Withコロナ時代の波に乗れ!ヤングカンヌ2020国内シルバー・高橋健太が語るリモート×クリエイティブなワークスタイル

東京発のグローバルクリエーティブエージェンシー・株式会社monopo。国内外の様々なブランドにサービスを展開し、ロンドンにも子会社「monopo London.Ltd」を設立するなど、世界中の優秀なクリエイターが集うコミュニティ作りを続けています。

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今回はそのmonopoで活躍しているメンバーの中で、2020年「ヤングライオンズコンペティション(通称:ヤングカンヌ)」メディア部門で国内シルバーを受賞するほど大活躍のプロデューサー・高橋健太(タカハシケンタ)さんをピックアップ!

高橋さんは、monopoに入社した4年前からリモートワークを実践している”リモートネイティブ”。今回のコンペでも、日本と海外をつないでプロジェクトを遂行していたとか。

現在、新型コロナウイルスの影響でリモートワークが増えているものの、まだまだテレワークやリモートワークに慣れない企業も多い中、いったいどのような工夫をしているのか?そのワークスタイルやキャリアに迫ります。

早稲田大学在学中に宿泊サービスを創業!その後、クリエイティブな仕事に出会うまで

ー大活躍中の高橋さん、monopoとの出会いはどんなエピソードがあったのしょうか?

僕がmonopoに入社したのは2017年。でもその3年前くらいから代表の佐々木さんと、monopoの存在は知っていました!

少し過去の話になりますが、僕は早稲田大学に通っていました。でも当時は全然大学に行ってなかったんです。就職するイメージはなく、なんとなく自分でビジネスをやろうと思っていました。

漠然と、飲食業界でビジネスをやろうと思い、Barを立ち上げようかなと考えていた際に、リサーチを兼ねてフラっと行ったBarで、すでに事業を立ち上げたmonopo代表・佐々木さんと出会いました。

ビジネスを立ち上げたい、と起業家であり早稲田大学の先輩であった佐々木さんに相談したところ、“詰めの甘さ”を指摘され、「基本からやり直してこい」ということで、出会った翌日に大学近辺で購入したお弁当に利益を乗せて校内で売り歩いたんです。

「その差額がビジネスで生む価値だから、何でもいいから売ってみろ」と。当事のかろうじて生める価値はトークのみでしたが・・・(笑)それがある意味monopoとの最初の出会いでしたね。

ちなみにそのBarは学生と学生、学生と起業家をつなげるような有名なドレッドヘアのバーテンダーがいるところで、代表とはその縁で出会いました。ちなみに、紆余曲折があってそのお店にいた彼も現在monopoで働いています(笑)

そこから2〜3年ほどmonopoに入るまで期間があくのですが、その間に僕も自分で会社を立ち上げたこともありました。

ー大学生で創業したんですね!どのような事業内容だったのでしょう?

その時はWEBサービスの会社です。大学2・3年の時かな。若者・学生向けの起業支援プログラムのようなものに友人と挑戦したところ、見事合格して出資を受けて共同創業者として宿泊ビジネスをはじめました。

僕らが会社を立ち上げた2014年頃は、ちょうど日本にシェアリングエコノミーが流行りだした頃でした。「Airbnb」や「Uber」が急激に伸びており、まだ日本に来るには参入障壁があった。そこで建築に詳しいメンバーと共にシェアリングエコノミーに目をつけ、就活生向けの宿泊施設の運営を実施していました!

就活生が行きたい企業のリクルーターの家に泊まったり、都内に出てきた地方の方向けのコミュニティ施設のようなものを運営したり。今はもう無いですが、当時は3人でやっていて、僕はマーケティングから営業まで何でも屋として働いていました。

ーその経験から、何故クリエイティブの仕事にシフトチェンジを?

その宿泊ビジネスをやっていて将来性を感じていたものの、僕は共同創業メンバーの1人でしかないし、人生をかけてやるのもちょっと違うのかな…と思いはじめたんです。結局その会社を辞め、休学していた早稲田大学に復学しました。

そこから1年くらい自分にしかできないことを模索していた時期にクリエイティブな仕事のおもしろさに出会ったキッカケは早稲田大学の講座でした。

早稲田のOBで起業家として活躍する方々が毎回講演に来るおもしろい内容なのですが、そこで偶然講師をしていたライゾマティクス 代表取締役社長の齋藤精一さんに出会ったんです。

齋藤さんからクリエイティブな仕事を学んだ際に、「これだ!」と感じました。

その講座のあとには毎回講師との飲み会も開催されるんですよ。毎回直帰していたけどその回だけは参加して。斎藤さんの目の前に座って、最後は「働かせて下さい!」と言っていましたね(笑) それほど何かビビッと来ちゃいました。

その出来事からクリエイティブな仕事をやりたいと考えるようになり、「そういえば佐々木さんがやっているmonopoっていう会社があったよな…」と調べて、オフィスまで会いに行きました。そしてmonopoのオープンな雰囲気とカルチャーに惹かれ、2016年くらいからインターンとしてジョインしました!

ー最初はインターンだったのですね!

そうなんです。そのまま3ヶ月後に入社し、それから3年半が経ちました。

エンジニアとして入社したのですが、そもそもそんなスキルも経験もなかったので、働きながらスキルを磨いていこうと思い、叩き上げていきました。

ー現在の仕事はどのような内容ですか?

入社後は開発だけをする人よりも、プロジェクトを仕切るディレクターのようなポジションにフィットしているとのことで、エンジニアからディレクターになり、そこから今のプロデューサーにまで発展しました。

現在はエンジニアリングと並行して、プロデューサーとして色々なプロジェクトを統括し、テクニカルディレクターとしてmonopoで働いています!

 

日本と海外をつないだリモートワークで臨んだヤングカンヌで、メディア部門で国内シルバーに輝く!

ー2020年、なんとヤングカンヌの国内シルバーを受賞してましたね!すごいです!

そうなんです!!!一緒に戦ってくれたmonopoの見目拓也と勝ち取りました!

ーヤングカンヌとは、どんな大会なんですか?

広告業界のジュニアオリンピック、もっとわかりやすく言うと30歳以下が対象の、広告業界のM-1グランプリみたいなやつですね。

ヤングライオンズコンペティション(通称:ヤングカンヌ)は、全6部門でそれぞれお題に対して何かの課題解決をするコンペ形式になっています。僕はメディア部門で出場しました。

2020年のテーマは、”Create a media campaign to raise awareness of “Unstereotype” and organisation for CxOs in companies in Japan.”でした。日本における「Unstereotype」の認知を目指したメディアキャンペーンの作成ですね。

僕らの企画はまず、毎日流れてくるSNSやメディアを見て記事の内容は覚えているけど、”誰が”書いたかまでは覚えてないよね…という部分に目を付けたんです。

その記事を書いた人がどんな人なのか、性別も知らないしエビデンスも知らない。でも信じてしまっている。それが図らずして偏見やステレオタイプを生んでいるのでは…ということですね。

そこで、その記事を書いた人が男性なのか女性なのか、分かるようにするのです。具体的には、1つの記事にURLを2つ作り、MEN/WOMENと男女それぞれの観点で読める仕組みにしました。そうしてメディアが作り上げてしまうステレオタイプを、男女それぞれの観点でみることで、自分なりの解釈をしようと投げかけたんです。

その企画で、ヤングカンヌ2位であるシルバーを獲得しました。そしてシンガポールにて開催される予定だったアジア地域最大級の広告コミュニケーションフェスティバル「スパイクスアジア」の日本代表に選出されました!2020年大会は新型コロナウイルスの影響で中止になってしまいましたが、2021年大会の代表権繰り越しとなっています。

一緒に戦った見目さんと!

ー今回のコンペで、大変だったことは?

