アクセサリーとバナナでサスティナブル!?楽しく社会課題を解決する北川桃子の歩み

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第262回目のゲストは、現役女子大生兼アクセサリーアーティストの北川桃子(きたがわももこ)さんです。

現在上智大学に通う現役女子大生でありながら、アクセサリーブランド「omo comogomo(オモコモゴモ)」の製作・販売や、フードロス削減を目指した「大人なバナナプロジェクト」での活動、企業でのインターンなどを行なう北川さん。

多忙な日々でありながら、楽しくて仕方がないと語る北川さんのバイタリティに溢れた姿に迫ります!

「好き」に忠実になるきっかけを得たアメリカ生活

 

ーまずは簡単に自己紹介をお願いします。

上智大学4年の北川桃子です。現在はサスティナビリティを軸に、アクセサリーブランドを立ち上げて制作販売をしたり、フードロスを削減する活動をしてイベントを開催したりしています。

ほかにも理想の生活を提案するメディア「ネクストウィークエンド」のインターンにも参加中です。

ー多岐にわたって活動されているんですね。アクセサリーブランドとフードロスの活動の概要を教えてください。

アクセサリーブランドの名前は、「omo comogomo(おもこもごも)」といいます。様々な「思い」が「こもごもと混じり合う」という意味で名付けました。

テーマは、「自然を想うアクセサリー」。マイクロプラスチックという海の汚染や生物への影響が確認されている物質や旅先で見つけたビーズなどを用いてアクセサリーを作っています。ただ可愛いだけではなく、手にした人が環境や自然について考えるきっかけとなるアクセサリー作りをしているんです。

フードロスについては、「大人なバナナプロジェクト」という学生団体を立ち上げ3人のメンバーで活動しています。

バナナは日本で一番消費されている果物であるにもかかわらず、一番捨てられている果物なんです。茶色くなって変化が目に見えやすいので、変色後消費者が手に取らなくなります。その結果、店も店頭に置かずに捨ててしまう悲しいサイクルが起きていて。

茶色くなったバナナも食べられるので、「大人なバナナ」と可愛らしい名前を付け、甘さや栄養などのポジティブな面を発信して消費者の選択を変えられるよう活動しています。

ー強い思いをもって活動されているのが伝わります!幼少期はどのような子供だったのでしょうか?

小学3年生の頃から3年間、両親の仕事の都合でアメリカに住んでいました。そこで性格や人との接し方が変わりましたね。

通った学校が日本人が一人もいない現地校で。最初は不安で仕方がありませんでしたが、気付けば自分の考えを英語で話せるようになっていました。また、個性を尊重する文化のおかげで、自分の好きなことに忠実に生きられるようにもなりました。

小さい頃から物作りが好きだったので、現地ではアートスクールに通ったり、手芸屋さんに行ったりして過ごすことが多かったです。

 

ー日本に帰ってからの学校生活はどのようなものでしたか?

日本の勉強はもちろん、「人との調和を最重視する文化」に適応するのが大変でした。

英語の授業は得意だったので、率先して挙手していたら目立ちたがり屋だと思われてしまったことがありました。授業の受け方にも文化のちがいがあり、なかなか慣れませんでしたが、様々な経験を通して空気を読むようになりました。

食の研究を突き詰める高校時代

ーその後、高校に入って最初のターニングポイントが授業でのテーマ研究プログラムだと伺っていますが、詳しく教えてください。

「飽食と飢餓」をテーマに研究しました。

食への関心は小さな頃から強くて。8歳頃に死にかけるような大きな病気をし、2週間くらい何も食べることができなくなったことをきっかけに食への関心が高まり、研究テーマを「食」に絞りました。

調べると、飢餓やフードロスなど食にまつわる問題はたくさんありました。中でも自分の心に響いたのが飢餓問題でした。身近な飽食問題と、最も関心をもった飢餓問題について研究しようと思いました。

ー問題解決に向けて自分が無力だと感じたようですが、その理由は?

