大学6年生・立花慶人が開発したバーチャル自習室サービス「CLOTO」に隠された開発秘話とは

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第740回目となる今回は、立花 慶人(たちばな・よしひと)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

現役大学6年生でバーチャル自習室サービス「CLOTO」を開発した立花さん。今回は、立花さんにCLOTOの開発秘話や今後のビジョンをお話しいただきました。

バーチャル自習室サービス「CLOTO」を開発した大学6年生

ーまずは、自己紹介をお願いします。

大学6年生、25歳の立花慶人です。大学6年生の理由は、1年半休学していたからです。本年の9月に卒業を予定しています。

ー大学時代に何か挑戦したことはありますか?

大学生の2020年から2年間、バーチャル自習室提供サービス「CLOTO」の開発・運営に挑戦しました。

CLOTO開発前は、帰阪して友人と大学の研究室やサークルのまとめサイトを作りました。でも、ビジネスにならないと思って辞めたんです。その後、0からアイデアを出して。2人の共通の課題であったプログラミング学習を深堀りすることにしました。

また、アイデアを模索する中で、日本の「教育」が慣習にとらわれ硬直していることに気がついて。そこでいつでもどこでも誰でも、集中とモチベーションを手に入れられる環境を作りたいと思いCLOTOの開発に取り掛かりました。

CLOTOは今の時代の「メタバース」のようなものです。座席がUI(ユーザーインターフェース:利用者と製品やサービスとのインターフェース(接点)を指す)になっていて、パソコンで席に着席すると、日本中のサービス使用者とつながることができます。

人とのつながりを作りながら、チャットやイベント開催も可能です。現在はCLOTOの事業は畳んで、個人事業主として活動しています。

ー立花さんの0から何かを作る精神は幼少期から形成されたのでしょうか?

子どもの頃は折り紙やレゴブロックなどを使い、何もない状態から何かを作る遊びをしていました。兄が考えてくれた遊び方を僕は違ったやり方でできないか作り変えて、弟に教えていましたね。

子どもの頃の遊び方が今の自分の「何かと何かをかけあわせれないか」の思考原点になっていると思います。

文武両挫折を味わった青年期

ー青年期はどのように過ごされたのでしょうか?

中学3年生の夏頃から反抗期に入った自分は、「勉強なんかやってられるか!」と思い、勉強が疎かになりました。

中学3年生までずっと続けていた野球も、上手くいきませんでした。ピッチャーになれたタイミングで腕が震えたり、硬直したりしてボールをうまく送球できない「イップス」の症状が出始めたりしたんです。勉強も野球も上手くいかない「文武両挫折」を味わいました。

ー大学時代はどのように過ごされたのでしょうか?

大学受験が大きな転機でした。関西で目指していた大学に、自分のミスで出願し忘れて。幸いにも、今在籍している関東の早稲田大学は出願が間に合ったので、2週間死ぬ気で勉強して目指してみることにしました。結果偏差値が5以上上がり、合格できました。

親戚を含む多くの人に支えられて合格できたので、「関東で何かを成し遂げるまで帰ってきません!」と意気込んで入学したことを今でも覚えています。

夢を持って大学に入学したからこそ、シラバス通りに履修していては来た意味がないと感じました。そこから、自分の学部や学校の枠を取っ払って勉強しようと決めて。文系でしたが、工学の授業から経営の授業まで、色んな学びを得るように努力しました。

ー大学の授業で印象に残った講義はありますか?

早稲田大学OB、メルカリ創業者の山田社長のお話を聞けた起業家養成講義です。自分と同じ環境から起業家になられた経緯に感動しました。また予想以上に山田社長が素朴で親しみやすい方だったからこそ、起業の選択肢が身近に感じられたきっかけでした。

ー山田社長との出会いはその後のキャリアに影響がありましたか?

自分のやりたいことを実現しようと思うマインドを持てるようになりました。

大学3年生になり就職活動を始めるべきタイミングで、「せっかく東京に来たし、何か挑戦したい」と思えて。3年間自分なりに学んだことややりたいと思ったことを、TwitterやInstagramなどのSNSで発信してみたんです。

SNSでの発信をきっかけに高校時代の友人、創業時の事業パートナーが「そういうことやりたいなら俺も手伝わせてよ!」と声をかけてくれました。彼が東京に会いに来てくれたその日には休学を決めて、2週間後には大阪に戻りましたね。

大阪に戻った最初の頃は、大学の研究室やサークルのまとめサイトを作っていました。しかし、自分達の未熟さに気づき、サイトの根本の部分「プログラミング」から勉強を始めることにしたでんす。

そこで2人とも「なんでこんなにプログラミングの教材は溢れているのに、面白くないんだろう?」「今後流行るって言われているけど、面白みを見出せない理由は何か?」と疑問を持ち始めて。

この疑問を持つのは僕達だけじゃないと思い、プログラミングスクール業界を調べ始めたんです。調べていくうちにプログラミングスクール業界は、教材やスクールが増えている時期にも関わらず、離脱してしまう人が多い。スクールにせっかく入っても、スキルが身につかない人が多いなどの問題があると感じました。

プログラミングってパソコンに向かって作業する時間がすごく長いんです。中には耐えられる人もいると思いますが、学校で習わない分野だからこそ道標がなく挫折する人が多くいると考えました。

最終的に「自学習に苦手意識を持っている社会人が一緒に作業できる空間を作りたい」と思い、CLOTOを立ち上げました。