挑戦者の未来を紡ぐサポートを。ベンチャーキャピタル広報 下平江莉

挑戦者と社会をつなぎ、ストーリーを未来へ紡ぐサポートを

ー留学から帰ってきてからは、どのように過ごしましたか?

留学に行く前に、希望していた会社に無事内定をいただいていたので、帰国したらあっという間に社会人生活の準備が始まりました。

また、職種はインターンシップや学外活動を通して「広報」という職業に興味をもち始めていました。

ー広報に興味をもち始めたきっかけについて、もう少し詳しくお聞かせください。

まず、様々な活動の中で、広報の役割を任せていただくことが多かったことが興味をもった最初のきっかけでした。

また、missJaponやKIMONO PROJECT、ラジオパーソナリティのなどの活動を通して、自分の活動や考えを発信する機会が増えたことも興味をもち始めたきっかけのひとつです。

他にも、大学で様々な他国の海外文化を学んでいく中で、多様性をもって中立的に物事を捉えるようになっていたことや、グローバルリーダー相互育成プログラムで、経済、IT、教育、地域など多様な視点で考える機会が多くあったことなどもあり、ものごとを多角的に見るようになりました。

その中で、自分や自分たちが何をしたいのか、どう伝えるのが良いのかを考えるようになりました。他にも、これまで様々な場面で「あなたは何者で、将来何をしたいのか」と聞かれる機会がとても多くあり、自分の経験や考え、目標などをどんなふうにつむぎ、どんな物語(ストーリー)にして伝えると伝えたいことがしっかり伝わるのか、より魅力的に伝わるのかを考える機会が人一倍多くありました。

そして、その考え方はまさに、社会のトレンドや経済状況がどういう状況にあり、その中で自社や自社サービス、創業者や社員をどのように魅力的に、適切に伝えるかを考える広報の仕事と通じるところがあるのかもしれないと思い、さらに興味をもち始めました。

元ルイ・ヴィトン ジャパンPRディレクターの方が「広報の仕事は、湧き出る好奇心で世界をみつめてそこから拾い上げた魅力をストーリーテラーとして伝えることが大切で、それがなければ広報PRは務まりません」とおっしゃっているのですが、まさにこれこそが私が追求したい力だと思いました。

ー就職活動をする中で、迷いはありませんでしたか?

もちろん迷うこともありましたが、迷っていたからこそ、今まで興味のなかった業界のインターンシップにもあえて積極的に参加してみたり、自分が何に興味があるのか、または興味がないと思うのであればそれはなぜなのかを認識してみたりすることで迷いを減らしていました。

その中で、自分が本当に夢中になれるものは何なのかを見つけていこうと思っていました。

ー新卒で広報担当として働いてみて、いかがでしたか?

最初はメールの書き方もビジネスルールもまったくわからないような状況から始まったので、自分の知識、経験不足をとても痛感し、苦労することも多くありました。

しかし、今となっては、先輩方の背中を見ながらたくさんのこと学ばせていただく貴重な経験をさせていただいたと思っていますし、大変だった新卒時代があったからこそ、ちょっとの壁ではあきらめないガッツや、自分で全部完璧にしようするのではなく、頼れるところは周りの人を頼ったり、巻き込んで仕事をしていく大切さなど、様々なことを学ぶことができたと思っています。

ーその後、ベンチャーキャピタルの広報に移られたとのことですが、新卒の頃と現在のお仕事を比べて、変化があればお聞かせください。

ベンチャーキャピタルの広報の仕事は、そもそも業界として、特に日本ではまだまだ開拓フェーズにある仕事であるからこそ、日々試行錯誤しながら自身で様々な企画や支援策を考えて実行していく機会がかなり多いです。

ここはまさに、スタートアップと同じく「zero to one」のフェーズから創り上げていく状況からの始まりでした。

他に大きく変わったところでいうと、これまでは近しい業界・分野の複数の社内スタートアップの広報を担当していたところが、自社のファンドや活動の広報と共に、投資先の広報支援の活動が増え、かなり幅広い業界や分野、サービスなどを見るようになったことはとても大きな変化でした。

また、現在国内・海外含めて200社以上の投資先があるのですが、トレンドの移り変わるスピードも一段と早く、まだ未開拓な市場を創っていくようなシード・アーリーのスタートアップをメインに投資しているファンドなので、知識や情報のキャッチアップの量はかなり増えました。

あとは、海外の支社や投資先との連携やお仕事が増えたのも大きく変わったことのひとつです。

ー今回ご自身の過去を振り返ってみて、いかがでしたか?

私が大切にしている言葉のひとつに「意志あるところに、道は開ける」という言葉があるのですが、ただ機会が降ってくることを待つだけでく、まずは少しの一歩からでもいいから行動してみることがとても大切であること。そして、行動したことで人生が大きく変化したことを、振り返ってみて改めて感じました。

そして、その過程の軌跡の中での様々な学びや、たくさんの人たちとの出会いによって成長させてもらえていることに感謝をしながら、これからも一歩ずつ、意志をもって道を進めていけたらいいなと思いました。

ー今現在、道に迷っている方に向けてメッセージをいただきたいです。

熱中するものや、したいことが見つからないというときは誰にでもあると思うので、まずは、自分が興味があることはなにか、そうでないものはなにか、それはなんでなのかを一度振り返ってみると、自分が本当はしてみたかったことや興味のあることが見えてくるきっかけになるかもしれません。

または、「自分はこれをする」「これについては誰よりも詳しくなる」といったように、選択肢を決めてから、そこに自分を熱中させにいくというのもひとつの手だと思います。

「小さいことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道だ」とイチロー選手が言っているように、一足飛びには上手くいかなかったとしても、まずは目の前にあることへの努力を惜しまず継続していくことで、段々と面白みが増して見えてくるようになるのだと思います。

ー最後に、下平さんの今後の展望を教えてください。

これからも自分自身の湧き出る好奇心で世界を見つめて、そこから拾い上げた魅力をストーリーテラーとして伝える力を鍛え続けていきたいです。

また、その力を鍛え続けることで挑戦者と社会をつなぎ、そのストーリーを未来へ紡ぐサポートをしていけたらと思っています。

また、個人としては、これからも様々な人達や物事から多くのことを学びながら、自分も還元できるように、成長し、人間力を磨いていきたいです。

ー現在の下平さんは、これまでの様々な経験や出会いによって形成されていることがとても伝わりました。ベンチャーキャピタルの広報担当者としての道を極めていく下平さんの、今後のご活躍が楽しみですね!本日はありがとうございました。

取材:山本佳奈(Twitter
執筆:もりはる(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter