ヲタク兼プロデューサー。両方の顔を持つ武本英里香がコンテンツにかける想いとは

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第277回となる今回は、コンテンツプロデューサーの武本英里香さん(通称もてぃさん(@mtmtchiii))。SNSキャラクターのプロデューサーとして活躍する傍ら、「推しは推せるうちに推す」をモットーにヲタク活動にも熱を入れている武本さんに、プロデューサーになった経緯や「推す」ことが人生に与えた影響など、これまでの歩みを伺いました。

推しに少しでも近づこうと、スポーツライターを志す

ー本日はよろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いします。

SNSコンテンツのプロデューサーをしている武本英里香です。「推しは推せるうちに推す」をモットーにBiSH(WACK所属アイドル)や紗倉まなさんをはじめとしたアイドルヲタクもしています。

ー「推しは推せるうちに推す」というのは、どういうことなのでしょうか。

アイドルは思いがけないタイミングで引退・解散、活動休止をしてしまうことも多く、最後に会えるのがいつになるかわかりません。また、わたしが推している紗倉まなさんはAV女優さんで、体が資本のお仕事なので、推しにいつ何があっても後悔しないよう、活動している間はちゃんと応援しようという意味で、この言葉をモットーにしています。
ちなみに、わたしがアイドルを好きになるときは、アイドルという仕事にかける「覚悟」に惚れ込むことが多いためか、ありがたいことに推しが引退したりしたことはまだありません笑

ー武本さんの初めての推しは誰でしたか?

初めての推しは元プロ野球選手の高橋由伸さんで、初恋の人でもあります。そのころは、文房具や下敷き、ガラケーに貼るシールまでを高橋選手にし、右か左か選べと言われたら、高橋選手のポジションであるライト=右を選ぶように決めていて、さらに高橋選手がきっかけでソフトボールを始めるほどに大好きな存在だったので、気づけばあだ名が「由伸」の時期もありました笑

また、高橋選手はわたしの進路選択にも影響を与えていて、高橋選手に少しでも近づきたい一心で中学生の時にスポーツライターになることを決めました。日本でスポーツメディアを学べる大学が2校しかなく、そのうちの一つである立命館大学に行くために立命館大学の附属高校に入学したんです。

 

挑戦できる環境を求めて方針転換!人材業界へ飛び込む

ー新卒では人材会社に入社されたということですが、進路変更の背景には何があったんでしょうか。

大学入学後は、「体育会の部活を取材する部活」で大学生選手たちへの取材活動をしていました。その一環で、読売ジャイアンツに入団する同級生の取材していたところ、なんと高橋選手に接触することに成功したんです。スポーツライターを志したきっかけは由伸選手の存在あってのものだったので、その夢が達成できたのは喜ばしいことなのですが、冷静に考えたときに、「高橋選手は既婚で、さらに現役も引退している。どうしてスポーツライターを目指すんだっけ・・・」と思ってしまって。その頃から、スポーツライターを目指すことに疑問を感じるようになりました。

また、父をはじめとして私の家系には経営者が多く、さらに高校から私立学校に通わせてもらっていた責任感もあり、自分はちゃんとしたサラリーマンにならなくちゃいけないんだという意識がありました。そのためどういった進路を選択するかで葛藤がありましたが、最終的に新しい挑戦をするという意味で「新規事業に携われる環境」を軸に企業を探し、そのチャンスが巡って来やすい人材業界の会社に就職しました。

ー入社後はどのように新規事業に携わっていたのでしょうか?

入社した会社は新規事業の開発に熱心な会社で、社内のビジネスコンテストがあったり、上司にも新規事業への熱意をぶつけやすい環境でした。1年目はビジネスコンテストに参加するも敗退、2年目は新規事業人材に選ばれ、医療系ベンチャーに出向して経験を積み、そして3年目に役員に当てた企画が通り、新規事業責任者として事業開発に取り組めることになったんです。

ー3年目で見事企画が通った要因はなんだったのでしょうか?

1年目に提案した案は、全国の遊園地を年間パスで通えるサービスを作ろうという内容でした。この提案が落ちてしまった原因は、会社の持っている強みやリソースを生かした企画ではなかったことだったんです。そこで、翌年からは会社の強みをフルで生かすことを意識して事業を組み立て、3年目でタレントプールという将来の採用候補者に自社のファンになってもらうための採用ツールの開発を提案したところ企画が通り、事業化が決まりました。

ー目標だった新規事業開発に携わってみて、結果はいかがでしたか?

実は、実際に携わったのはわたしが提案した企画とは別の新規事業でした。というのも、いざ開発しようとなると、エンジニアスキルなど専門的スキルがないわたしには企画の実現可能性がわからず、また会社としてもタレントプールは「取り組んだ方がいい」ものではあるものの、「絶対必要」なものではなく、事業を開発する上で「誰のどんな課題を解決したいのか」があまりハマっていなかったんです。

そんな時に会社の方針が転換し、3・4年目は在留外国人をターゲットにした「在留カード」の管理ツールの開発に携わっていました。

 

創作活動への興味から、コンテンツプロデューサーへ転身

ーその後、武本さんは現在の会社に転職されますよね。転職を決めた理由はなんだったのでしょうか。

幼い頃から持っていた「創作活動への興味」がきっかけになります。わたしが転職したのはクリエイターの創作活動を支える会社なのですが、実はわたし自身も小学生の時から小説を書いたりと、創作活動というものに興味があって。そんな背景もあり、作ることに携わる人たちへのリスペクトが非常に強く、彼らの創作活動を支えたり、その可能性を広げることに関心がありました。
わたしはそれまでプロデューサー職を経験したことはありませんでしたが、「人の熱量を動かしたい」という思いで転職を決め、現在はオリジナルキャラクターの開発やディレクション・SNS運用などを通してコンテンツとファンの熱量の橋渡しをする仕事をしています。

ー生み出したキャラクターをファンの方に推してもらうために、プロデューサーとして意識していることはなんですか?

