迷ったら考えるより心躍る選択を。ハッピーにエコる活動家、村田美穂の目指す未来

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第893回目となる今回は、ハッピーにエコる活動家、ハピエコ代表理事の村田 美穂(むらた・みほ)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

『ハッピーにエコる環境講座』をしながら、Instagramやラジオでも環境問題についての発信をしている村田さん。貧困問題や環境問題に関心をもったきっかけや、大切にしている価値観についてお話しいただきました。

偉人の伝記を読み、社会を変えられる人に憧れる

ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

初めまして、村田美穂です。一般社団法人ハピエコの代表理事を務め、『ハッピーにエコる環境講座』、通称『ハピエコ講座』の講演活動をしています。

環境問題の現状と日々の生活とのつながりを理解した上で、自分の心の声を聞いてハッピーな選択をしようと伝える講座です。

環境問題などの社会課題は、一人ひとりの心から引き起こされていると私は考えています。そのため、「一人ひとりが自分の心と向き合い、心が躍る瞬間を増やし、結果として社会課題が解決されていく」という導線をつくり、より良い世界にしていくことを目標にしています。

小学校や衆議委員第一議会会館での講演や、経営者や社員向けのSDGs研修も行っており、総講演数は130回を超えました。現在はInstagramや、かわさきFM放送の『ハッピーにエコる!ハピエコラジオ』などで発信活動もしています。よろしくお願いします。

ーここからは、村田さんの過去を振り返ってお伺いします。どのような幼少期を過ごされたのでしょうか?

当時は気が付いていませんでしたが、あまり家庭環境が良くなく、楽しい記憶よりも泣いていた記憶のほうがかなり強いです。両親は自分のことで精一杯で、私は学校の子たちともなじめず、心がわくわくすることのない幼少期を過ごしていました。

そんな生活を続けていましたが、中学校でおもしろい子たちに出会ったんです。その子たちと接しているうちに、ようやく楽しいという感情が分かるようになりました。

「こんなにおもしろいことがあるんだ」「こんなに人生って楽しいんだ」と思い、おもしろいことやわくわくすることを探してやり始めました。

貧困問題や環境問題に関心を持ち始めたのは、小学生のころです。きっかけは、マザーテレサとナイチンゲールの伝記でした。漫画になっているので、小学生でも読みやすかったんですよ。

今思えば、家庭内での環境を何ひとつ変えられず、無力感を覚えていたんだと思います。でも漫画の伝記に出てくる人たちは、自分の行動次第で社会を変えていきました。

読んでいくうちに、世界にはこんな人たちがいるんだなと憧れを抱き、「私もいつか理不尽な世界を変えたいな」と思いました。

語学留学で本当の意味での多様性を感じる

ー18歳のころに初めての転機があったそうですね。どのような転機だったのでしょうか?

高校生まで住んでいた愛知県みよし市が、比較的保守的な地域なのもあり、高校生までは世間的に正しいとされている価値観や社会の正解にそって、狭い枠組みの中でどう生きるかという思考だったんですよね。

高校生のときも、勉強ができるか部活ができるかの軸で人を測る文がが強い環境で過ごしてきました。

それでも、大学生になったら貧困問題に関連することを深く学びたいなと思っていたので、「絶対に合格するぞ!」と意気込んで、志望度の高い1校にしぼって受験をしたところ、結果は不合格でした。

こんなに全力を出してがんばったのに、私の中で1つの大きな柱になっていた「勉強」ができなかったことで、すごく落ち込んでしまいました。浪人するしかないなと思っていたところ、「海外の大学もいいんじゃない?」という考えが浮かびました。

このとき、「なんでこの大学に行こうと思ったんだっけ?」と振り返って目的を考えてみました。いつの間にか日本の志望大学に行くことが目的化していたけれど、「貧困問題などの世界の社会課題を解決したいから、勉強したかったんだ」と思っていたことに気が付きました。

それなら、英語で勉強したほうがいいかもしれない。日本だけの枠組みよりも、様々な国の人たちと話しながら大学生活を過ごしたほうがわくわくできるし、社会問題を解決する近道になるかもしれないと考えました。

志望大学に落ちたからこそ、本当にやりたいことを改めて考えるきっかけになりましたね。

その後、どのような基準で進学先を決めたのでしょうか?

どこの国の学校に行こうかと調べていくうちに、世界で広く使われている英語圏がいいなと思いました。

当時は英語に苦手意識を持っていたので、英語が聞き取りやすくて寛容性があるといわれているカナダにしました。そして最初の半年間は英語を鍛えるために、語学学校に行こうと考えました。

日本人がほぼいないところに行きたかったので、情報をかき集めて首都のオタワに行くことに決めました。

ー実際に入学されてみて、気付いたことや感じたことを教えてください。

南アメリカや中国、様々な国の人たちがいるなかで感じたのは、根底にある信念や価値観、育ってきた文化が違うからこそお互いをリスペクトできる。同じように感じる部分もあるけれど、全く違う捉え方をすることもある。

皆んな違うからこそ、自分のことも認められるようになり、相手のことも認められるようになったことが大きな気付きですね。「多様性」の本当の意味を肌で感じました。

今までは固まった価値観の中で生きていたので、初めて正解の概念がない世界に飛び込めた感じがしましたね。

語学学校の授業も、正解に重きを置いていませんでした。「あなたは、赤がオレンジだと思うのね」「あなたは、ピンクなのね」と、それぞれの意見を聞いてからディスカッションをして、誰の意見も否定せずにそのまま終わる授業に衝撃を受けました。

そのため、「物事や考えには正解がある」と無意識に持っていた概念が、そこで崩れていきました。

それからオタワで勉強していくなかで、日本では環境問題を含む様々な社会課題が、あまり報道されていないことによる情報格差や、関心度の違いも感じました。実際に海外に行ったからこそ、気付いたことだと思っています。