次世代への医療応用を目指してゲルの研究に挑戦|東京理科大学大学院・手島涼太

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第771回目となる今回は、東京理科大学大学院の手島 涼太(てしま・りょうた)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

中学生の時にゲルと出会い、部活と両立しながら8年間研究を続けています。次世代への医療応用を目指して研究を続ける手島さんに、ゲルとの出会いや今後の展望などについてお聞きしました。

理科や数学が好きだった少年時代

ー簡単に自己紹介をお願いします。

手島 涼太(てしま・りょうた)と申します。東京理科大学大学院の修士課程に在籍している22歳です。応用化学を専攻しており、再生医療への応用を目指した生体材料について研究しています。中学生の頃から生体高分子でできるゲルの研究を始めて今年で8年目になります。

ー小さい頃はどのような少年でしたか。

小学生の頃から理科や数学が好きだったので、漠然と研究者に憧れを抱いた時期がありました。

ー小学生の頃から化学の道に興味があったのですか。

小学校は科目が細分化されていないので、化学というよりも理科や数学が好きでした。化学が好きだと思うようになったのは、中学時代からですね。

化学に興味を持ち実験を始めた中高時代

ー中学生になってから、興味のあることがわかったのですか。

中高一貫校に通っていたので、中学生でも高校で習う内容を一部学ぶことができました。転機となったのは、中学2年生の時の化学の授業でした。

ー中学2年生の時に化学が面白いと思ったのですね。

そうです。2つの物質が反応して新しい物質ができる過程がわかりやすく、そこに可能性を感じて好きになりました。なんというか少し神秘的だなと感じました。

ーそこから現在の研究にはどのようにつながっているのでしょうか。

私は現在、創傷治療や再生医療への応用を目指したゲル材料について研究をしています。具体的には、傷口に貼って治癒を促すゲルや、細胞の自己組織化を制御するゲル薄膜などです。純粋な化学というよりも、少し生物や医学っぽいですよね。

私の中高時代は、山中伸弥先生の再生医療研究がノーベル生理学・医学賞を受賞し、『次世代の新たな医療』が非常に注目されていた時期でした。私自身、生物や生命科学にも興味があったので、自分の得意な化学を使って次世代の医療に貢献できるようなモノを作りたいと思ったのがこの分野に興味を持ったきっかけでした。

ー興味を持ったタイミングと時期が重なったのですね。

今もこの分野が大好きなので、そういう意味では恵まれていました。研究に興味を持って起こした行動があります。当時、大学の研究室を見に行きたいと思い、興味のある研究室の先生に「見学させてくれませんか」とメールを送りました。その甲斐あってある先生の研究室を訪問させていただきました。

実は現在、私が在籍している研究室は当時見学させていただいた研究室です。見学を通して化学を生かした新たな医療の創造に挑戦する研究に興味を持ち、ゲルの研究を始めました。

ーゲルの研究を始めた経緯を伺ってもいいですか。

きっかけは本当に単純で、自由研究の本でゲルの実験を見つけて面白そうだと思ったからです。液体が固体状になるといった視覚的なわかりやすさも興味を持ったポイントでした。

ー中学生でゲルの研究に興味を持つのは珍しいと思いました。周りにも自分の興味を絞っている人はいましたか。

少なくとも研究をしている人はいませんでした(笑)。自分でも変わっていると思っていたのですが、通っていた学校はやりたいことにチャレンジさせてくれる校風でした。そのため学校の先生にお願いして理科の実験室を放課後に貸してもらい、1人で実験していました。

年に1度開催される日本学生科学賞に、研究成果をまとめたレポートを出して賞をもらえたのが大きなモチベーションにもなりました。興味を持ってやっていることを評価してもらえるのはとても嬉しかったです。

ー中高一貫校だったから実験を続けることができたのですね。

そうですね、中学・高校と研究を続けることができました。当時、吹奏楽部にも入部していて、サックスを演奏していました。週5で部活があり、休みが金曜日と日曜日でした。主に金曜日の放課後に実験室を使って実験をしていました。

ー吹奏楽部をやめて研究に没頭しようと思いませんでしたか。

吹奏楽部をやめようと思ったことはありませんでした。チームプレーの吹奏楽部と1人でやる実験のバランスが良かったので、楽しんでいましたね。