再就活してITベンチャー企業へ入社。器用貧乏人生の始まり
ー自分の軸を再認識してから、どのように行動しましたか?
再度就活をし始めました。そのタイミングで、クラウドソーシング事業を運営するとあるITベンチャー企業のサマーインターンを見つけて応募して合格し、入社のオファーを受けました。
ーオファーを受けた企業へは、入社しましたか?
はい、入社することにしました。ただ、当時は雑居ビルかつ社員が10〜20名程度のベンチャー企業だったので、両親はものすごく心配していましたね。
猛反対され、懸命に説得したことは懐かしい思い出です。
ー実際に入社してみて、いかがでしたか?
Webマーケティングからスタートして、制作・ディレクション、営業、新規事業開発と部署異動を繰り返しつつも様々な経験をさせていただきました。
創業期から上場までの変遷をみれたのも良い経験になっていますね。一方で、器用貧乏になったのは一種の悩みでもありました。
ー具体的にどのような悩みでしょうか。
「20代のうちにひとつ武器を作れ」と言われている中で、逆行している感覚がありまして。ひとつのスキルを伸ばした後に、周辺スキルも伸ばしていくようなT型人材とは全く異なる方向に進む自分に、漠然とモヤモヤを感じていました。
マーケティングスキルを伸ばしていくのであれば、専門性のある企業へ進んだほうが良かったのかなとも思いましたし、広告代理店や消費財メーカーへ行った友人をうらやましく思ったりもしました。隣の芝が青く見える時期でしたね。
「やるなら今だ」という感覚から4度転職を繰り返す
ー新卒で入社した企業のあと、転職はしましたか?
はい。4度の転職を経験し、正社員で5社を経験しました。ちょっとしすぎだよな、と冷静に反省しています。
ー何度も転職をした理由を教えてください。
様々な理由がありますが、まとめて考えると、それぞれタイミングに起因しています。例えば、投資ラウンドがシリーズAの時期に経営企画の室長というポジションを用意していただいたり、代表2人でやっていた会社に3人目・COOとして迎えていただいたりなど、「今しかない感」を大事にしていました。
短期間で転職を繰り返していること自体、自分も良いとは思っておらず、ネガティブに見られる場合も多いですが、そのたびに後悔と期待を胸に抱きながら、前だけを見てがむしゃらに頑張っていました。
ーそれぞれの企業で学べたことは違いましたか?
だいぶ違いましたね。それぞれに異なるサービス内容、規模感、カルチャーに加え、ベンチャー企業のシード期から上場・その後まですべて経験できたのは大きいですね。結果としてベンチャーに必要となる機能や、フェーズ別に発生する課題に対するカバー範囲の広さが自分の武器になりました。
この時期もやはり、T型人材を目指せと言われている中、自身が思い切り逆行しているという葛藤はありましたが、経験を踏まえひとつの事象を多角的に見れるようになった、俯瞰して全体の動きに配慮できるようになったのは良かったです。
フリーランスとして働き、器用貧乏として生きる道を認識
ーその後はフリーランスとして働いている原口さん。どのような経緯で働き方を変えたのかお聞かせください。
ずっと自分の名前で活躍されている方に憧れていて、私も自分の名前で生きていきたいなと思っていたのがきっかけです。
振り返ると、インターン時代も含め尊敬する上司が皆さん、独立・起業など一度は自分の名前で戦う経験をされていたことも大きく影響しています。
ー実際にフリーランスとして働いてみて、いかがでしたか?
スキルの切り売りになるのかな?と思いきや、一部のタスクにとどまらず、組織の一員に近い形で関わらせていただけることが多く、やりがいを感じています。
ありがたいことに、元上司や同僚などにも本当に多くのご縁をいただき、これまでご一緒した企業は40社を超えました。人のご縁を強く再認識する機会でもありましたね。
一方で、金銭的に不安定ではないもののいつまでこれが続けられるだろうか?という不安は常につきまとうので、その感情とうまく折り合いをつけられれば、今後も続けていけると思います。
ー単価は順調に上げていけるものでしょうか。
どうでしょう。そこまで単価を求めているわけではありませんが、自分よりもうまくやられているフリーランスの方は多いと思います。
例えばですが、マーケティングの広告運用で他の追随を許さないくらいの専門性があり、「あの人に依頼したら必ず150%改善する」などの具体的かつ定量的な強みがあると、必然的に単価を上げていけるはずなので、少ない件数でも一定の稼ぎは得られると思います。
ただ、私の場合はマーケティングもカスタマーサクセスもHRもPRも……という風に幅広く関わるために少し強みが見えにくくなるケースがあるのと、ニーズがある分多くの会社と同時並行的にご一緒することが多く、一社あたりでいただく単価はそこまで高くはありません。
ーそういった働き方には満足していますか?
自分のこれまでの経験が多分に活かせるのは満足していますね。組織は尖った人材のみでは回らない分、「器用貧乏な人材はベンチャー企業にひとりいると助かる」と言われて重宝されるので。
成功するかわからないフリーランスへの挑戦でしたが、多くのご縁があったことをとても嬉しく思っています。
フリーランスとして働いてみて、器用貧乏でも生きていく道があることを認識しましたし、幅広い企業や事業を多角的に見れるようになって単純に面白いですね。
ーご縁でお仕事をいただくにあたって、大切にしていることがあればお聞かせください。
いかにギブできるかは常に考えています。なるべく早くスピード感を持つこと、かつプラスαの価値を上乗せしてアウトプットすることを意識しています。