前例のない挑戦をしたい。下川友暉が語る市場価値の高め方

「目先の数字を追って、目的を見失った」営業職で味わった挫折

ー社会人になられてからの話を聞かせてください。

スポーツ系の人財会社に営業職として就職をしました。売上を出すことで、自分の市場価値を高めたいと思っていましたね。最初に掲げた目標は、新入社員の中でトップの成績を出し、新人賞を獲得することでした。

ー結果はどうでした?

最初は順調でしたよ。学生時代、車椅子ソフトボールの普及活動の中で名刺を配ったり、スポンサーを募ったりした経験が活きたのだと思います。所属エリア内で先輩社員を含めて売上1位を獲得したり、入社2ヵ月で表彰されたりしました。

それが、次第に成績が落ちてしまいまして……。1年目の終わりには他の新入社員に逆転され、2番手という結果で終わりました。悔しい思いをしましたね。

ー成績が落ちてしまった原因は何だと思いますか?

目先の数字に囚われて、目的を見失ってしまっていたのだと思います。

本来、僕らはお客様のために営業をしているはずが、いつの間にか新人賞を獲得するために頑張っていたのです。それでは、お客様に長く愛されるサービスにはなりません。確かに売上も達成しなければいけないけれど、その先にある本当の目的が大切だと気づきました。

それ以降は賞を獲得するためではなく、「お客様を喜ばせるためにはどうしたらいいか?」を第一に考え、行動に移していきました。

ー考え方をシフトしてから、結果はどうなりましたか?

目先の目標ではなく最終的な目的を見据えた提案内容に変わりました。採用は経営の中で最も重要なポジションだと思うので、経営の観点を踏まえて「こうしたほうがいい」と提案するようになりましたね。結果として、上半期・下半期・年間でそれぞれMVPを獲得できました。

「〇〇さんの紹介で来ました」というように、知り合い経由で連絡をくださるお客さんも増えましたよ。通常の電話営業とは違い、アポイントがとりやすいし信頼関係も構築しやすいのです。2年目の後半からは電話営業なしでも仕事を獲得できるようになりました。

日本車椅子ソフトボール協会理事に就任し、ご縁を広げる

ー社会人になられてからは、営業と並行して車椅子ソフトボール協会の理事もされているのですよね。

関西と中四国エリアで車椅子ソフトボールの普及を進めるために、協会から「理事として活動をしませんか」と召集がかかりました。社会人になってからはプレイヤーではなく、普及活動に力を入れています。

ご縁が広がり広島で社会人生活を始めてからは、広島や岡山を中心に車椅子ソフトボールができる環境を整えたりルールを普及したりするためのアドバイスを行っていました。

例えば環境の面では、車椅子でスムーズに移動できるよう、通常の野球場ではなく硬いアスファルトの球場を用意する必要があります。のちに東大阪市が車椅子のソフトボールに注目してくれて、日本初の車椅子ソフトボール専用の球場ができました。

ー理事としての経験が、営業の仕事に活きた経験はありますか?

車椅子ソフトボールを通して出会った方が、営業でのお客さんになってくださったケースがありました。営業の仕事から車椅子スポーツにつながることもありますよ。

ご縁が広がるという点では、複数のコミュニティに所属していて良かったなと思います。今日こうして取材をしてもらっているのも、ご縁があったからこそです。

複数のコミュニティでいろいろな名刺を持つことで、市場価値の向上にもつながると思いますよ。

ー最後に、下川さんの今後の目標をおしえてください。

前例のないことに挑戦したいです。これまで、社内で上半期・下半期・年間の3冠を獲得した方や、営業職と車椅子ソフトボール協会の理事を両立された方はいませんでした。

僕は就職活動中から、「人に影響を与えられる人間になりたい」と思っていました。前例を作ることで若い人に影響を与えたいですし、「こんなこともできるんだ」と希望を持ってもらえたら嬉しいです。

ーありがとうございました!下川さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:丸山泰史
執筆:まあや
デザイン:高橋りえ(Twitter