「アカウントを使い分ける」SNS時代に、多様な顔を魅せる新川綾乃の仕事への姿勢

色々なキャリアの人たちが集まって、これまでのキャリアや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第43回目のゲストは 新川綾乃さんです。

早稲田大学社会科学部在学中に、ストリートダンスサークルに所属しダンスを始められました。大学卒業後は、ユナイテッド株式会社に営業職として入社。その傍らで、ダンサー、モデルとしても精力的に活動を続けられています。

全く違うジャンルの職業を、日々スイッチしながら、どんなステージでも自分の輝きを発揮する新川さんに、いまの働き方になった経緯と、両立するポイントについて伺いました。

「好きなことは続けられる」背中で送るメッセージ

ー本日はよろしくお願いします!新川さんの現在のお仕事と、活動を教えてください。

新川綾乃です、よろしくお願いします。ユナイテッド株式会社で、広告事業の営業をしています。

会社員と並行して、ダンサー、モデルとしても活動中です。昨年は、世界的ダンス大会「WORLD OF DANCE 2019」LA本選で第4位に入賞し、CROWD FAVORITE AWARDを受賞、ミスコン「MISS SUPRANATIONAL JAPAN 2019」日本大会でTOP10入り、特別賞を受賞しました。

ー現在、社会人3年目ですね。大学時代からダンスをしているそうですが、社会人になってからも続けられたのはどうしてですか?

もともとは、「社会人になったらダンスも辞めなきゃいけないだろうな」と思っていました。いざ、入社し、はじめの頃は細々と続けていたんです。

でも、やっぱり、ダンスの時間が楽しくて。仕事の後のダンス、それまでやっていたときよりさらに楽しく思えたんです。

なにかひとつに集中できる、というのも幸福なこと。だけど、ほかにも頑張っているものがあると、どちらの良さもより分かるようになりました。

仕事をやりきってからダンスをするのも、ダンスで思いっきり体を動かしてから仕事にじっと向き合うのも、どちらも私にとって重要な時間です。それぞれが、相乗効果となって輝いて感じられます。

続けられているのは、純粋に自分がやりたくて、かつ、いまのほうが楽しいと思えるからですね。

ー社会人になるタイミングで、それまでの活動に区切りをつけられる方って多いことと思います。

私の周りもそうでした。また、後輩からも「社会人になったら、ダンス、辞めないといけなくなりますか?」と相談を受けますね。

私は、社会人になってさらにダンスの楽しさに気づけたので、「これ、みんな知ったら絶対に辞められなくなる!」「みんな、辞めなくてもいいじゃん!」と思いました。

「好きだから続けたい、だけど…」と不安になっている後輩に、背中を見せたいです。私がアクティブに活動をすることで、誰かの「頑張ろう」という気持ちにつながれば嬉しいですね。

ーどのくらいのバランスで、ダンスと仕事を両立されているんですか?

入社後1~2か月くらいは、ダンスの配分を抑えていましたが、いまは、大学時代の練習量を維持しながら、仕事にもコミットしています。

埼玉地区大会優勝、本選入賞をした「WORLD OF DANCE 2019」への挑戦を決めたときは、基礎レッスンが平日の3日、大会のためのレッスンが平日1日と土日、という時間を費やしていました…ほとんど毎日ですね。

ー趣味レベルで継続される方が多いなか、どうして大会へ出場されたんですか?

続けるだけでも、いいと思います。でも私は、せっかくなら挑戦も、スキルアップもしたいな、と。

社会人1年目の秋、仕事も覚えて落ち着いてきた頃に、師事しているダンスの先生が世界大会へ出るチームのメンバーを探していたんです。いまなら仕事と両立しながら頑張れる、と思って、決めました。

ー会社員をしながら、それだけの練習量を確保するには努力が必要かと思います。どのように個人の活動を捻出しているんですか?

朝の時間を有効活用していますね。定時の19時で帰宅できるように、始業前には作業を開始するようにこころがけています。また、朝の時間にダンスの振りを覚える作業に専念することも。

毎朝7時には起床して、家を出る9時までの2時間をしっかりと活用しています。

SNSはブランディングの場。魅せたい自分を意識

ーモデルとしてもミスコンでの入賞や駅前の広告への起用など、輝かしい実績を出していらっしゃいます。どのようなきっかけで始められたんですか?

ことのはじまりは、世界5大ミスコンのひとつ「ミススプラナショナル」に出場したことで、1年前の2019年3月のことでした。

Instagramに、よくダンスの写真や動画を載せていたのですが、DMで突然連絡がきて…そういうのって、正直、怪しいじゃないですか(笑)でも、「なんでも挑戦したい!」という前向きなマインドだったんです。

なので、半ばノリで出場を決めて…(笑)本番の前に、ビューティーキャンプという、出場者が集まってトレーニングやレッスンを受ける企画があったんです。それが、なかなかストイックな時間でした。もともと、ダンスを始める前の学生時代はハンドボールでアスリート並みに鍛えていたので、そのストイックさや、体育会系のノリが性に合ったんです。そこから、楽しさも増していきました。

自分としっかりと向き合う、というのも、貴重な機会になりましたね。本番ではトップ10入りし、特別賞もいただくことができました!

ミスコンで注目を集めると、審査員の方に顔と名前を覚えてもらえて、その後のお仕事に繋がる、というのがメリットあるんです。わたしもその後、オーディションに声をかけていただけるようになり、広告へのモデル起用など活動の幅を広げています。

ーInstagramから、そこまで広がって…!SNS時代ならではですね。ちなみに、当時からフォロワー数は多かったのでしょうか?

