雇用機会を生み出すため、プログラミングスクールを開始
ー被災後もネパールに滞在していたそうですね。どのように過ごされていたのですか?
プログラミング教育のスクールを始めました。ネパールには地震で職を失った方々がたくさんいました。
ーなぜプログラミングスクールをはじめられたのですか?
当時は2、3ヵ月プログラミングを学び、手に職を持つプログラムが日本やアメリカで人気を集めはじめていた時代だったんです。
ネパールで同様のプログラムを展開すれば、エンジニアになれる人が増えるのではないかと考えました。
振り返ると、ソーシャルインパクトを重視した初めての起業経験でした。
ープログラミングスクールを運営されていかがでしたか?
ネパールに滞在する約100名に教育の機会を届けることができました。
その後プログラミングスクールは、日本のソフトウェアの会社に引き渡しました。そのソフトウェア会社には、スクールで学んだ方が10名ほど働いています。
学んだことを仕事につなげた方や、現地のソフトウェア会社に就職した方もいます。
少しは自分の行動が、人の人生に影響を与えられたのではないかと思っています。
コロナ渦での心の癒しは、自然に触れること
ーコロナ禍になってから、ロビンさんの生活にも変化があったそうですね。
2019年にコロナの感染が広がり、一斉に在宅ワークになりました。ずっと家で仕事をしていたら、身近な自然に癒しを求めるようになったんです。
小さな自分の家庭菜園やミミズのコンポストづくりを始めて、幼少期に戻った感覚がありました。
ー自然に触れる時間が増えたのですね!現在の活動につながる都市型農業との出会いを教えてください。
自然への興味が再び広がり、シンガポールの自然に関する国策を調べてみたんです。2030年までに30%まで自給率を高める国策があると知りました。実はシンガポールの自給率は、5%を切っているんです。
コロナの影響で、東南アジアの安い輸入物が止まり、水耕栽培や植物工場への投資が進んでいます。色んな水耕栽培や植物工場の現場を見学させてもらいました。
水耕栽培は、がっつり携わらせてもらいました。工場の作業員のように種まきをしたりモニタリングしたり、収穫やパッケージングも毎日していましたね。
ーFoodscapingとの出会いもあったそうですね!
シンガポールでFoodscapingに取り組んでいる事業者と出会いました。シンガポールの有名ホテルで食べられるものを使い、空間をつくる。すごく面白いなと感じました。
水耕栽培からシフトして、Foodscapingのプロジェクトに関わらせてもらうようになりました。
ー心に残っているプロジェクトはありますか?
51階建てのオフィスビルにFoodscapingをつくるプロジェクトです。2021年11月から始まりました。植物を何百個も高層階に運ぶところから施工管理までの一連の流れを経験させてもらいました。今につながる大きな経験です。
ああだこう言いながら仲間と作業して、食べ物や植物に触れる。シンガポールの最上階の屋上と別府の風景は、変わらないとふと思ったんです。
人との温かい交流や緑に触れる機会は、都心部でもつくれると気づいた瞬間でした。
ーどうして日本でFoodscapingを展開したいと思ったのですか?
もっと身近に緑を楽しむ機会を作りたかったらからです。
東京の緑は、なんとなく触れてはいけない雰囲気を感じます。駅前の植栽や整然とした花壇はとても美しいと思うのですが、触れにくいですよね。
日本でFoodscapingをもっと普及させていきたい想いが強くなったところで日本に戻ろうと決断しました。
ーどのように日本のプロジェクトにつなげたのですか?
色んなところに突撃やアポをしました。結構ハッスルな毎日ですね(笑)。会社として実績が少ない分、中々受け入れられにくいところはありますが、少しずつでも確実に良いものを創れたらと思っています。
トライして飛び込む先に、新たな出会いがある
ーロビンさんの大切にされている価値観を教えてください。
何事も行動してトライすることが大切だと思います。毎日勉強や仕事をする中で、どうしても時間が足りないと思いがちですよね。少しでも隙間時間にコミュニティに参加したり、新たに出会った人と話すだけで、自分の世界はどんどん広がります。
次の行動の大きな指針になったり、思わぬ活動のきっかけになったりします。
ーロビンさんの今後の展望を教えてください。
Foodscapingを通して、緑を媒体としたウェルビーイングを実現していきたいです。日本の素晴らしい技術を組み込んだFoodscapingモデルを確立し、ウェルビーイングを向上させたいですね。世界の都市への展開もできたらと考えています。
グローバルの環境下では急速に都市化が進んでいます。Foodscapingの持つ役割は、ウェルビーイングに帰着しているのではないかと考えています。
今後ますます、個々やコミュニティの幸福はさらに大きな意味を持つと考えています。
ー最後に、U-29読者にメッセージをお願いします!
自分がやっていることと全く違う分野の人や場に身を置いてみてほしいです。自分がやっていることとの共通点を見つけられたり、ぼんやり考えていた将来やりたいことの視座を高めるきっかけになったりすると思います。
あえて全く関係ない環境で刺激を受けて、きっかけをつくってみてほしいです。
ーありがとうございました!ロビンさんの今後のご活躍を応援しております!
取材:黒澤朝海(Twitter)
執筆:naoko(Twitter / note)
デザイン:高橋りえ(Twitter)