プロジェクトが継続できたのは誰にでもできることを愚直に続けたから
ーそこから現在のプロジェクト立ち上げまでにはどのような経緯があったのですか。
大学進学後は野球とは無縁の生活を送っていました。それまでは夏休みも正月も野球の練習でまとまった休みも体験したことがないくらい野球漬けの日々だったので、毎日遊ぶことができる大学生活は全く違う新しい人生を生き始めたような感覚でした。
大学生らしい生活を送っていた中で、高校時代の野球部のメンバーと久しぶりにご飯に行った際、やっぱり話題に上がったのは甲子園の話でした。
まだそれぞれ悔しい気持ちが残っていることが共通認識として上がり、であれば甲子園で野球ができる大会を作ろうと決めました。
ー具体的には何から始められたのですか。
まずはSNSを活用して当時の46チームを集めるところから始めました。声を掛ける高校は決まっていたので、順番に知り合いがいないかを周囲に聞きながら集め、2ヶ月程で当時の独自大会優勝チーム46校、1000名が集合。
というとプロジェクトはスムーズに進んだかのように聞こえますが、実際はプロジェクト始動当初は不安視する声などネガティブな意見をもらうことも多かったです。具体的には「期待させるな」や「大学生には無理でしょ」という声をいただきました。
そこで、まずはプロジェクトのことをたくさんの人に知ってもらい、信頼してもらうことを目指して全国のメディアをリストアップしてテレアポを行いました。ラッキーなことに、NHKのニュースウォッチ9で取材していただくことができ、そこから複数のメディアに取り上げてもらうことができました。
メディアに露出したことで、少しずつ信頼してもらえるようになり、結果的に選手を集めるのにも寄与したと思います。
ープロジェクトを進める中で大事にしていたことがあれば教えてください。
このプロジェクトにおける目標は2つあります。1つ目は自分自身も含めた元高校球児が3年前の悔しさに終止符をうつ機会を設けること。そして2つ目は若者が立ち上がれるようなきっかけを作ることです。
そのためにもプロジェクトを進めていく中では同世代にとっては身近な存在でいることを大事にしています。
自分自身は特別すごい人ではなく、ただの20歳で、テレアポなど誰にでもできることを愚直にやってきたかこそ、このプロジェクトを進めてこれたということを見せることで、自分にも何かできるかもと同世代に思ってほしいのです。
プロジェクトの成功後に注力したいことは恩送り
ーこれまで野球を一貫して続けられてきた点、そしてプロジェクトの進行においても、大武さんは「継続」が上手なような気がします。なかなか継続ができないという同世代も多いと思うのですが、継続できた理由や継続のコツはあったのでしょうか。
野球を続けていた理由は、小学校の時はただ野球が好きだったからです。中学では上には上がいる現実を知り、ここまで頑張ってきたのだから甲子園にいつか立ちたいと思うようになり、それが頑張るモチベーションとなっていました。
夢があったからこそ、継続ができたのだと思います。
このプロジェクトも当初の予定では、2022年度で終了予定でしたが、甲子園の使用許可などの関係で長期化しています。しかし、大会を甲子園で開催するという目標があったから継続できています。
一方で、個人的には何事も無理に続ける必要はないと思っています。自分自身が続けられたのは続けたいと自ら思っていたからです。何も継続ができないと嘆くのではなくて、続けたいと思えるようなことを探し続けてみてはいかがでしょうか。
ー続けたいと思えることが見つかれば、続けようと思わなくても続くということですね!納得です。
最近、もし寿命があと1年と言われたら何をするかという問いに本を通して出会って考えたのですが、残り1年しかなくても、プロジェクトに全力を尽くすと思いました。
それくらい自分にとって大切なプロジェクトがあるって幸せなことだなと思っています。たくさんの方に協力いただいているので、なんとしても成功させたいです。
ー最後に、大武さんの今後についても教えてください。既に立てられている目標などはありますか。
まずは11月29日の大会を無事に開催させることが目標ですが、プロジェクトにおいてはそれ以外に2つの目標を掲げています。
1つはこれから資金を集めるべく、クラファンをスタートさせるのですが、そこで日本の最高額を集めることです。そしてもう1つは「あの夏を取り戻せ」を流行語大賞に入れること。
甲子園で日本一になるという目標を叶えられなかったからこそ、何かで日本一になりたいという気持ちがあり、上記2つを達成することで目に見える成果を出したいと思ってます。
プロジェクト終了後についてはまだまだ未定ですが、夢として持っているのは27歳までに大学の客員教授になることです。
これまでサポートいただいた方には、「いつか必ずビッグになってこの恩をお返しします」とお伝えしていました。それに対してよくいただいた返答が「自分に返さなくていいから、その代わりこれからの世代にその分を渡して」だったのです。
そこで客員教授になることで、次世代の成長のサポートをできればと思っています。自分の経験が後輩のためになるのであれば積極的にシェアしていく予定です!
ー後輩への恩送り、素敵ですね。今日は貴重なお話をありがとうございました!プロジェクトの成功と、大武さんの今後のご活躍を応援しております!
取材:岩津立樹(Twitter)
執筆:松本佳恋(ブログ / Twitter)
デザイン:高橋りえ(Twitter)