論文の最後に自分の考えやできることを書くのですが、解決策として書けたのが「寄付」と「人に知ってもらうこと」だけだったんです。

「どうにか現状を良くしたい」という思いがあるにも関わらず、現地に行って支援をするほどの勇気はありませんでした。自分にできることの小ささに悔しさを覚えました。

一方で、環境問題解決のためには「1人の100歩より100人の1歩」が大切だと言われていて。高校時代の自分にアドバイスしてあげられるのなら、身近な人に知ってもらい、行動の変化に繋がることで、社会の変化が生まれると伝えてあげたいです。

消費の中で気付くサスティナビリティの大切さ

 

ー大学生になってからは、人と物との関係性が薄れていると感じたようですが、そのように感じた経緯はなんでしょうか?

自分で使えるお金が増えれば増えるほど、「今捨ててもまた買えるから」と物を大切に扱わなくなっていたことに気付きました。

対して、祖母に作ってもらった巾着や自分好みのアイテムは当時も使い続けていて。そこで、人にもらったり、物と自分との間にストーリーがあったりする物は何年経っても自分を幸せにしてくれると気付いたんです。

ー物を消費することが当たり前になりすぎていて、違和感を感じない人も多いと思いますが、どのようなきっかけで違和感に気付けたのですか?

高校時代のテーマ研究をきっかけに、食だけでなく物の消費についても関心を持ち始めました。

その中で、日本は物に溢れており物質的に豊かであるにも関わらず、なぜ幸福度が低いと言われているのか疑問を持ったことがきっかけです。

ーその後、スウェーデンに留学されたようですが、行ってみてどのようなことを学びましたか?

自分の小さな行動や選択で社会は変わることを学びました。

サスティナビリティを学ぶ授業では、他の留学生の知識や行動力に圧倒されましたね。「自分たちの力で社会を変えるぞ」という熱量を強く感じ、刺激を受ける中で課外イベントやフードロス削減活動に参加し、気付けば考えを行動に移すようになっていました。

実際にスーパーに行って廃棄予定の食材を集める活動などを行ない、自分にも小さな変化を起こすことができることを学びました。

ー留学時、サスティナビリティと物作りの矛盾を感じたと伺っていますが、なぜでしょうか?

サスティナビリティについて学ぶ中で、物を生み出すことはエネルギーや資源を使うため、生み出した時点で環境によいことがないと気付いたんです。

物を作ることと、環境へ配慮することを両立させるのは難しいと思い、初めて自分が発信していることと行なっていることの矛盾を感じました。

ーそれでも物作りを続けようと思った理由は?

大人なバナナプロジェクトの活動を通じて、様々な人に出会い、相談させてもらう中で、

「確かに何かを生み出すことは環境に負荷を与えてしまう。でも、作ったアクセサリーを通して、誰かが環境問題について知り、行動の変化に繋がるのならば、全体としてプラスの影響をもたらすことができるのではないかと言われたことがあって。

その言葉に背中を押されました。

ーなるほど。プロジェクトでは「楽しく社会課題を解決する」のがコンセプトだと伺っていますが、最初から楽しく活動されていたのでしょうか?

はい!ずっと楽しいですね!

互いの個性を掛け合わせることによって生まれた新しいアイデアを実行していくのは本当にワクワクします。

また、「サスティナビリティ」というキーワードを通して、様々な分野で活躍されている方々やサポートしてくださる皆様と繋がる楽しさも感じています。

ー活動を発信する中で心掛けていることはありますか?

私たちが今感じている楽しさをそのまま発信することですね。

フードロスや環境問題というと大きくて堅い印象を受けがちですが、ポジティブに解決出来る部分もあることを伝えたいです。

あとは、身近な提案も大切だと感じています。フードロス削減についても、茶色いバナナを買うことは明日からでもできることで、実現不可能な理想ではないと思うんです。身近な提案や等身大の部分を大切にしています。

ー最後に、今後の北川さんの展望とU-29世代へのメッセージをお聞かせください。

捨てられていたり、眠っていたりする素材を見つけ出し、omo comogomoのアクセサリーにアップサイクルしていきたいです。

何でも最初の一歩を踏み出すのは勇気がいることだと思いますが、自分の想いを誰かに話してみたり、明日の行動を少し変えてみたりするなど、小さな一歩を積み重ねることで、気付けば大きく前に進んでいるはずです!

ー北川さん本日はありがとうございました!今後のさらなる活躍も期待しています!

取材者:吉永 里美(Twitter/note
執筆者:五十嵐 美穂(Twitter
デザイナー:五十嵐 有沙 (Twitter