これは私の持論ですが、アイドル・キャラクター問わず自分の推しを「推し続ける」というのはすごく難しいことだと思うんです。というのも、わたし自身、推しとのコミュニケーションが一方通行になっている状態に寂しいと感じることもありました。だからこそ、わたしはプロデューサーとしてファンの方たちと熱量を共有できる機会を作り、その橋渡しをすることが役割だと考え、企画・運営に取り組んでいます。

ー推し続けてもらうために、これまでどんな工夫をされてきたのでしょうか?

「自分だったらどういう企画が嬉しいか」「自分ならどういうときにテンションが上がるか」を考え、月に1つはビッグニュースを作るなど、イベントやニュースを絶やさないようにしています。また、「インスタグラムの投稿に対して、この時間でコメントくれたらリプを返します」などと、SNSを通してファンの方とインタラクティブにコミュニケーションを取る工夫をしています。

 

「プロデューサー」と「ヲタク」二足のわらじで人生を楽しむ 

ーご自身の経験が仕事をする上でも武器になっているんですね!逆に、武本さんが推しを長く推し続けるために意識していることはありますか?

これは先程の話と少し矛盾しているようですが、わたし自身は推しの情報をあえて追い続けないようにしているんです。以前は、推しのTwitter投稿通知をオンにして、誰よりも早くいいねする・誰よりも早くリプライするような推し方をしていたのですが、そういうことをしているうちに、他のファンに嫉妬したり比べたりして辛くなってきてしまって。そこで、一時期あえて活動を追い続けない期間を作ってみたところ、次のイベントで会えた時の嬉しさが倍増し、「それで良いんだ」と思えるようになりました。
ヲタクは長距離走なので、推しを推し続けるためにも、良い距離感を見つけるように意識しています。

ーちなみに、推しが複数人いる場合、推しへの熱量が分散することはないのでしょうか?

推しが増えることによって、熱量が上がったり下がったりすることはあると思います。が、推しが複数いると自分の中での平穏が保たれるんです。例えが正しいかわかりませんが、彼氏や彼女がいない時に3人くらいとLINEをしていると心の平穏が保たれるあのイメージです!笑
推しが複数いると推しへの愛が活力になり続けるので、推し増しはおすすめです!

ー過去には、進路選択で高橋由伸さんに影響を受けたとのことですが、他にも推しから影響を受けていることはありますか?

振り返ってみると、紗倉まなさんやBiSH、GANG PARADEをはじめ、推しから影響を受けたことは多々あるように思います。

例えば、BiSHにはチッチ(セントチヒロ・チッチさんの愛称)という歌がうまいメンバーがいるのですが、歌唱力で注目されるのはいつもアイナ・ジ・エンドという別のメンバーなんです。チッチは負けず嫌いなので、その状況を乗り越えるために自分の良さを磨き、自分の見せ方を研究して努力していて。その姿を見て、わたしも「自分の勝ち方」というものを考えるようになりました。

ー「自分の勝ち方」を考えることは大事ですね。そういう意味では武本さんはTwitterを積極的に活用されていますよね。何か意識していることはありますか?

呟くことが癖のようになっているので、発信する上で特に意識していることはありません。でも学生の時からツイートしなかった日は一日もありません。毎日呟いてます笑
しかし、フォロワーがまだ50人くらいだった頃はフォロワーが全員ヲタクだったこともあり、くだらないことばかりツイートしていたのですが、次第に関わってくださる方が増えてきて、前のようにはいかなくなっていて。そのため、最近は公序良俗にだけは気をつけて発信しています笑
ただ、推しの生誕祭の日はツイートやリツイートが増えるので、フォロワーがごっそり離れていってしまいます笑

また、アイドルに関するつぶやきを見てくださっていた方から、アイドルへのインタビューの仕事を依頼してもらったこともあります。仕事でアイドルに会いに行けるなんて、こんな幸せな仕事があるかと思いながらライバーやアイドルにインタビューをしていました。好きなことを発信しているうちに、そういう風にチャンスが広がったことは嬉しいです!ただ、緊張のあまりインタビューの時はいつも以上に声が低くなってしまいました笑

ーSNSを通じて新しいチャンスをゲットしたんですね!武本さんの2021年の目標を教えてください。

わたしは「人の熱量」を大切にしていきたいと思っているので、仕事ではファンの方々たちの熱量が常に右肩上がりになるよう運営していきたいと思います。
またヲタクとしては、推しを黙って推し続けていきたいなと思っています。実は先日、紗倉まなさんとの未来をタロットで占ってもらったんです。その結果が「あなたの推しはまさに新しいことに挑戦したいと思っていて、その挑戦は全てうまくいく。だから、あなたは黙って推しなさい」という内容で。そのため、今年は占いの通り、自分の中の熱量を大切にしながら長く応援していきたいと思います。

ー最後に、U29世代にメッセージをお願いします!

キャリアでは自分と周りを比べてしまう辛さを経験する方も多いと思いますが、わたしは自分と他人を比較することをやめたところ、楽になることが増えました。皆さんも周りと比較せず、自分自身の選択を考えてみると良いのかなと思います!

ーありがとうございます!もてぃさんの今後のご活躍を期待しています!

取材者:エルモ(Twitter)
執筆者:青砥杏奈 (Facebook)
デザイナー:五十嵐有沙(Twitter)