下着ブランドPeriod.プロデューサー寺尾彩加に聞く「自分だけの好き」を持ち続ける大切さ

生理の日を快適に過ごすためのパンツブランドPeriod.をご存知でしょうか。このブランドを立ち上げたのが、寺尾彩加(てらお あやか)さんです。

 色々なキャリアの人たちが集まって、これまでのキャリアや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ第37回目は、下着ブランドPeriod.を立ち上げ、プロデューサーを務める寺尾さんにインタビュー。

 新卒で動画コンサルの会社に入った寺尾さんが、下着ブランドを立ち上げるに至った理由は何だったのか。「好き」を追求し、没頭し続ける。そんな寺尾さんの選択をお聞きしていきます。

「自分らしく働く」ことを意識した新卒時代

― 新卒で入ったLOCUSさんをこの2月に退職したんですよね。何年在籍したんですか?

2016年に新卒で入ったので、約4年間ですね。 

― LOCUSさんに入ったのは何がきっかけだったんですか? 

まず「自分らしく働きたい」というのが一番にあったんですよ。 

学生のときに、イケア・ジャパンやリクルートでインターンさせてもらっていて、新規事業などで提案の機会を多くもらったんです。そこでの体験ももちろんですし、周りの社員さんも見て「あ、自分らしく働くって楽しいことなんだ」って思うようになりました。

― 働くことに対する自分のマインドが固まったんですね。

その後、就活中に先輩から誘われた逆求人イベントで、LOCUSに出会ったんです。逆求人のイベントって、学生が自分のことを話すと思っていたんですけど、全くの逆で。企業の人が一方的に売り込んでくるんですよ。 

ちょっとその雰囲気に疲れていたとき、LOCUSのブースだけ、私の話を親身に聞いてくれたんです。そこで「興味があったら話聞きに来ませんか」とオフィス見学に誘われて、遊びに行くようになりました。

― 1社だけ話を聞いてくれて、信用も出来たし。

しかも、オフィスに遊びに行って色んな方と会う中で、誰一人として違和感を感じなかったんです。「この人とは合わないな」と感じる人が1人もいなくて。自分らしく働こうと思うと、毎日一緒にいる人ってすごく大事じゃないですか。 

なおかつ、「やりたいことやらせてあげるフィールドがうちにはあります」ってお話を頂いていたんです。ただの学生なのに、こんなに言ってくれることがすごく嬉しくて、LOCUSへの入社を決めました。

― 実際、入社してからは自分らしく働けたんですか? 

そうですね。座学じゃなくて、実践で学ばせるという会社の教育方針も自分に合っていましたし。ありがたいことに、入社4ヶ月くらいで初めて自分でプロジェクトを回させてもらったりと、本当に良い経験をさせてもらいました。この会社選んで良かったな、って素直に思っていましたね。 

― ベンチャー企業って、付いていけずに挫折しちゃう人も多いと思うんですけど、寺尾さんが意識していたことって何かありましたか?

「分からないことは素直に聞く」「効率的に終わらせて、無駄な残業はしない」ことは自分の中で決めていたかもしれません。 

分からないまま勝手に悩んで、時間だけ過ぎることってあるじゃないですか。もちろん考えることは大切ですけど、素直に分からないと言った方が得だな、と思ったんです。ダラダラ働くよりも、全部やること終えた後にダラダラする方が楽しいですしね(笑) 

人生で初めて生理が楽しみだった。生理用品を必要としない下着THINXとの出会い

― そこから、どのような出会いがあって下着ブランドの立ち上げに繋がったんですか? 

本当に偶然の出会いなんですよ。海外のファッションとか広告のトレンドとかをリサーチするのが好きなんですけど、たまたまネットで吸収型パンツのTHINXの創業者インタビューを見つけて。ありそうでなかったし、これはすごく便利だな、と感動してすぐに注文したんです。 

無事届いたんですけど、届いてから生理が来るまでは実際に使えないじゃないですか。そうしたら、「はやく次の生理来てくれ…!」って生理を楽しみにしている自分がいたんですよ。この体験が衝撃的すぎて。25年生きてきて、生理を楽しみに待つなんて初めてでした。

 ― 生理を楽しみに感じる!それはすごい。

しかも、実際に使ってみたらめちゃくちゃ快適で。「何度この商品に驚かされるんだ、友達にもこの驚きを味わって欲しい…!」と思って、友達にも勧めたんです。そうしたら友達も同じように驚いてくれたんですよ。それがすごく嬉しかったんです。

こんなに良いものが日本で知られてないなんて。私が持ってこなかったら日本に広まらないんじゃないか、と思って、個人でTHINXを輸入して販売することを考え始めました。

― 私がやるしかない、と使命感を感じたんですね。

私がやらなきゃって思いましたね(笑)

そこから個人でECを立ち上げて輸入したものを販売していたんですけど、TwitterやFacebookで気軽にシェアしたら1000件のリツイートとか、600件のいいねとか、ものすごい勢いで広まって、一瞬で完売したんです。

「これは日本でもいける…!」と思い、大量発注しようとしたときに、THINXからWholesalesとして誘われて。ありがたいお誘いだと思って話を進めていたんですけど、ネット販売を禁止されたんですよ。

― え、リアル店舗での販売じゃないとダメってことですか? 

