不登校をプラスに捉える。大学生の片山知香が目指す「誰も取り残されない世界」とは

一番の理解者であるパートナーとの出会い

ーフィリピンから帰国後は、どのように過ごしていたか聞かせてください。

高3の11月くらいに受験から逃げてまして。Twitterで「誰でもいいから話しましょう」と呼びかけていると、COを一緒に立ち上げた栗原と出会いました。

話を聞いてみると、不登校経験があって不登校支援をしたいという想いがまったく一緒で

、ビビっときました。そのまま意気投合して、受験が終わったら絶対一緒に事業やろうと約束をして、現に今一緒にCOを運営してますね。不思議な感覚です。

ー栗原さんはどういう存在ですか?

私がオブラートに包まずに伝えて傷つけてしまうことがあるのですが、それでもいつも受け止めてくれるので感謝しています。私にとって、一番の理解者です。

ーでは、高校時代は栗原さんと出会い、順風満帆だったのでしょうか。

いえ、実は高校2年の後半から、あまり理由なくただ単に学校へ行きたくなくなり、再度不登校になったのです。「学校にいく意味って何だろう」と考えすぎて、また起立性調節障害になってしまいました。受験のストレスなど、おそらく精神的な問題が大きかったのでしょうね。

ーそんな中で、大学の進学はどう考えていましたか?

高校1年の頃から塾へ通わせてもらっていましたし、周りの友達も進学する子が多かったので、大学へ行かないという選択肢はありませんでした。

今思うと、就職やニートはありえないという圧力がかかっていたのかもしれませんね。

少数派の人が阻害されない社会にするために

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ー不登校を二度経験された片山さんだからこそ、気づけたことはありますか?

学校へ行かなくても大人になれるということです。不登校の子たちに対して、「学校へ行っていない時間を有意義に使うこともできるし、学校がすべてじゃないよ」と言いたいです。

学校へ行くのが大多数の中で、学校へ行かないという選択肢を自ら選んでいる子は、ある意味とても勇気があると思います。

ー現在運営されているCOでは、不登校の子たちに対してどのようなサポートをしているのか教えてください。

不登校になって会話をする機会が減ってしまった子たちを集めて、ワードウルフや絵しりとりなど会話が必要なゲームをすることで、コミュニケーションの機会を生んでいます。そこで少しでも楽しい思い出を作ってほしいという想いで企画していますね。

また、不登校の子たちとの対話も大事にしていて。例えば、受験が心配で学校へ行っていない子には、「私でも高校・大学へ行けたよ」と体験談を話したり、高卒認定やおすすめの参考書を伝えるなど、選択肢が増えるようにサポートしています。

ーCOではどんな世界を目指していますか?

誰も取り残されない世界を作りたいです。難民とか、性的マイノリティとか、不登校とか……少数派の人が社会にいても、疎外感を与えないような社会にしたいですね。

COでは今は不登校事業を中心にアプローチしていますが、ゆくゆくは同じ悩みをもった少数派の人たちのためのコミュニティを作りたいと思っています。

ーそのために今行っていることはありますか?

まずは少数派の人たちの存在を知ってもらうために、周りの人への働きかけから始めています。

例えば友達とご飯へ行ったときに、性的マイノリティやLGBTについて知らなければ、理解しなくてもいいから単語だけは知って欲しいという気持ちで、私が知っている知識をもとに話すようにしています。

今は20〜30代の人にしかアプローチできていないのですが、その世代の意識改革をすれば、何十年後、親世代が差別をしなくなり、子どもも差別しなくなる。年月はかかりますが、それを続けていくといつか差別はなくなると信じて活動を続けています。

ー最後にU29世代へ向けてメッセージをお願いします。

少数派になったとしても絶対仲間はいるし、決して一人じゃないと伝えたいです。

ーいろんな経験をされた片山さんの言葉はとても重みがありますね。本日はありがとうございました。片山さんの今後のご活躍を応援しています!

取材:とも(Twitter
執筆:もりはる(Twitter
デザイン:安田遥(Twitter