「人と人との出会いで新しいものを生む」旅する薬剤師 西井香織のコラボの力

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第737回目となる今回は、NEWRON代表の西井 香織(にしい・かおり)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

アイデアソンや旅する薬剤師など5つの事業をしている西井さん。困難を乗り越えるマインドや事業を始めるに至った原体験についても語っていただきました。

いじめの体験からいつか見返してやろう、と反骨心が生まれる

ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

NEWRON代表の西井香織と申します。近畿大学の薬学部に入学して薬剤師になる予定だったんですが、向いていないことに気がついて、2年間大学を休学しました。東京でインターン後に起業をして、会社は今年で5年目です。

薬剤師資格の取得後、『旅する薬剤師』という事業や『ヘルシーラボ』で食品開発事業を展開しております。講師として、近畿大学の経営学部でSDGsやソーシャルビジネスの授業もしています。

ーそんな西井さんはどんな学生時代を過ごされましたか?

小学生の頃に容姿がきっかけとなり、いじめにあいました。小学1年生から中学生まで、暴力的・精神的ないじめが続きました。友達もできず登下校もひとりでしたが、それでも不登校になることはありませんでした。

勉強に没頭し、勉強が友達でした。つらかったいじめの体験が、「いつか見返してやろう」「負けるものか」と反骨心が生まれた原体験になりました。

薬剤師には幼少期から興味がありました。アトピーや花粉症、喘息などで薬をよく飲んでいたんです。薬ってすごいなと思い、薬剤師として活躍したいと思いました。

友達0人から1000人規模の学生団体を創設

ーつらかった時期を反骨精神で乗り越え、大学の薬学部に無事入学されることになった後も、いじめに遭ったそうですね?

反骨精神で勉強を続けて大学の薬学部に入ったものの、大学に入ってからもいじめのようなものがありました。

1年生のときにテニス部の合宿に行きました。合宿で女子同士の揉め事があり、初日から10日間皆んなに無視され、悪夢の10日間でした。合宿が終わってからも無視され続けて、薬学部に居場所がありませんでした。

そのときに「負け犬で人生が終わるのは嫌だな」と思って。いじめられていると自分の価値がないように感じますが、社会にとって「居て良かったな」と思われる存在でありたいなと。

座右の名は「マイナスをプラスに」。

いじめられたりとか、悪いことが起こったりしたときこそ、何か通常ではしないことをする。逆に悪いことがあってよかった、と思えるように行動を起こそう。そんなマインドが原動力になりました。

いじめられていなかったら、外に目を向けて起業していなかったと思うので、結果としては良かったなと思っています。

ーいじめがきっかけで、居場所がないからこそ外に行こうと思われたんですね。

はい。1年生のときは、他学部のサークルに8個入っていました。でもそこでも友達の輪に入れず、壁を感じました。それなら自分で1から立ち上げたらいいんじゃないかと思い、2年生のときに『NoName』を立ち上げました。

NoNameは、学生向けの音楽イベントをする団体です。運営メンバーが20人で、お客さんが1000人。年に2〜3回イベントを開催していました。

友達が0人でも、何もないところから組織を作って、新しいものが創れるんだという成功体験になりました。NoNameの立ち上げが、新しいものを作るのはやりがいがあるなと思い始めたきっかけでした。

西井さんが始めたイベント団体『No name』

ーその後、また別の団体も作っていたそうですね?

ファッションショーを運営する団体『BFC』を立ち上げました。容姿のことでいじめられた体験からコンプレックスをずっと持っていたので、払拭したかったんです。

ところが、ファッションショーに変わった途端に全くお客さんが入らず、赤字になってしまいました。自分のエゴではなく、ビジネスとしてお金になること、「人が求めるものを作ることが大事」だなと気付いた機会でした。