短所を補うのではなく長所を伸ばす。Smart相談室・目羅萌々子のしなやかな生き方

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第972回目となる今回は、株式会社Smart相談室の目羅萌々子(めらももこ)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

幼い頃から教師を目指していたものの、アルバイトをきっかけに教師以外の仕事にも目を向けるようになった目羅さん。ご自身のメンタル不調の経験や新たな価値観との出会いを通して見つけたキャリアの歩みを語っていただきました。

目の前の人を幸せにすると自分も幸せになれる。新たな価値観を得たアルバイト経験

ー最初に簡単な自己紹介をお願いいたします。

株式会社Smart相談室の目羅萌々子と申します。今でこそ会社務めですが、私の両親が2人とも教師だったというのもあり、幼い頃からの将来の夢は学校の先生になることでした。教育の分野に強い関心があり、大学院では発達障害の子どもについて勉強していました。

ただ、初めて一人暮らしをしてアルバイトをしたときに、もっと様々な場所で働いてみたいと考えるようになったんです。教師を目指す道からは一旦外れましたが、またいつか教育に携われたらと考えています。

ーありがとうございます。株式会社Smart相談室はどのようなサービスを提供している会社なのでしょうか?

株式会社Smart相談室は「メンタル不調になる前にサポート」をコンセプトとした対人サービスを提供する会社です。コーチングやキャリアカウンセリングなど、メンタル不調の状態でなくても気軽に使ってもらえるサービスを提供しています。

ー「メンタル不調になる前に」使えるサービス、とても素敵です。幼少期から教師を目指していたということで、進路も教育系に進まれたんですね。

はい。大学は心理学部教育発達学科という心理学を学びながら教職が取れる学科に進学しました。私自身が人の気持ちに敏感で感受性が高い性格なことから、心理学に興味があったんです。

ーなるほど。アルバイトでの経験が教師以外の道に関心を抱くきっかけとなったとおっしゃっていましたが、詳しく教えていただけますか?

カフェ店員や塾の講師、とにかくたくさんアルバイトを経験してみて「教師以外の仕事ってこんなにたくさんあるんだ!」と初めて気がついたんです。自分が世間知らずの箱入り娘だったということにも(笑)。

ー印象的だったアルバイトはありますか?

イタリアン酒場のホールですね。行列ができるほどの人気店で、老若男女問わず愛されているお店でした。短所に目を向けるのではなく長所を伸ばしていく、「丸くなるな、星になれ」という方針で私を育ててくれた場所です。

このお店は少し特殊で、営業目標がアルバイトにも共有されていて、ホールに立つときに“今日のおすすめ”の販売目標が課せられるんです。初めは正直驚いてしまったのですが、店長に「気負わず、売れたら喜べばいいだけだから!」と言われて前向きに売ろうと思えました。

ーノルマのようにプレッシャーを感じることはなかったのでしょうか?

“良い目標”だったから、楽しんで取り組めました。“今日のおすすめ”は今日限定でしか食べられないものもあったんですね。そんな特別なものを食べてもらうことで、お客様に喜んでもらうのはもちろん、美味しそうに食べている姿を見て自分や店長、料理長もハッピーになれる。

目の前の人を幸せにすると自分も幸せになれる、新たな価値観を得ました。

ー素敵な考え方ですね。

私自身が「提案してオーダーしてもらう」ことが得意だったのも大きいと思います。でも反対に苦手なこともたくさんあって。うまくできないことに落ち込んでいると「萌々子は売るのが得意なんだから!」と長所に目を向けるように促してくれました

やっと内定。就職したものの通勤電車で涙が止まらないほど仕事がつらかった。

ーそんなアルバイト経験を経て、大学院卒業後はどのような道に進まれたのでしょうか。

働く価値観を新たに得たことで、民間企業へ就職しました。もちろん教師に憧れはあったのですが、人の可能性を広げたいという思いから、人材とコンサル業界を見ていました。

大学院での研究テーマが「ASD(自閉症スペクトラム)の子どもにオンラインで言葉を教えること」だったんですね。言葉をどんどん覚えるたびに自分の主張ができるようになる子どもたちの姿を見て、体験を通して個々の「できる」を増やしたい思いが芽生えました。

ただ、就職活動には苦戦しましたね。教師を目指していたのに教師にならない自分に対して、当時はどこか負い目を感じていて、面接でも自信を持って答えられなかったんです。

ー苦戦した就職活動、どのように乗り越えましたか?

OB訪問で出会ったビジネスマンに相談しました。面接で長所と短所について聞かれるのがすごく苦手だったのですが「短所のことなんて考えなくていい」と言われたんです。

「それじゃ内定はもらえない!」と内心思っていましたが、試しに一旦短所を考えることを忘れて好きなことだけ語っていたら、ポツポツと内定がもらえるようになりました。

最終的に就職したのが、日系コンサル企業の社内ベンチャーから独立した企業です。

ーコンサルと聞くとかなりハードな仕事のイメージがあります。

イメージ通りハードな仕事です。朝、会社に向かう通勤電車で涙が止まらなくなってしまったことがあって……。何のために働くのかわからなくなっていたし、自分は社会に適合できていないと本当に落ち込んで、休職することになりました。