様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第562回目となる今回のゲストは、コーチ×人材組織コンサルタントとして活躍されている加藤 沙織(かとう・さおり)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。
“一人ひとりの個が生きる環境づくり”や、”多様性のある社会”への関心が芽生えて以来、学生時代は、海外/国際交流を通して様々な文化や価値観に触れる経験をされたという加藤さん。
日本での就職後は、コンサルタントとして企業変革に従事しながら、本業の傍らでCPCC(米国CTI認定プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ)の資格取得や、一般社団法人KOREWOKINIにてコーチング型ワークショップ開発をされていました。現在は、日系大手飲料メーカー向けに、内省×アート思考プログラム「Korecolor」を展開されています。
加藤さんが実現したい、一人ひとりが自分のコアを見つけ、ワーク・ライフの垣根なく輝く世界とは?人や組織に関わりたいという想いの源泉から、今この瞬間に体現できる自分らしさ、そしてその先に描きたい未来ついてお伺いしました。
ー自己紹介をお願いします!
ベンチャー企業にて人材組織コンサルタントをしている加藤沙織と申します。
個人ではライフコーチとして、一般社団法人KOREWOKINIにて「Korecolor」の開発オーナーとして、一人ひとりが自分を知り、ありたい姿を描くためのプログラムづくりをしています。
ー本業でも個人でも、人と組織をより良くするための活動をされているんですね。活動のきっかけは何だったのでしょうか?
原体験は、中学高校時代でした。
人は一人ひとりそれぞれ違う存在なのに、学校のクラスとして集まり行動すると、その人の個性が生かされていないと感じる場面がいくつかありました。
さらに、中高一貫校で計5回のクラス替えがあったのですが、その年のクラスの環境によって、自分を含め友人たちの表情や場の空気感が全然違うのはなぜなんだろう、と疑問を抱いていました。
同時に、将来は一人ひとりの個性が生きる環境をつくりたいという想いを持ちました。
ー中高に抱いた違和感が、現在の活動につながっているんですね。これまでの経験について、より詳しくお伺いしていこうと思います!
「今」を生きることの大切さを知る
ー中高での経験を経て、その後の進路はどのように考えられたんでしょうか?
一人ひとりの個性が生きる世界ってどんな世界なんだろう?
そのときにふと思いついたのは、日本の外ではどんな世界が広がっているんだろう?という疑問でした。
日本の外では、人々が宗教や肌の色といった違いを持っているにもかかわらず、うまく共存し合っている国があるのではないかと思いました。実は全く海外に行ったこともないし、海外の映画などが好きだったという訳でもなかったのですが(笑)、自分が実現したい世界について何かヒントを得られるんじゃないか!?と直感で感じました。
大学では絶対海外に行ってみたい!という勢いで、大学受験を乗り切りました。
ー大学入学後、すぐに海外に行かれたんでしょうか?
はい!入学してすぐに、東南アジアで子どもの教育支援をしているNPO団体に入り、ミャンマーとベトナムに行きました。現地の小学校や孤児院に訪問し、子どもと文化交流などの活動をしました。
ーそれまで海外へ抱いていたイメージと、実際現地に行ってみて何かギャップはありましたか?
実際に行ってみると、現地に行くまで全く想像つかなかったことばかりでした。
訪問先の子どもと交流した後に訪れた観光地では、物乞いやお土産の売り子をするたくさんのストリートチルドレンに出会いました。
買って買ってと怒り口調で強く訴えてきた子どもに衝撃を受けながらも、どこか悲しさを隠し切れていない表情が見られました。
彼らも支援先の子どもと同じように笑顔を持っているはずだと思い、一人ひとりと粘り強く対話を諦めなかったところ、耳を傾けてくれ、最後には友達として受け入れてくれました。
ーコミュニケーションの壁も工夫で乗り切られていたんですね。
人々と関わる中で感じたことは、心からの笑顔がとても輝いているということでした。
日本では、自分も含め、個性を内側に閉じ込めている人たちをたくさん見てきました。
でも、彼らはありのままのごく自然な姿を見せてくれているように感じました。
精神的な、本当の幸せを目にしたように感じて、すごく感動しましたね。
ー彼らが幸せに生きているように見えた理由って、何かあったんでしょうか?
彼らは「今」を生きていたということです。
それまでの私は、過去がこうだから未来はこうしたい、また同時に、未来に〇〇の乗り越えなければならないものがあるから、現在はこうすべき、という思考を無意識に持っていました。特に、大学受験はこの思考が強くなっていました。
辛かった時は、「大学生になったら海外に行ったり、いろんな楽しい経験をするんだ」という気持ちで乗り切ってきました。思い返すと、貴重な思春期の「今」を生きていなかったように感じます。
対してタイやミャンマーの人々は、今その瞬間をすごく全力で生きていたんです。
それまでの自分とは異なる生き方に出会い、とても大きな衝撃を受けました。