「経験は必ず価値に変わる」と信じて歩み続ける、EmpaC代表・松山真衣

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第401回は株式会社EmpaC代表の松山真衣さんです。高校卒業後からずっとSNSに関わってきたと言う松山さんに、独立に至るまでの経緯とSNS運用のポイントについてお話しいただきました!

2社での経験を元に、コロナ禍に起業

ーまずは簡単な自己紹介お願いします。

今年の4月に株式会社EmpaCを設立しました、松山真衣です。これまででのECサイト運営とSNS運用の経験を元に、SNSのディレクションや、インハウス化支援、Shopifyを活用したホームページ制作支援、MEO支援などの事業を行っています。全てにおいて大事にしている共通点は「共感」を伝播し、コミュニティーを活性化させ「共創」へというコンセプトになります。

ーつい最近、しかもコロナ禍に会社を設立されたとのことですが、このタイミングで起業に不安などはありませんでしたか。

独立への不安は一切なかったです。特にいつまでに絶対会社を設立すると決めていた訳ではなかったので、事業のコンセプトや思いなどが固まったタイミングで起業を決めました。

コロナ禍の起業ではありましたが、SNSやECサイトなどオンラインベースの事業なので特に大きな影響はないなと感じています。むしろコロナのおかげでオンラインに力をいれたいお客様が増えています。

ーどのようなクライアントさんのSNS運用などを担当されているのでしょうか。

toCブランドであれば業界問わずご支援させていただいています。業種としては、食系がジャンルとしては多いかなと思います。どんな商品であっても実際に使ったり、食べてみる、「体験して知って、好きになる」ということを大事にしています。

私達支援会社は、お客様の商品を「愛す」ことはとても大切だと考えます。会社設立時は、一人でのスタートでしたが、今は11人のメンバーと共に日々楽しんでます。メンバーは20代後半から30代のデジタルネイティブ世代。SNSのアルゴリズムを理解しており、SNSの機能をフル活用した発信ができるプロ集団です。

 

大学進学ではなく就職を自ら選択

ー起業に至るまでの経緯も教えてください。育った環境や中高時代の出来事で今に影響していることなどはありますか。

祖母が台湾人だったので、小さい頃から夏休みなど頻繁に台湾に行っていました。台湾の子どもは日本の子どもと比べ物にならないくらい勉強するんですが、現地の学校に通う従兄弟も会うたびに勉強していたのが印象に残っています。私は勉強が嫌いで、小学校と中学校は吹奏楽部、高校はバスケ部に所属しており、従兄弟とは全然違う生活を送っていましたね。

そんな感じだったので、大学に行く目的が特に見当たらず、高校卒業後は進学ではなく就職を選びました。日本ではとりあえず大学に進学という選択をする人も多いと思うのですが、私は目的がないのであれば進学するのではなく就職して場数を踏むことを選んだほうが自分にあっていると思ったんです。

ー進学ではなく、就職を選んだことに対してご両親から反対はありませんでしたか。

反対はされなかったです。両親はネガティブなことを言うことはなく、まずは褒めてくれるタイプで、就職を選んだ時も「まずはやってみたら?」と後押ししてくれました。感謝してます。

 

SNS運用の実態を知り、将来的に独立を視野に

ー就職先はどのように選ばれたのでしょうか。

洋服が好きだったことと、ECサイトについて勉強したいと思っていたので大手アパレルメーカーに入社し、マーケティング部でECサイトの運営とSNSの運用を担当しました。入社1年目でブランドアカウントのInstagramフォロワー数20万人を達成することができました。6~8人程のチームで試行錯誤する毎日は部活動のようで楽しかったですね。

ーその頃から独立を視野に入れられていたのですか。

そうですね。働く中で、SNS運用担当者は基本PRや広報といった顧客と関わっている人が兼業でされていることが多いことに気づきました。SNS運用専任ではない分、ノウハウやリソースが足りないのが多くの場合課題で、それを解決できないかなと思うようになったのが独立を考えた初めのきっかけです。

ただ、経営に関する知識や経験が不足していると感じていたので、少人数体制のベンチャー企業で経営をもっと身近に見て勉強したいと思い、SNSコンサルティング会社に転職を決めました。

ー転職してみていかがでしたか。

前職と比べるとチームではなく個々でチャレンジングに動く力が身につきました。代理店の方と働くことも多かったのですが、商品を使うことなくSNSの運用をやっている方が非常に多く、商品の良さを十分に理解しないままSNS運用をしているアカウントが多い現状に違和感を感じました。であれば、しっかりと商品を理解した上できちんと広められるような会社を自分で作ろうと思ったんです。

 

Instagramで20万人フォロワーを達成できた秘密

ーU-29世代にはSNS運用をされている方も多いかと思うのでSNS運用のコツについても教えてください。アパレルメーカー勤務時代、Instagram運用において大事にされていたポイントなどはありましたか。

若者向けのアパレルブランドを担当していたのですが、ユーザー・ファンとのコミュニケーションを大事にしていました。企業アカウントは炎上回避対策などもあり、コメントには返事しないアカウントが多いと思うのですが、積極的にコメント欄やDMを活用してコミュニケーションを取っていました。そのおかげもあってユーザーがアカウントを自主的に広めてくれ、徐々に熱量が高いファン=質の高いフォロワーが増えたことが購買にも繋がりました。

 

起業を死ぬまでにできてよかったと思う理由

ー現在のお仕事についての話に戻りますが、会社を経営してみて新しい発見や変化などはありましたか。

物事の見方は変わったなと思います。全部自分の責任になるので、全て自分ごととして考えるようになりました。また、会社員時代はどちらかというと周りに媚びていましたが、それも変わりましたね。今はご縁があった人を絶対笑顔にしよう、幸せにしようという姿勢で仕事に取り組んでいます。

ー経営者として、チーム作りにおいて意識していることがあれば教えてください。

意見が言いやすい環境作り、心理的安全の確保は大事にしています。あとは自分を理解してもらおうとせずに、相手をまずは理解しようとする姿勢。このコロナ禍なのでよく電話したりすることでコミュニケーションを取るようにしています。雑談ってやっぱり大事です。そうやって関係性を構築することができたら、アドバイスや指摘を愛として受け入れてもらえるようになると思っています。

ー松山さんの人生経験から、何かU-29世代へメッセージがあればぜひお願いします!

経験は必ず価値に変わるので、何がやりたいか分からなくても、とりあえず走りながら考えてみたらいいと思います。とはいっても闇雲に突っ走るのは出口の見えないトンネルを走っているようでしんどいと思うのである程度目的や方向性は定めてみてください。

また、やりたいことが分からなければ、環境と人を一度変えてみるのがおすすめです。自分の置かれている環境や、自分の周りにいる人たちが変わると、見える世界が変わるのでやりたいこと・やりたくないことが分かることが多いんです。一番わかりやすくて簡単なのは転職することですね。知識のない業界に行くと、全然違う世界で生きている人たちと関わることになるので。きっと全ていい経験に変わる。そう信じて私も日々突っ走ってます。

インタビュー:武海夢(Facebook)
執筆者:松本佳恋(ブログ/Twitter
デザイナー:五十嵐 有沙 (Twitter