挫折を糧に強くなる。プロビーチサッカー選手・坪谷亮太の成長するための向き合い方

ビーチサッカーとの出会い

ーその後どのようにしてビーチサッカーと出会ったのか教えてください。

大学3年生の就活が始まる時期に、就職するかサッカーを続けるかで悩んでいました。そのときに先輩がビーチサッカーをしているのを知り、初めてビーチサッカーを体験したのです。

ビーチサッカーを初めてプレーしたとき、「なんだこのやりづらいスポーツは」と思いました(笑)。サッカーをしていたため、ある程度できるだろうと思って臨みましたが、サッカーとはまったく違うスポーツでした。

サッカーと違って砂浜でプレーするため、オーバーヘッドのようなアクロバティックなプレーが多いのにも驚きました。ビーチサッカーのおもしろさにどんどん魅了されていきました。

ービーチサッカーについて詳しく教えてください。

ビーチサッカーは裸足でするスポーツで、シーズンは春夏がメインになります。練習は基本的にビーチで行います。

関東では冬場は寒くて練習するにもなかなか厳しい状況ですが、私が所属しているチームは沖縄にあるため、年中練習ができます。

ーサッカーとビーチサッカーの違いを1番感じた部分はどこでしたか?

ボールの扱い方や運び方に大きな違いを感じました。パスが思ったところに行かなかったり、思った通りに蹴れなかったりするのがやりにくさにもつながっていると思います。

ーなぜビーチサッカーを続けたいと思ったのでしょうか?

私自身、日本代表に強い憧れがあったからです。サッカーとは違い、ビーチサッカーは競技人口が少なく、発展途上のスポーツです。そのため、日本代表が近い存在だと感じました。

それからは「ビーチサッカーの日本代表になる」ために本気で取り組み始めました。

ーどのようにしてチームを決めましたか?

年中暖かい沖縄であれば1年中ビーチサッカーに打ち込めると思い、沖縄のチームへの入団を決意しました。日本代表になるためには、まず練習量が必要だと思ったからです。

ー就職ではなくチームに所属することに迷いはありませんでしたか?

周りは就活をしているなかで自分だけ違う道を選択することへの不安と迷いがあり、就活もしていました。ビーチサッカーはマイナースポーツのため、周りの人たちは良いイメージを持っておらず、心配されることも多かったです。心配の声を受けることはありましたが、迷うことはなく、むしろ見返してやろうと思いました。

また、就職とビーチサッカーを天秤にかけたとき、後悔しない選択はビーチサッカーだと思って。自分のなかでサッカーにまだ未練があるのを感じ、就職するよりもビーチサッカーをやりきったほうが良いと考えました。

挫折を糧に成長する

ー2021年にロシアで開催されたビーチサッカーW杯に日本代表として参加し、準優勝されたそうですね。

ビーチサッカーの日本代表になることができ、世界2位になることができました。目標にしていた世界一には届かなかったものの、とても嬉しかったです。

ただ、私が出場できたのは予選リーグのみで、決勝トーナメントではメンバー外になってしまいました。チームは勝ち進んでいたため、チームの雰囲気を壊さないようにしていましたが、内心は非常に悔しかったです。

ーこのインタビューの1週間前には全国大会があったとお聞きしました。

所属チームで出場でき、準優勝できたのは良かったです。しかし、W杯でも全国大会でも自分が出場して優勝することが目標のため、満足はしていません。

ー高校・W杯・全国大会とお伺いしただけでも3度の準優勝を経験されていますが、そこで終わらずどのようにして原動力に変えたのでしょうか?

準優勝という結果を手に入れられても優勝はできていないわけで、成長するためにはどうしたらいいのか・足りなかったのはどの部分かと切り替えていますね。

昔から負けず嫌いな性格で、相手を変えることができないのなら自分が変わって成長していくしかないと思っていて。目標を達成するためにはどうするかを常に考えています。

ー悔しい経験をした直後に振り返りはされますか?

直後にはあまり振り返りできないですね。ただ、成長するためには嫌な部分と向き合うしかないと思い振り返りをします。

自分のなかでは嫌な思い出で触れたくない部分でも、そこから逃げていたら成長できないと思っていて。だからこそ、嫌な部分から逃げずに向き合おうと決めています。

ー打ち込めるものがあっても、ほかのこととのバランスは難しいと思います。

そうですね。普段はビーチサッカーについて考えることが多いですが、挫折してどうしても前を向けないときは、違う趣味や何も考えない時間を作って気持ちをリセットしています。自分自身が切羽詰まっていると感じるときは、リフレッシュしてあげるとより集中して取り組めると思います。

ー選手としての展望と今後取り組みたいことを教えてください。

選手としては、W杯で優勝するのが目標です。自分が中心選手となって優勝に導きたいと思っています。

今後はビーチサッカーをより多くの人に知ってもらうために自分から発信したり、一般の方たちがビーチサッカーに触れる機会を増やしたりしていきたいと思っています。

ー最後に、これから1歩踏み出そうとしている方に向けてメッセージをお願いします。

挫折しているときは辛いし、自信もなくなり、嫌な時期だと思います。しかし、そこから逃げて目を背けていると新たな自分になれないと思います。挫折した直後でなくても、落ち着いてから自分自身としっかり向き合うことで、より成長した自分に出会えるはずです。

未来の成長した自分を想像することで、挫折はポジティブな経験に変わり、良い経験だったと思えるようになります。成長した自分になるために、自分自身としっかり向き合ってほしいです。

ーありがとうございました!坪谷さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:山崎貴大(Twitter
執筆:竹山瑞香(Twitter
編集:松村彪吾(Twitter
デザイン:安田遥(Twitter