やりたいことがあるなら、行動してみると世界が変わる

ー大学を卒業して、丸の内ITエンジニアとして就職されたそうですが、就職活動から就職に至った経緯を教えてください。
農大で食について学んでいたので、食品メーカーに絞って就職活動をしていました。しかし、食品成分を学んできたからこその違和感や、「売れるものを売っていく」姿勢に疑問を感じるようになり、自分が大切にしている想いを伝えても上手くいきませんでした。
私が思い描くような活動をされているフリーランスの方々もいましたが、当時は社会に出て経験を積みたい気持ちが強かったので、知り合いから紹介していただいたIT会社を受けました。そこでご縁があり、自分が重視していた「誰と働くか」という人の部分と、意欲を買ってもらえるベンチャー気質の部分があうと思い、丸の内ITエンジニアとして就職しました。
ーITエンジニアとして働いてみていかがでしたか?
第一線で社会を支えるような仕事で、仕事に対する想いがある方々と働けて楽しかったです。先輩や同僚も本当に尊敬できる人たちばかりでした。ただ、ハードな毎日ではありました。平日は朝9時から夜10時までITエンジニアとして働き、週末は食に触れたくて有機農家さんで運営スタッフをしたり、間借りカフェやマルシェのイベントをしたりと両立して活動していたのですが、次第に難しくなってきて……。
週末に食に触れている時間、人と人が食を通して繋がっている時間のほうが好きだと思ったんですよね。一生付き合っていく自分が大切だと感じることを優先しようと思い、2年間働いたITエンジニアを退職してフリーランスになりました。
IT、食、デトックス、とカードを何枚も持っていると唯一無二になれますよね。だから、ITエンジニアになってよかったですし、何も無駄なことはなかったと思います。

ー会社員からフリーランスに転身される際に、何か準備をしていましたか?
資格取得をはじめ、発酵、インナービューティーやデトックスなどの勉強をしていました。独立に向けて会社員のときから勉強し、麹クリエイター協会に入って「麹マスター」という資格を取得しました。その協会で自分の講座やレッスンをしてみて、ある程度経済的にも満たせたのでフリーランスになりました。でも、ビジネス周りはあまり得意ではないので、やってみないとわからないという気持ちで一歩踏み出したのは大きいです。
ーフリーランスになってみて、どういったところが大きく変わりましたか?
遊びと仕事の境目がないという点は大きく変わりました。やりたいことをやっている感覚なので、そのために自分の時間をすべて使えて、何をするにも「今日仕事嫌だなあ」という気持ちになることはないですね。人生を楽しんでいるし、自分自身が本当に生き生きとしています。
そういう自分になると、さらにスピード感を持って進んでいきました。例えばマルシェのお誘いをいただくなど、活動をする中でチャンスをいただくことが増えてきて。楽しんでいるエネルギーがチャンスを呼び寄せるんだと思いました。
やりたいことや好きなことがあるなら、一度飛び出してみると世界が大きく変わるし、チャンスが巡ってくると実感したので、考え方次第ですね。学んだことをZoomを使って話すなど、どんな小さな機会でもいいので一度アウトプットすると、また新たな自分が見えてくると思います。
「私のために」「私を労わる」食事のきっかけをつくりたい

ー加藤さんは今どういった活動をされているのですか?
今は発酵のレッスンやワークショップと並行して、レディースクリニックで妊婦さんたちにオーガニックやからだを労わるお料理をつくる仕事をしています。
レッスンだけではなく、実践の場でも発酵のお食事を伝えたいと思ったときに、今のレディースクリニックとご縁がありました。命が生まれる現場で、自分がつくったお料理とともにコミュニケーションをとりながらお伝えできるという仕事に誇りを持っています。
私が食事の大切さを伝えたい層は、同世代の女性やこれからママになる方、すでにママになっている方なので、女性のからだも変わりやすい時期なんです。それに、過去の私と同じように肌やホルモンバランスの乱れに悩みがある方にも、自分自身を労わる一つの選択肢として、食事の大切さを伝えていきたいですね。
ー「自分自身を労わる」ということに、気づく方と気づかない方がいるように思うのですが、加藤さんご自身が意識されるようになったきっかけを教えてください。
私はずっと自信を持てなくて、自分のことも好きになれなかったのですが、今の活動や普段の食事、私や家族のために愛を込めてお料理をすることで次第に変化していきました。誰かのためだけではなく、「 ”私のために” 料理や食事ができている」と気づけるようになったんです。これまで自分のことは後回しだったんですけど、私のからだの中に入れる食事をきちんと考え、労ってあげられていると気づけたことがきっかけです。
麹のおかげで少しずつ腸内環境が整ったことも、考え方が前向きに変わったきっかけですね。私の場合は、自分を労わる選択肢として麹があります。例えば、納豆に醤油麹を入れてみたり、調味料で塩麹や甘酒を使ってみたり、買ってきたお弁当にプラスして塩麹とお湯とワカメで即席スープをつくって飲んでみたりする。それだけでいいんです。

食べたいものは我慢しなくていいし、ストレスをためるのが一番よくないですね。普段の食事で、「自分を労われている」と思えるならどんなに簡単な料理でもいいと思います。
ー「労わる」という意味をきちんと理解できたように思います。最後に、加藤さんの今後の展望を教えてください。
自分のことが好きになれない人に向けて、自分を労って好きになれるきっかけをつくりたいです。私自身もそうだった経験があるので、自分の心やからだにやさしい食事を選ぶことの大切さを伝えたいです。それは決して無理して食べたいものを食べないのではなく、自分を労ってあげる「からだ想い」の食事をとることが大切です。その選択肢として、麹を使った料理を伝えていきたいですね。
それに、子どもたちのために食でアプローチできればと思っています。私は家族愛や無条件の愛をテーマに活動しているので、食卓を豊かにするお手伝いをしていきたいです。どんなに学校や会社で嫌なことがあっても、家庭や食卓が幸せな空間だったら戻ってくれる場所があるし、自分の存在価値を認めて大切にできると思うんですよね。それを子どもの頃から、例えば食卓で家族みんなが揃わない子どもたちに、子ども食堂や子ども園のような施設で、みんなで食卓を囲みたい。無条件の愛を感じられて、愛が溢れる食卓を子どもたちに知ってもらいたいです。