当時はまだ1500人くらいのアカウントで…ダンスのことばかりアップしていたのに、よく見つけてくれたなあ、という気持ちです(笑)

いまは、ダンス用とモデル用のアカウントを使い分けて、SNSも活発に運用しています。ブランディングが大事なので、そこで、それぞれの「魅せたい自分」を意識して、投稿も工夫していますね。

昔だと、人に想いを伝える手段って、手紙だったじゃないですか。でも、手紙を書くのって親しい間柄じゃないと難しい。いまは、気軽にリプライを送る、という文化があって、有難いなあと思います。ファンの方から「元気をもらいました!」ってリプライがあると、こちらまで元気になりますね。良い時代です。

多面的な人間だからこそ、スイッチして精度を上げる

ー会社員、ダンサー、モデルと、複業的に働いているわけですが、ほかにも相乗効果はありますか?

全然違うことをしているからこそ、それぞれの自分に切り替えができて、集中力、精度が上がりました。まるで、Instagramのアカウントをスイッチしているかのような感覚です。

自分のなかに複数人が生きている、という感覚を昔から持っていました。いまの働き方は、そんないろんな自分を、入れ替えて、それぞれが輝くので楽しいです。毎日を活き活きと働けているな、と。

ー逆に、会社員だけ、本業の一本化、としていたら今のようにエネルギッシュではないかもしれませんね。スイッチの切り替えは、どのように行っていますか?

私も人間なので、うまくできない日ももちろんあります…。そんなときは、「五感」を上手く使うようにしていますね。

たとえば、ダンスミュージックはダンスのときだけ、仕事に集中したいときはクラシック音楽、と聞くものは使い分けています。そうしておくと、音楽によって自分のモードが切り替わるんです。

ほかにも、作業に専念するときは青が落ち着くので、文房具などデスク周りは青を多く取り入れています。逆に、テンションをあげていくダンスに関するグッズは赤や黄色が多いですね。

仕事に欠かせないのは関係構築

ー今春から、社会人3年目がスタートしましたが、これまでの2年間の社会人生活で、営業として成果を出すために意識したポイントはありますか?

ひとつは、コミュニケーション量を増やすこと。ふたつめは、協力をすること。このふたつを意識してやってきました。

営業は、とにかく会って話す、相手に覚えてもらえるようにちょうどいい頻度で現れる必要があると思います。

どんな営業活動においても、関係が一番大事です。まずは私という人間を好きになってもらう、面白いなって思ってもらえるように努めています。そのためには個々人との距離感をうまく調整して、相手にここちよい状態の中で、最大限、コミュニケーション量を増やしていますね。

ー人に魅せるお仕事を複業としてされているので、対人コミュニケーションも得意そうですね。

Facebookにもダンスの投稿はしているので、そこからコミュニケーションが発展することもあります。きっかけが色々あるのは助けられますね。

私を面白い人間だと認識してもらえて、しっかりした関係が構築できれば、仕事は格段に進めやすくなると実感しています。

ふたつめは、協力すること、と挙げましたが、もともとは完璧主義者で全部自分でやりたいという性格だったんです。しかし、人間ひとりではできないことがたくさんあると気付けたときから、人から力を貸していただくことを躊躇しなくなりました。

また、せっかく力を借りるなら、私とは全く違うスキルを持っている方からのほうがいいですよね。なので、自分と同じような人たちばかりとつながっていてもあまり意味がない、なるべくいろんな異なったコミュニティに属する人とつながれるように意識しています。

いざ困ったときは、どんどん周りを積極的に頼っていきます。それができる関係づくり、力を貸してあげたいと思われる人間になること。普段からそこに関しては努力の姿勢を絶やしません。

ー孤軍奮闘より、周囲を巻き込んだ方が楽しさも違いますよね。

これは複業的なお話になりますが、最初の頃は、会社にはダンスをやっていることは黙っていたんです。でも、あるとき信頼できる上司に打ち明けるタイミングがやってきて…。正直、「仕事に集中しろ」と否定されるかもと予想していました。それが、全く逆のリアクションで…応援してもらえたんです。

私のような活動、あまり同じ道を歩んでいる人はいないので、ぴったりくるロールモデルはいません。不安がなかったと言えばうそになります。そんな中で、身近な存在である上司がポジティブに受け止めてくれたのは嬉しかったですね。周囲の人からの応援をもらう過程で、不安はなくなっていきました。

ー活動的な日々の中で、困難なこともあったと思います。どうやってここまでたどり着きましたか?

うーん…たどり着いた、という感覚はまだなく、道半ばなのですが…。まずは自分自身を理解してあげることは大事ですよね。私は、自分が「刺激がないと、やる気が失せる」という人間だと分かっているので、挑戦できる環境に見を投じるようにしています。

こういう仕事がしたいですと積極的に周囲に宣言したり、ルーティン作業でもやり方を変えるタイミングを設けたり…。自分を理解しているから、自分自身に活き活きと日々を送るためのコツを提案できました。

ーこれからの新川さんの活動もとても楽しみです。ご自身ではどのような展望を描いていますか?

イベント出演などが多いのですが、今後は、動画も活用してダンス作品を残るものとして発信していきたいですね!年内には、きっとわくわくする発表ができると思います。

ー本日はありがとうございました!

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取材:西村創一朗(Twitter
執筆・編集:野里のどか(ブログ/Twitter
撮影:山崎貴大