私を労わり、私を好きになる。加藤明日香が思う、食事の大切さとは

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第790回目となる今回は、発酵美容料理家・麹マスターの加藤 明日香(かとう・あすか)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

「食卓をあたたかく、笑顔あふれるものにしたい」という想いから、農大に進学し、食品について研究した加藤さん。卒業後、丸の内ITエンジニアを経て、発酵美容料理家・麹マスターとして独立します。加藤さんが食事を通して大切にしている想いを紐解きました。

食事で心とからだを労わり、みんなが自分を好きになれるように

ーまずは自己紹介をお願いいたします。

発酵美容料理家・麹マスターの加藤明日香と申します。自分自身を好きになれて労われるように、一つの選択として発酵美容の料理をお伝えする活動や、料理教室「花明かり」を主宰しています。また、レディースクリニックでも、妊産婦さん自身がからだを労わってもらえるような食事をつくっています。

ーちなみに「花明かり」という屋号は、どういった意味を込めて名付けたのですか?

「花明かり」という言葉は、『美人の日本語』という本の中にあったんですね。例えば桜は、昼間は他の植物と同じように咲いていますが、春の夜の桜はポッと心が明るくなったり、桜が光を放っているように見えることはありませんか? そういうような人を「花明かり」というんです。私の発酵のレッスン・ワークショップや料理教室も、心が明るくなるような場所にしたい想いと繋がったので「花明かり」にしました。

食卓をあたたかく、笑顔あふれるものにしたい想いから農大に進学

ーここからは、今のお仕事に至るまでの道のりをお伺いします。高校の進路決定で、自分のやりたいことを本気で考えていたそうですね。このときどのようなことを考えていたのか、どういう選択をしたのかを教えてください。

これまでの人生で一番の分岐点ですね。両親からは「就職してもいいんだよ」と言ってもらっていましたが、まだ学びたい気持ちはあったので大学進学を決めました。そこで、私の幸せなときっていつだろうと本気で考えたんです。そのときに頭に浮かんだのが、祖母の家での食卓でした。

両親が共働きで忙しくて、夕食は買ってきたお弁当だったり、家族全員が揃って食事をすることがなかったりすることが当たり前でした。だから、年末年始に親戚みんなで集まって、大きなテーブルにさまざまな料理を並べて会話をしながら食卓を囲む空間が一番幸せだなと思って。そのときに漠然と「食で人を幸せにしたい」と思うようになりました。

ーその想いから、食を学べる大学への進学を決めたのですね。

はい。一生懸命勉強して、東京農業大学(以下、農大)の食品安全健康学科に合格しました。自分で決断して進学したので、農大での学生生活は本当に楽しかったです。学びたいことを学べる環境というのは、自分もそれだけ前のめりになれたし、意欲を持って過ごせました。

ー食品安全健康学科では、どういったことを学んだのですか?

食品成分が身体にどう影響し、効果をもたらすのかを研究していました。私の場合は主に、ワインの成分であるポリフェノールが身体にどう作用するのか、また大豆のイソフラボンの影響・効果について自分の身体を使った人体実験もしました。他にも、食品衛生学や微生物学についても学びました。

ーその頃から、麹のことにも興味を持っていたのですか?

当時は全然でしたね。元々は、食卓をあたたかく笑顔あふれるものにしたい想いから入学したので。でも、中学生の頃から肌荒れに悩んでいて、それが原因で気持ちが沈んだりストレスを抱え込みやすかったりしてからだに出やすかったんです。

食を学んでいくうちに、人間は食べるものでからだが作られているんだと実感しました。農大生の頃、パン屋さんで働いていたので、賄いでもらうパンを毎日のように一日5.6個食べていたんですよ。そういう生活をしていたら、肌が荒れたりイライラしやすかったりして。ホルモンバランスも乱れました。人によるのかもしれませんが、私の場合はからだに出やすかったことと、子どもを産むからだでもあるので、インナーケアやデトックス、発酵食品を学ぶようになりました。