日本とロンドンでの2拠点でやり取りをしていたことですね。コンペは1週間ペアで取り組むのですが、見目は日本で僕はロンドンでそれぞれプロジェクトがあり、大会直前までリモートで国境と時差を乗り越えるカタチで完成まで持っていきました。

でも実際に会わないと不安だったので、大会の本番直前の日曜日にロンドンから帰国して、成田空港からオフィスに直行して打ち合わせしましたね。それが大変だったけどその分感慨深かったです。

 

リモートワークが当たり前の世界で、プロデューサーとして工夫していることは?

高橋さんのイラスト入りTシャツ!

ー基本はオンラインでのやり取りだと思います。リモートで信頼関係を築くコツは?

チャットでのコミュニケーションは長文ではなく、短文で複数回がポイントですね。会話のようなキャッチボールをチャットでやっていくイメージです。だんだんやり取りが増えると、相手がどんな考え方をする人なのか掴めてくるので。

とはいえ「はじめまして」から関係を作るのはめちゃくちゃ難しいですよね。僕の場合は、チャットの回数を増やしたり、最初はオンラインでも顔を見て話すようにしています。

あと軽くオンライン飲み会をするなどもオススメですね。関係者を全員つなげて軽く飲む、というのはオンラインの方がやりやすいと感じるときもありますね。

プロデューサーの仕事は基本チームで仕事をするので、関わっているメンバーの情報が多いほうが思考の特徴も把握しやすい。そのため、リモートでやり取りをする時でも意識的に雑談タイムを作っています。

ーテキストのみのコミュニケーションで工夫していることは?

”上機嫌チャット”ですね。例えば「!」をあえて文末に付けるとか。詳細は恥ずかしいのでヒミツです(笑)

コミュニケーションは、チャットでもオフラインでもすごい大事なのはいつも上機嫌でいること。言語化するのは難しいですけど…怒らない・ポジティブなコミュニケーションを常に意識しています。

あとはスタンプやイイネなど、意識して使っています。自分に関係するチャットが来たときは、必ず「読んでいるよ」という意味で必ずスタンプを押しています。返信をすぐ返せないときもこれは効果的だと思います。

ーオンラインMTGなどで工夫していることはありますか?

無駄なMTGも数多い中で意識しているのは、時間内に何を決めるのか・何をゴールにするのかわかった上で全員集まるということですね。MTG後にちゃんと着地点に到達するために、MTGをしています。時間もきっちり意識します。

クライアントとのMTGでは、トークルームに参加者が集まる際に軽くアイスブレイクや雑談をちょいちょい挟んでます。

トークルームに待合室がある場合は、参加者の集まり具合が分かるように覗いてみたりとか。本題に入る前に場をあたためるみたいな感じです。これはオンラインならではですよね。

ー自宅でも生産性を上げるコツを知りたいです!

家で仕事できる環境を作っています。家にはオフィスと全く同じイスとディスプレイを揃え、位置も再現しています。

最初はリモートだとずっと仕事できちゃうので疲れも溜まりやすかったです。そこで、生活リズムを朝型に変えました。これまでmonopoの始業時間の12時に仕事を開始して、夜遅くまで仕事をしていたのですが、午前中を自由時間にしようと実験したんです。

行き着いたのは、毎朝4時半に起きて21時に就寝する生活です!外食や飲み会もなくなり、朝を自由時間にしたら生活のサイクルが良くなったので続けています。

4時半〜12時の午前中は筋トレ・映画鑑賞・ギターの練習など…自由に贅沢に使っています。

自宅のデスクの様子

ーすごい、オリジナルなワークスタイル!前と比べて変化はありましたか?

規則正しい生活をしているので、体調が良くなりました!

monopoでは海外と仕事することも多いので時差を考慮して事前準備をして仕事に臨むのですが、始業前に自由時間を設けて仕事の準備をするのもそういった感覚に似ています。

日本にいながら“ひとり時差生活”をしていますね!朝を有効活用すると、仕事もすごく効率が良いです。

 

ーWith/Afterコロナ時代にぴったりな新サービスをリリースされましたね!実際にどういったサービスなんですか?

Remote Nativesは、プレゼンから納品までの広告クリエティブ制作を100%リモートで行えるソリューションサービスです。

STUDIO DISTANCEは、monopoと東北新社が業務提携し、フルリモート映像専門チームを立ち上げ、リモートで映像制作ができるサービスです。

どちらのサービスも、これまで日本とロンドンを起点として世界中のクリエイター・企業とやり取りしてきたナレッジのある僕らだからこそ打ち出せたサービスだと思っています!

ーフルリモートでクリエイティブ制作や撮影は可能でしょうか?

難しいと思います。でも、できると確信しています!

僕の担当プロジェクトはデジタルで行うものが多いので、基本的に全てオンラインで企画・進行・実施をしています。ただ撮影が必須なものや映像系などはどうしても集まってやらないといけないので、それはオンラインは物理的に難しいですよね。

今回のサービスはまさにそういった撮影のDX化…いわゆるデジタル化を目指した取り組みです。

例えば、映像を作成するのに、監督・演者・カメラマン・技師・音声…本当に色々な方が関わって作っていきますよね。それなのに、クライアントと関わるのは監督とかプロデューサーの人しかいなかった。

今回のサービスのようにオンラインで全員がつながれば、これまでのトップダウンだったものがフラットになり、現場のことをわかっているカメラマンや演者とも直接アイディアのやり取りができるんです。これはすごく画期的だと思います。

それに、全部リモートで作成できる映像はかなりおもしろいと思います!リモート化が進むと国や場所に関係なく仕事をするハードルが下がっていくと考えているので、もっとグローバルな仕事が増えていくと良いなと思っています。

ー今後のクリエイターの仕事はどうなっていくと考えますか?

クリエイターとは、ものを創る人。今、このリモート化の波が来ているのは逆にチャンスではないでしょうか。クリエイターが自分で作って発信すれば、見てくれる人も増えます。何かを自分で作れる人はこれからますます強くなっていくと思います。

monopoでも毎週社内でやっているMTG後に、イラストレーターの子がMTGの様子をイラストにして発信してくれるんです。それがめちゃくちゃ良いんですよ。そういったアウトプットが今後増えていくとおもしろそうですよね!

今後リモートだからこそ新しいニーズが生まれるだろうし、オンラインでどこでも誰とでもつながれるので良い意味でオープンに、クリエイターが仕事を依頼したり受け入れたりする流れが活発になっていくと良いなと思っています。

monopoのクリエイター達

ー最後にメッセージをお願いします!

今回、僕らの働き方をリモートネイティブとして取り上げてもらったのですが、こういった働き方が日本でもより広がっていくことを願っています。

僕はエンジニア・ディベロッパー・日本人…ってこのクリエイティブの業界で、まだ立場が弱いと思っていて、それを最大化したいです。


また、デジタルやシステムがわかるアイディアマンや、クリエイティブはまだ珍しい存在です。アートディレクターはいるけどテクニカルディレクターはそんなにいない。ヤングカンヌでも、毎年勝ってる人たちはアートディレクターやプランナーがほとんどで、エンジニアがほとんどいないんですよ。優秀なエンジニアはこの業界を離れて、大手のテック企業やスタートアップに行っちゃいますし。

これからの時代、デジタルやテクノロジーがますます加速すると、課題を解決するクリエイティブ、アイデアも、テクノロジーとは切っても切り離せない関係になってくると思うんです。そこを僕がリードできるようになりたいですね。

テクノロジーをわかる人がアイディアも考えるっていうのは珍しいし、僕のユニークなところだと思っています。僕自身も引き続き、グローバルにクリエイティブでおもしろい世界を創っていきたいです。

ー非常にクリエイティブでおもしろいお話でした!ありがとうございました!

【過去のmonopoインタビューはこちら】

クリエイティブの総合商社を目指す『monopo』CEO・佐々木芳幸の今を作った人生のターニングポイント

「monopoに出会ったから日本にいる」ー 若きクリエイターが語るmonopoというコミュニティと夢

取材:西村創一朗
写真:高橋さん提供
デザイン:五十嵐有沙
文:Moe