「何を選ぶかよりも“選んだ後に何をするか”」石井優也に聞く、選んだ道を正解にする考え方

「まずはやってみる」困難な状況も前向きに捉える

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ー大学入学後はどんなふうに過ごされていましたか?

大学でもまた何かに熱中したくて、まず「自分が何をしたいか」を探すところから始めました。他大学の学生や社会人の方など、さまざまな方からお話を聞かせてもらう日々でしたね。

そんな中、とあるイベントで知り合った学生のツテでインターンを始めることに。インターン先の社長は20代、社員はゼロ、自分自身も当時はインターンが何かもよくわからない、仕事内容を聞いてもピンとこない状況でした。

ー初めてのインターンとしては少し勇気がいりそうですが、当時の心境や実際の業務はいかがでしたか?

何もわからない状況でうまくいくかもわからなかったですが、「まずはやってみよう」という気持ちだけで挑戦しました。実際の業務はとても楽しかったです。業務内容はテレアポをして、訪問営業をするいわゆる“ザ・営業”だったのですが、人生で初めて仕事を経験して、大人への第一歩を踏み出せた気持ちで嬉しかったです。

ー前向きな思いで挑戦し、実際楽しんで仕事をされていたとのこと、素敵ですね。何か印象に残っている出来事はありますか?

当初インターン生が数人いたのですが、いつの間にかみんな辞めてしまい、社長と自分の2人だけになってしまいました(笑)。

インターン生が1人になったときもネガティブな感情はなくて。逆に自分の行動が会社や事業に大きく影響する、という当事者意識が芽生えました。自分がやらなければ!もっと頑張らなければ!と以前よりもさらに前向きな気持ちでしたね。会社や事業を縮小させてしまうかもしれないけれど、逆に自分が頑張れば大きくすることもできるかもしれない。そんな思いがモチベーションにつながりました。

また、スタートアップ企業で事業を動かすことを経験させてもらえたことで、自分が主導権を持って動ける環境のほうが自分が実現したい社会を作れるのかもしれないと感じて。

それが「起業したい」と思い始めた最初の経験でした。

ーインターンは起業のきっかけにもなったのですね。大学在学中は留学や海外への一人旅にも行かれたとか。

より知見を深めて新たな価値観に触れたい思いから、1年弱続けたインターンを辞めて、3ヶ月間アメリカへ語学留学をしました。

あえて厳しい環境に挑戦したくて、日本人がほとんどいない語学学校に在籍することに。実際に行ってみると、遠慮していてはすぐに埋もれてしまう環境で、自分から動いて他人との壁を取っ払い、どんどん主張しないと何も始まらないのだと痛感しました。

主体性が大事であることはインターンでも感じましたが、キャリアだけでなく自分の人生全体においてもまずは自分から動いていかないと前に進めないのだと改めて学んだ経験でした。

またさまざまな国の暮らしや実態を見る中で、自身の恵まれた環境を改めて認識し、「やはりやりたいことには躊躇なく挑戦しないともったいない」と強く思うようになって。この感覚に背中を押され、帰国後、大学在学中に起業しました。

決断後いかに努力し楽しむか。選んだ道を正解にする方法

ー大学在学中に起業されてから今に至るまで、どのように事業展開を進めてこられたのでしょうか?

海外経験を経て国際分野で事業を立ち上げたいと思い、英語の家庭教師派遣事業やスクールから始めました。Web制作や営業代行など他の事業にも広げてキャッシュを生み出しつつ、大学卒業後は、オリンピック開催を見据えた訪日外国人と観光ガイドのマッチングアプリのリリースに向けて動き始めました。

ですがマッチングアプリ事業が失敗に終わりまして(笑)。マッチングアプリ事業自体が短期でお金を生み出すことが難しい事業であったことに加えて、当時コロナ禍でオリンピックが中止になってしまい、マネタイズや事業の拡大が難しかったんです。

その後は、留学の際にお世話になった会社や長期インターンでお世話になった会社のお手伝いをさせていただいたりして、今のキャリア事業で改めて自社展開を進めました。

ー現在では自身で立ち上げたキャリア事業で大活躍されている石井さんも、ここに至るまで多くの挑戦と失敗を重ねられているのですね。失敗を重ねるほど、新たなことに挑戦する際に不安や怖さが伴うと思いますが、どう乗り越えたのでしょうか?

大学受験やインターン、海外留学も含めて過去の自分の挑戦は、行動した先に何があるのか、うまくいくのか、この選択が正しいのかは挑戦した時点では分からなかったものばかりです。

ただ何かを選択した後、後悔だけで終わったことはありません。自分がとった選択に対していかに努力し、いかに楽しんでいくか。選択後の行動次第でいくらでも正解にしうると思えているので、挑戦や選択への怖さはあまりないのかなと思います。

ー勇気づけられるお言葉です。最後に、就職活動を控えた10代や20代の読者の方へ、メッセージをお願いします。

差したる実績もキャリアもない自分からのメッセージで大変恐縮ですが、一人でも多くの方が前向きな選択を行えるきっかけになれば幸いです。

キャリアって、選択肢がたくさんありますし、自分のやりたいことや適正を理解することは難しいので、何を選び取ったら良いかわからず悩みますよね。

ただ、就職活動をする期間よりも就活後の働く期間の方が圧倒的に長いです。おそらく学生のうちに立てたキャリア通りに人生最後まで遂行できた人なんて一人もいないのではないかと思っています。

ファーストキャリアで人生が決まるわけではなく、むしろ自分の道って、偶然の出会いやたまたまやってみたことなどの想定外の運によって大きく変わってくるもの。

繰り返しとなってしまいますが、意思決定する時点では正しいか間違っているかや選択の優劣はわかりません。自分の選択を正解にできるかどうかは、決断した後の自分の行動やその状況をいかに楽しんでいくか次第ですし、一度失敗したとしても成功するまで挑戦すれば全ての選択は正解にすることができます。

周りや遠い未来のことは考えすぎず、直感で選択し、目の前のことを全力で頑張れば良いと思うんですよね。先が読めないことは、自分が想像もできない未来が待っていることでもあり、可能性しかありません!

今の自分の好奇心に従って、どんどんやりたいことやワクワクすることに挑戦してもらいたいです。

ーありがとうございました!石井さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:黒澤朝海(Twitter
執筆:non(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter