他人軸から自分軸へ。リクルート・綿重早織が自分なりの正解を見つけるまで

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第736回目となる今回は、株式会社リクルート・事業構想大学院大学事業構想研究科所属の綿重 早織(わたしげ・さおり)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

株式会社リクルートで働きながら、「やまぐち若者 MY PROJECT」運営に参加する綿重さん。高校時代まで「みんなの思う正解」を意識して行動してきました。しかし、大学時代の出会いによって考えが変わります。綿重さんが、自分にとっての正解を見つけるまでの経験についてお話いただきました。

キラキラしていた人に憧れていた高校時代

ー自己紹介をお願いします。

綿重早織と申します。山口県出身で、株式会社リクルートで法人向け営業をしています。また今年から事業構想大学院大学に通い始め、社会人と学生の2足のわらじをはいています。

ー高校時代の綿重さんはどのように過ごしていましたか。

いわゆる優等生で、部活も勉強も行事も頑張る学生でした。そして漫画で見るようなキラキラした高校生になりたいと思っていました。

「キラキラした人になりたい」と思った理由は、「勉強も行事も頑張っている人が輝いている」というイメージがあったからです。当時流行っていた少女漫画にキラキラな高校生活を送っている登場人物がいて、その影響もあったと思います。

ー高校時代はどのような進路を考えていましたか?

偏差値の高い大学や都会の大学を目指していました。具体的な理由があったわけではなく、「田舎よりも都会のほうが、なおかつ偏差値の高い学校のほうがキラキラした人が多そうだから」というイメージからでした。

行きたくなかった大学に入学したが、大学生活でたくさんのキラキラした人たちに出会う

ー大学入学時は気持ちが落ち込んでいた時期があったと伺いましたが、どのようなことがありましたか?

受験に失敗し、行くつもりがなかった地元の大学に通うことになりました。入学してしばらくはどん底の気持ちで。「ちゃんと偏差値の高い大学に行かなければ」と思っていたので、当時は自分が信じていた正解から外れてしまったのが受け入れられませんでした。

ーどん底の気持ちから、どのように持ち直したのですか。

大学に入学して数ヶ月は、図書室にこもって考えていました。このままではまずいなと。落ち込んでいるよりは、いっそ他の大学への転入や編入を考えた方がいいのかもと思うこともありました。

大学に入学した当初、私が置かれた場所にキラキラした人はいないと思っていました。しかし、まずは満足するまで行動して「それでも違う」と思ったら違う学校に行こうと決めました。それからは少しずつ良い方向に進んでいきました。

ー大学時代で印象的だった出来事があれば、教えていただいてもよろしいですか。

印象的だったのは、大学の授業での出会いでした。地方創生に関する特別授業に参加し、地域の経営者など活躍している大人たちや山口の大学生と出会いました。そのときに「身近にもキラキラした人はたくさんいる」と思えたのです。

授業をきっかけに地域協働型プログラムの運営や企画などに携わらせてもらうようになりました。活動しているうちに、キラキラした人とは「やりたいことや成し遂げたいことに向けて行動を起こしている人」だと気づきました。それまではイメージが漠然としていて「みんなが良しとしていることを成し遂げている人」がキラキラした人だと思っていたんです。

ー身近にキラキラした人を見つけて、どのように感じましたか?

とても驚きました。同世代や大人の方を見て「山口にもこんな人がいるんだ」「こんなことをやっているんだ」と新たな発見がありました。

周りと比べると、私は「やりたいことに向かって行動する」という視点がありませんでした。これまでの私は「多くの人が良いと思っていることをしているか」をもとに行動していたので、大きな発見でした。

ー大学での出会いで気づきがあったのですね。その後、綿重さんの考えに変化がありましたか?

大学時代にいろいろな経験をして、「どこでするか」より「何をするか」が大事だと思うようになりました。都会も地方もそれぞれの良さがあり、どこにいても自分がやりたいと思うことをやっていけばいいのだと学びました。

ー教育の分野に興味を持ったきっかけは、どのようなものでしたか?

大学卒業の直前に、山口の中学生の前で講演をさせていただく機会があって。講演では私の学生時代の経験や気づきについてお話させていただき、「周りが思う正解より、自分が正解だと思うことを信じることが大事」ということを伝えました。講演をしているときは目の前にいた中学生が、勉強を頑張っていた中学生の頃の私と重なりました。

そして講演後に中学生からメッセージをもらったのです。「綿重さんの話を聞いて、あまり人に言ってこなかった夢を絶対叶えたいと思うようになりました」と。

そのことをきっかけに誰かに良い影響を与える存在になりたいと思い、教育の分野に興味を持ち始めました。

ー大学入学当初に考えていた、転入や編入はされたのでしょうか。

いえ。入学した大学で4年間を過ごしました。さまざまな挑戦をしてみると、私が当初行きたくないと思っていた大学にもキラキラした人はたくさんいました。大学生活を送る中でやりたいことも見つけられたので、大学を辞めずに4年間を送ることができたんです。