているかどうかだと思っていて。行動するよりまず、自分を好きになることが根底にあると良いなと思います。

私が高校生の頃も常に監督の目があって評価が下っていたので、「自分から動くのが怖い」「悪い評価をもらうくらいなら何も評価されない方がいい」と思っていました。ただ、他人の目を気にしすぎると苦しいと思うので、自分を信じて自分の思う尺度で生きることができたら良いですよね。

あと、主体性って自分の意思で動くことなので、何もしないのも主体性のひとつだと思っていて。バリバリ頑張ることが主体的であるわけではなく、休みたいときは休む、ゆっくりしたいときはゆっくりするというのも、立派な主体的な行動だと思います。

ー自分で自分を好きになるためのコツはありますか?

自分だけの経験をどんどん増やして、それを大切にすること。私も今自分に自信がもてているのは、自分だけの経験を言語化して、今の自分につなげているからです。過去が自分を支えてくれている感覚がありますね。

ーこれまでの人生を振り返って、改めて大事にされている価値観は何ですか?

ありのままでいる、等身大でいるということを、自分にもそうだし、誰に対しても大切にしています。

ー西村さんの今後の展望についてお聞かせください。

公教育を良くしていきたいという想いがありますが、教育はとても大きなシステムで変えていくのは難しい。教育に対して自分なりのビジョンがあっても、教育現場に入ると自分のやりたいことが実現できない。

教育に熱い人ほど教育から離れていってしまうという現状が、私の周りでも結構あると感じたので、みんなで集まって「教育がこうなったら良いよね」と語って実践できる場を作りたいと思っています。

また、一番大きなゴールは大きなフリースクールを作ることです。不登校の子たちが面白い学びを得られる場所であり、教育を離れようとしている先生たちが、自分のカラーを消すことなく、思う存分発揮できる。そんな場を作りたいです。

ー今は在学中ですが、今後どのように動かれるのでしょうか。

来年から大学院生になり、全国のフリースクールを回る旅をしようと思っています。いろんなところを見に行って、何を大切に子どもたちと関わっているのか、どんな風に学校を作るのか勉強していきたいです。

ー最後に、29歳以下の同世代の方々へアドバイスをお願いします。

自分のやりたいと思ったことが押しつぶされないよう、自分で自分を大切にして、そのやりたいことに素直に向かっていってほしいです。そんな社会を私も作っていけるよう、今後も活動を続けていきます。

ー本日はありがとうございました。いつか西村さんが理想のフリースクールを作り、ゆくゆくは公教育も変えていけるのではと、期待が膨らみますね。西村さんの今後のご活躍を心よりお祈りしています。

取材:戸田光(Twitter
執筆:もりはる(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter