様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第914回目となる今回は、加藤 光咲(かとう・みさき)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。
サイバーエージェントに新卒入社後、現在はHRtechのスタートアップでマーケティングからカスタマーサクセスに関わる加藤さん。学生時代のエピソードやこれまでのお仕事、自分らしいキャリアの描き方についてお話していただきました。
「日本一の大学に行きたい」気持ちが実り、東大へ入学
ー簡単に自己紹介をお願いいたします。
加藤光咲です。誕生日が9月14日なので、914回目のユニークキャリアラウンジに参加できて不思議なご縁を感じています(笑)。
現在、HRtechスタートアップのwelldayで、従業員が自分らしく働ける職場づくりを支えるサービス「wellday」の活用支援やマーケティングに関わっています。このサービスは、例えば、チャットツールに現れる従業員の心情の変化を可視化して、落ち込んでいる人に早めに対応できるものです。ちょっとした文脈に人のストレスは現れるので、AIで状況を可視化しているんですよ。
ー加藤さんは、子どもの頃はどんなお子さんでしたか?
好奇心旺盛で、勉強も一生懸命やっていましたね。新しいことを知って、自分の世界を広げていくのが楽しかったです。普段の授業はもちろん、課外活動でも、勉強することでユニークな仲間に出会えることが嬉しかったですね。
1番覚えているのは、11歳の頃に中学受験の塾に入ったことです。入塾後は、成績順で1番下のクラスでした。そこからどんどん上がっていって、出会える仲間から受ける刺激も増えていきましたね。「学ぶことで世界が変わるんだ」と思ったきっかけのできごとです。
勉強って、ひらめきが出発点になることも多いと思っています。いいな!と感じた発見やちょっとした気づきに気を配ることが、今のビジネスにも直結していると思います。大人になった今も「いいな」「好きだな」という感覚は大事にしていますね。
ー塾で切磋琢磨しながら勉強する中で、行きたい中学校には行けたのでしょうか?
残念ながら第1志望には落ちてしまって、挫折を味わいました。でも、あの挫折があるからこそ今があると思っています。
中学受験の悔しさをバネに、中学時代と高校時代は「絶対日本で1番の大学に受かるぞ!」と思って、東大を目指して勉強して。結果的に入学できたんです!
最初はやれるか不安だったのですが、自分の人生において、まず高い目標を置いて走ってみようと思えるようになりました。
ーついに東大入学を果たしたときは、どうでしたか。
達成感が大きくて、支えてくれた親や友人への感謝の気持ちでいっぱいでしたね。入学後は、周りも学力が一定だからこそ、その人ならではの個性が重要だと強く感じました。
例えば、今世界銀行で働いている同級生が、当時からカリキュラムに囚われず海外留学に挑戦するなど、自分自身のやりたいことを突き詰めていて。私はこれまで勉強に身を捧げていた分、余暇の時間を楽しみたいと、4学年で100人くらいの比較的大きなバレーボールサークルに入りました。
今振り返ると、サークルでの出会いが大学時代での1番の財産になりましたね。OBOGで5000人くらいの繋がりがあるサークルで、普段出会えないような大手企業の役員クラスの方とは、今でもビジネス関係でお世話になっていたり、バレーボール以外のスポーツ合宿に呼んでもらったりと、たくさんの繋がりが生まれていました。
社会人生活も、もっと成長できる環境を追い求める
ー就職活動時、自分のやりたいことはどう探していきましたか?
自分が楽しいと思うこと、好きだと思うことにフォーカスすることで、自分自身の人生をより楽しめると考えていました。就活開始時はあまりキャリアについて考えておらず、世間の人気企業というものさしにとらわれたこともあったのですが、そこではあまり自分が楽しんで働けるイメージがなかったんです。
自分だけで考えられる進路の選択肢は狭いなと感じて、サイバーエージェントのインターンシップに参加を決めました。そこで出会った社員さんの「ひかれたレールの上だけ歩く人生でいいのか」という言葉にはっとして、入社を決めました。
サイバーエージェントはセーフティーネットが確保されている会社でしたね。挑戦する人を応援する社風で、たとえ挑戦の末に失敗しても、評価してくれるような会社でした。
ーサイバーエージェントに新卒入社した後、どんなお仕事に関わったのですか?
早く成長して意思決定ができるようになりたくて、マッチングアプリであるタップルのチームに配属となりました。当時はトップを目指して経営者になりたいと考えていて、早く成長したい、意思決定の回数を増やしたいと考えていたんです。
ビジネスの世界で歩みはじめる中で、ひとまずプロジェクトマネージャーとして一人前になることを目指しました。自分としては最低限の目標として掲げていた会社の新人賞もいただけて、嬉しかったですね。
ー加藤さんがそんなにがんばれる源泉はどこにあるのでしょうか?
純粋な好奇心もあれば、自分自身の焦りもありますね。自分が成し遂げたいことから逆算したときに、全然実力が足りないなという焦りを常に感じていて。「もっと成長しないと」と、自分を鼓舞しています。あとは、1日1日進歩していきたいという向上心もあります。
私自身、怠惰な人間だなと自覚していますが、未来をイメージしたときにだらけている自分と、ちょっとでも燃えることを突き止めている自分とを比較すると、絶対に後者になりたいと思っています。
著名な臨床心理士のベルンハルトさんという方の本を開くと、不安症になる方は無意識に「絶対無理だ」「絶対にうまくいかない」という自己認識をかけているそうです。一度自己認識を破ることを繰り返すことで、怠惰な自分を超えていけると思っています。
ー加藤さんが働く上で、仕事の転機になったことはありますか。
事業責任者としてタップルチームの中で事業を立ち上げたところ、うまくいかずにクローズになってしまったことです。
本来は、事業を立ち上げるときに「こうしたい」という確固たるものさしを持って、全体に対する覚悟を持つべきだと思っていました。一方で、私は「経験がないから」と言い訳して、経験の多い上司など、他人のものさしに合わせてしまっていて。自分で意思決定するべきところを怠っていたんです。あとは「失敗したらどうしよう」という恐怖も常にあったように思います。
当時の自分には、「なにを言われようと自分の信念に従って意思決定して。失敗してもよりよいチャレンジができるから、失敗を恐れないで」と伝えたいですね。
クローズ後はタップルの事業に戻って仕事していたのですが、やっぱり意思決定したい、自分で事業を立ち上げたいと思うようになりました。YOUTRUSTというサービスの業務委託で声をかけてもらったのをきっかけに、今の会社へ転職しました。
働く中で、よりスピード感を高められないかなと思ったのが1番の理由です。サイバーエージェントでも成長環境や裁量権はもちろんありましたが、スタートアップという限られたリソースで戦う環境で自分が矢面に立つ経験を経ることで、よりスピード感も高められると思いました。