思考が越境する瞬間
ー28歳でデザイナーの世界に触れるようになったきっかけを教えてください。
定性的な思いを強めるなかで、経営においては定量的な目線は捨てられないのも事実です。どちらに優劣をつけるものではありません。あるとき、デザイナーである友人にマルタン・マルジェラさんのドキュメンタリー映画を紹介していただきました。
ブランド創業者の想いは、自分が美しいと思うものに、自分の哲学を素直に表現するためにあり、こんなに時間と熱量を割く人がいるのかと感銘を受けました。思考の越境といいますか、自分の知らない世界にはじめて行った瞬間でした。
言葉では表現できないことでも、服であれば表現できるという強い想いを感じました。
言葉やデータなど、世の中の基本となっているものによらずして、自分を表現をしている人がこんなにもいるのかと感じました。ぼくがデザインの世界を知らなかったこともありますが、この瞬間は、まさに越境という言葉がぴったりでした。
ーそこからご自身の創作活動へつながるのですね。
はい。小学生のときの、わくわくする気持ちを忘れてはならないと考えています。どうしても社会と関わるうえでは、売上げや目先のお客さまのことを考えてしまいます。しかし、会社の経済活動とは別に、自分の軸を持っていたいのです。
誰に喜ばれるか、認められるか分かりませんが、自分のやってみたいことはやってみようと思えるように、創作活動を行っています。
自分と向き合うために
ー金田さんは好奇心や純粋な興味をどのように育んでいるのでしょうか。
自分と向き合うために、紙とペンを用意し、心が動いた瞬間は何だったのかを紙に書くようにしています。スマホとPCの電源を切り、外の世界を遮断して振り返るようにしており、10年以上続けても未だに新たな発見があります。
現代社会で絶対に弊害となっているものがスマホとPCなので、僕がおすすめしているのは、まずこれらの電源を切ることです。
現代人は本やネットなど、外から情報を探して答えを見つけようとしますが、自分の本当に好きなものは自分の内側にあるのです。
学生時代、就活で自分と向き合うことを行いますが、多くの人はそこで辞めてしまいます。新しい発見が見つかると幸福度が高くなり、豊かな人生になります。常に自分と対話していることが、好奇心を持ちつづける要因かもしれません。
ー最後に、金田さんが今後挑戦したいことを教えてください。
人は多様性を認められ、ルールから解放されたとき、非常に大きな力を出せることを証明したいです。国籍が多様で、グローバルなチームを自分の会社でも持ちたいと考えています。ルールに押しつぶされてしまう人たちの、背中を押せる会社をつくっていきたいです。
ーありがとうございました!金田さんの今後のご活躍を応援しております!