そうです。でも、店舗を持つってすごいリスク高いじゃないですか。ポップアップストアとかも考えたんですけど、継続的にやっていける自信がなかった。 

どうするか、すごく悩んだんですけど、ふと「輸入出来ないなら、日本で作ればいいんじゃない?」って思ったんです。

ブランド立ち上げから独立への選択。好きなことをやるのは楽しい

― 「じゃあ自分で作ろう!」となるのはすごいですね。どうやって始めていいかも分からないんですが…

最初は、そもそも日本で作れるのかが分からなかったので、工場への問い合わせから始めましたね。「工場 サニタリーショーツ」でGoogle検索して、電話していくっていう(笑) 

あとは、日本のブランドでも売れるかも分からなかったので、クラウドファンディングに挑戦して。そこで目標を190%達成させることが出来たので、「日本のブランドでもいけるぞ!」と自信を持って、ブランドを立ち上げることにしたんです。

― 多くの人は、興味があってもECやブランドの立ち上げまでいかないと思います。何がそこまでのモチベーションになっているんですか?

今もそうですけど、始めたときも儲けようって思いは全然なくて。もう本当に広めたいと思っていたんです。それくらいTHINXから受けた衝撃は強かった。 

THINXに出会ってから、私も自分の身体について考えることが多くなったんです。悲しくなったり、怒りっぽくなるのがPMSだってことを知ったり、それを軽減する方法を知ったり。

そうやって、自分の身体の不快をコントロール出来れば、自分も周りもハッピーじゃないですか。そうやって、多くの女性に自分に合うものを選択して、アクションしていって欲しいって思うんです。

信念と呼んでいいのかは分かりませんが、想いが先行しているからこそ、私をここまで突き動かしているのかもしれません。 

― そうして生まれたのがPeriod.というブランドなんですね。

個人でEC立ち上げたときから、屋号として使ってはいたんですけどね。“Period“って、英語で「生理」っていう意味なんですよ。 

最近はマシになってきましたけど、日本だと生理のことを生理って言いにくいじゃないですか。ちょっと抵抗があるとき、“アレ”って誤魔化すのも少し違うなと思っているんですけど、“Period”だったらライトに使えるんじゃないかなって。

無理にオープンに話す必要はないですけど、何かあったときに話に出したり、ライフハックを共有したりとか、そういう契機になれば良いな、と思ってPeriod.と名付けました。

― 素敵なネーミングですね。ずっと副業として活動してきた中で、独立する、という選択をしたわけですけれど、どのような考えがあったんでしょう?

自分でも新しい発見だったんですけど、「好きなことをやるのって、こんなに楽しいんだ」と実感したことは大きかったかもしれません。大変なことはあるけど苦じゃない。素直にもっとやりたい、って思えるんです。 

あとは、チャレンジするなら今しかないなって。まだ結婚もしてないですし、子供がいるわけでもない。仮に失敗しても失うものがない。だったら、好きなことにチャレンジしてみようって思ったんです。

今やらなくていつやるんだ、くらいに思って独立することを決断しました。

何が伏線になるかは分からない。ただ自分だけの「好き」を追い求めて

― 寺尾さんのように、好きなことに没頭したいと思っているU29読者は多いと思うんです。「コレだ!」と思えるものに出会うために、何か意識していましたか?

私の場合、元々ファッションやヘルスケアの情報をリサーチするのが好きだったんですよ。それも海外、特にアメリカのトレンド。 

単純に好きなので、最先端のものを知りたいと思うんですけど、海外のトレンドだと翻訳されるのを待たないといけないじゃないですか。すると、日本語で読む頃には流行ではなくなってたりするんですよね。なので、海外の英語のメディアを自然に読むようになっていました。

そこで、たまたま出会ったのがTHINXで、その偶然の出会いから、色んなものが転がるように動いていったんです。 

― 好きなものへのアンテナを張っていた、と。

そうですね。自分は何が好きなのか、ハッキリさせておくのが大事だと思います。 

誰にでも好きなものってあるじゃないですか。日々過ごしていく中で「あ、これ良いな」って思ったものを心にメモしておく。そして、メモが溜まってくると、何となく自分の好みの方向性が見えるはずなんです。「あ、私ってこういうものが好きなのかも」って。

そこに気付いてからは、更にその方向性の情報を深く知ってみて、心にメモして、の繰り返しです。

― その点が連なって、線になっていくんですね。

私、点だけだとすぐに冷めちゃうんですよ。1つだけだと、深入りしてもすぐに忘れちゃう。でも、多くが連なって、線になった後に「これだ!」と思って深入りしたら、より魅力にはまっていく感覚があるんです。この感覚は大事にしていたかもしれません。 

― なるほど。自分で自分の好みを深堀りしていくのが大事。

とは言え、どの点が線になるかは分かりませんからね。私が独立できたのも、学生時代にインターンで仲良くなった友達に独立している人が多かったのは大きくて。独立っていう選択肢がすごい身近だった。 

インターンを始めるときに、そこまで考えていたわけではないですが、今思えばそのときの経験や環境がすごく役立ってますし、大学のときに学んでいた経営学やマネジメントの知識も今になってようやく活きてきました。

何から、じゃなくて、自分が好きだと思ったことをとりあえずやってみることからしか始まらないんだと思います。考える時間があったら、とりあえずやってみる。やってみて、良かったかダメだったかを経験して、また点を打ってみる。

そうやって打ち続けた点が、いつか振り返ったときに1本の自分だけの線になるんだと思います。

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取材:西村創一朗
写真:山崎貴大
文:安久都智史
デザイン:矢野拓実