様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第773回目となる今回は、Green Neighbors合同会社代表の篠崎 ロビン 夏子(しのざき・ろびん・なつこ)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。
日本初のFoodscapingの事業者として、新たな緑の価値の確立とウェルネス向上を目指すロビンさん。人とのつながりと挑戦を大切にしてきた半生を振り返りながら、Foodscapingに込める想いを伺いました。
「Foodscaping」は、楽しむ新たな緑の価値を生む
ーまずは、自己紹介をお願いします。
篠崎ロビン夏子と申します。日本初Foodscapingの事業者としてGreen Neighbors合同会社の代表を務めています。2022年3月まで、Meta社のシンガポールにあるAPAC拠点で働いていました。現在も東京の同社で働いています。
ー「Foodscaping」は、どのようなものか教えていただけますか?
「Foodscaping」は、フードとランドスケーピングをかけ合わせた造語です。食べられるハーブや野菜を活用して、空間をデザインします。スペースはあまり必要とせず、花壇や外構スペース、屋上などに景観が優れた場をつくっています。
そこに参加型の場づくりの要素を加えて、新たな緑の価値の提供とウェルネスの実現を目指しています。
ーFoodscapingと庭や畑の緑の違いは何なのでしょうか?
必ずしも収穫が目的ではないところですね。収穫祭は開催しますが、必ずしも収穫した食べ物を食べるわけではありません。たとえば地元の温泉にハーブを提供して、ハーブ風呂をお客様に楽しんでもらいます。
見るだけではなく、触れたり育てたりして楽しむ。新たな緑との交流が生まれることに価値があると考えています。
ー国によってFoodscapingの知名度に違いはありますか?
日本での知名度は、まだあまり高くはありません。おそらくGoogle検索しても、日本語のページはあまり出てこないと思います。
一方で、かなり前からヨーロッパでは展開されています。特に最近はシンガポールで、ホテルや飲食店などのコミュニティづくりとしてかなり浸透しています。
ー日本でもFoodscapingのプロジェクトの展開をはじめていると伺いました。
2023年に川崎市の支所が立つ場所で、市のご後援も受けながら年間を通して様々なFoodscapingプロジェクトを展開しています。
植物の植え込みイベントを開催して、みんなで収穫し、さまざまな人との接点をつくる役割も果たすものになっています。
実際に子どもたちや親御さんたちが来て、新たな交流が生まれています。地域ネットワークが醸成されるものが少しずつできていると思います。
幼いときから自然や動物を守りたい想いを抱く
ーここからはロビンさん自身について教えてください。幼少期はどのような環境で過ごされましたか?
別府の大自然の中で5歳ぐらいから高校生まで過ごしました。山の上に家があり、10分ほど歩くと海があるような環境でした。
まわりは農家さんが多かったです。つくった野菜を近所の人と交換して、コミュニケーションが生まれていました。
自然や新鮮な食べ物はいつもすぐそばにありました。
ーロビンさんが10歳のときに、さらに自然と関わるきっかけがあったそうですね。
「ザ ネイチャー クラブ」という活動を始めました。自然や動物への「好き」をきっかけに始めた取り組みです。
エコや自然に関する情報を調べ、親友とニュースレターを作成して周りの人に配っていました。
ーニュースレター以外の取り組みでは、どのようなことをされましたか?
動物愛護センターの犬をサポートするための資金集めをはじめました。
他には、小学校で割り箸の使用を削減する呼びかけを行いました。市長に手紙を書いて提言したりしていました。
幼いころから自然は守らないといけないという意識が強くありましたね。
ネパール大震災で、悔いのない生き方をすると決心
ー大学に進学後はどのように過ごされましたか?
都内の大学に進学して、国際開発を学びました。幼少期のコミュニティ活動や社会活動の経験から、世界規模での活動に興味がありました。当時の夢はNGOや国際機関で働くことでした。
もう少し現地の状況を知りたいと思い始め、夏休みに学校ボランティアに参加しはじめました。そのときにネパールに訪れました。
ーネパールでのボランティア中に、転機となる出来事が起こったそうですね。
2015年3月に発生したマグニチュード7.8のネパール大地震に遭いました。
ネパールは日本よりインフラが整ってないので、インパクトがものすごく大きかったです。地震発生時にいた校庭が、避難所になったのが不幸中の幸いでした。
周りを見渡すとビルは崩壊していたり、校庭周りの塀も全壊していたりしました。とても衝撃的な光景でした。
ー被災されて印象に残っていることを教えてください。
みんなの助け合う姿がとても印象に残っています。国際機関の支援があまり届いてない状況で、みんなでビスケットを分け合ったり、ブランケットの貸し借りをしたりしていました。
路上生活の過酷な環境で、お互いを思いやる姿を目にして、人を支える仕事をしたい気持ちが強くなりました。
被災を経て、人生は儚いものだと実感しました。悔いのない生き方をしたいと思うようになりましたね。