「社会課題解決の民主化」を目指す。社会起業家の小松航大が考える、人生で大切なこととは

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第975回目となる今回は、小松 航大(コマツ コウダイ)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

社会起業家として、クラウドファンディングサービス「For Good」の代表として活躍する小松さん。学生時代のエピソードや現在のビジネスに携わり始めた理由、今後の目標などをお話していただきました。

好奇心をバックパッカー、ヒッチハイクに活かす

ー簡単に自己紹介をお願いいたします。

小松航大と申します。1998年生まれの香川県出身です。現在は、社会問題をビジネスで解決するボーダレス・ジャパンというグループ企業で、クラウドファンディングFor Goodという事業の代表をしています。

For Goodのクラウドファンディングは、掲載手数料0円でプロジェクトを立ち上げられ、お金以外の形でも支援できるなど、誰もが気軽に社会課題解決に関われるサービスです

2022年の創業からまだ1年ほどですが、「社会を良くしたい」という声が続々と集まってきており、既に5億円近くの支援金がFor Goodを通して社会課題解決に使われ、5万人ほどの方々が関わってくださるサービスとなっています。

For Goodを通して、自分が持つ社会に対する違和感から、社会を変える小さなアクションを起こせる人々をもっと増やせたらと思っています。

ーまずは、学生時代に印象に残ったエピソードから教えてください。

僕の旅は、友人と自転車で香川県から徳島県へ行ったことから始まりました。日曜の朝6時に出て着いたのは夕方6時。次の日も学校があるのに帰れないことに気づき、ダメもとで「ヒッチハイクで帰るか」と、信号横で親指を立ててみたところ、1台目のトラックが停まってくれました。

停まってくれたのは、地元農家のおじいちゃんで、自転車もある中トラックの荷台に乗せてくれて、無事帰ることができました。

その後も友人と一緒に、ヒッチハイクで名古屋や大阪、四国を巡り、普段の学生生活では出会えない人たちに知らない世界のお話を伺えたのが楽しくて、すっかりヒッチハイクにはまってしまいました。

ー大学ではどんなことに没頭していたのですか。

「面白い人に会いたいから東京に行こう」と思い、慶応義塾大学に入学してからは、海外へのバックパッカーにはまっていました。

大学では「こんなことがしたい」と言っている人がとても多くて、周りがすごい人ばかりに見えたんです。一方の僕は、東京に出てきたものの、自分が何がしたいのかわからなくてバイトやサークルなどに明け暮れた普通の大学生活を送っていました。

ただ、貧困問題にはもともと少し興味があって。中学生の頃に見た、アフリカの飢餓状態の少女をハゲワシが狙っている「ハゲワシと少女」という写真が心にぼんやりと残っていました。東南アジアやインドをバックパッカーで巡り、現状を見る中でもその興味は少しずつ大きくなっていきました。

ーバックパッカー時に印象的だったエピソードはありますか。

初めての海外一人旅の最中、カンボジアのアンコール・ワットの前でミサンガを売っている男の子と話したことですね。なぜミサンガを売っているのか聞くと「お金がなくてお姉ちゃんが学校に行けないから、自分でミサンガを作って、売っているんだ」と教えてくれました。

この子のために何かしたくて、自分には何ができるか考えました。ただ、ミサンガを全て買っても、ミサンガ作りを手伝っても、その場限りの一時的な解決にしかならないと気づいて。目の前の少年すらも助けられない無力さに愕然としました