不登校の子どもを3週間で再登校させる。小川涼太郎が人生をかけて取り組む事業とは。

コンサル会社での経験を経て、起業の道へ

ー焼肉屋さんで働いたのち、コンサル会社へ就職されたのは何か意図があったのでしょうか?

焼肉屋で働いたときに感じた「こんな職場をつくりたい」を叶えられるのは、人事領域が大切だと思い、人事コンサルをやっている会社を中心に就職活動を行いました。そこで行き着いたのが前職のコンサル会社です。

3年間働いてみて、自身が叶えたい目標である「世の中の職場環境を良くすること」はコンサル会社では叶えられないと感じました。同時に職場を良くすることよりも働いている一人ひとりのマインドセットの方が重要だと感じ、教育に興味をもちはじめたんです。

どれだけ素敵な会社でも、その職場が楽しいと感じる人もいればうつ病になる人もいて。ならば「自分自身の幸せとは何か」をわかった状態で生きる方法を幼少期から学べる方がよっぽど価値があるなと思い、起業に至りました。

3週間で不登校を再登校させている人との出会い

ーそこから、どのように現在の事業にたどり着いたのでしょうか?

起業した当初は、どんな事業をするかを具体的には考えていなかったので、まずは明日ご飯が食べられる状態にするためにフリーランスのコンサルタントとして活動。その後、教育事業をやるなら学校を作ろう!と思い、通信制サポート校をスタートさせました。

ー通信制サポート校とはどのような事業なのでしょうか?

堀江さん(ホリエモン)がやっているゼロ校と同じような座組みで、通信制に通う生徒が自分のやりたいことを中心に経験ができるような学校です。学校というよりは塾に近いですね。わたしもスクールをスタートさせてから2年間活動していましたが…一人も集客できることなく事業を畳みました。

今思い返すと、子どもを預ける側の親御さんの気持ちをちゃんと汲み取ることができていなかったなと思います。わたしたちが掲げていた教育方針が「やりたいことを見つけられる」だったのですが、親御さん的にはちゃんと勉強して、学力も向上させられる場所であることも大切だなと。

そういった気づきもあり、事業を畳んで次のフェーズに進みました。

ーそうだったんですね。次のフェーズではどのようなことをされたのでしょうか?

通信制サポート校をやっていた同時期に、不登校の方がいる家に訪問し子どもたちが元気になるようメンタルサポートをする有償ボランティアをしていました。

通信制の学校に通う子どもたちの気持ちに少しでも寄り添う活動をしていましたが、当時サポートしていたメンバーやわたし自身を含めて、不登校から再登校した生徒がゼロだったんです。

わたしがサポートしていた生徒さんも、最後は愛想を尽かされて「もう会いたくない」と言われてしまいました。必死に子どもたちと向き合っても成果が出ない状況に疑問を覚え、何か他のやり方はないかと模索しているタイミングでNPO法人で活動されている方と出会いました。

その方はなんと「3週間不登校が再登校できるようにしています!」と言っていて。わたしは今までより長い期間関わっても再登校までサポートできなかったので、お金を払ってお話を聞きにいきました。

ー実際に会ってみてどのような印象を受けましたか?

まず、わたしが今までやってきたことと真逆のことが多く、衝撃を受けました。まず、子どもに直接会わずにサポートするんです。親御さんがどのようにお子さんに関わるかをサポートしたり、電子機器類をすべて排除したり、親御さんがお子さんに寄り添いすぎないことを意識したり。目から鱗な情報ばかりでした。

過去にやってきたボランティアでの経験と、その方から得た情報を聞いて改善点を見出し「これならいけるかも?」と事業を開始。結果的に現在は平均17日程度で再登校し、再登校率は90%超え、さらに500名以上が再登校する実績を出すことができました。

ー素敵ですね。実際に事業としてやっていくなかでの大変さはありますか?

わたしたちのやり方は、実際にお子さんに直接会うわけではなく、親御さんとの会話になります。親御さんがわたしたちのやり方に共感していただけるか、覚悟を持って一緒にやりきれるかが肝になってくるので、そこが難しいところですね。

ただ、とてもやりがいのある仕事でこれからも多くの不登校の子どもたちを救っていけたらと思っています。

ーすばらしいですね。最後に、20代の同世代の方に向けてメッセージやアドバイスがあればお願いします。

突き詰めると、人生において「覚悟」がもっとも重要です。わたし自身、起業をするときに覚悟を決めたからこそ今の生活があります。正直、誰もが覚悟を決めるのって嫌だししんどいことだからこそ、覚悟を決められる人は強いなと。

全員に決まっていることは、最後は死ぬんですよ。だからその瞬間までにどんな人生を歩めたかが重要だと感じています。過去にTwitter上で炎上したこともありますが、自分が死ぬときのことを考えるとどうでもよくなります。

だから覚悟を決めて、自分が死ぬまでにどんなことをやりたいかを決めていくのは大切だと思います。

ーありがとうございました!覚悟を決めて取り組まれている小川さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:あすか(Twitter
執筆:本庄遥(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter