変化が次につながる。アーティスト SUEKIKIの人生の切り拓き方

音楽配信の会社に就職。その後音楽から離れることに

ーその後の音楽活動はどうでしたか?

今までオーディションを経験をしたり、音楽で高みを目指したりしてきたのですが、私自身、本当にその覚悟があるのかがわからなくなってきました。その気持ちもあり、同世代で音楽の道を目指すシンガーソングライターとは別に、就職活動をすることに。

地元近くの名古屋を出たいという気持ちがあったので、東京の音楽配信会社に入社しました。シンガーソングライターとして自身も活動していた経験が評価され、入社後は、これまで自身がやってきたようなことをサポートする部署に配属されました。

しかしその部署の新入社員が2人目だったことや、ライブ現場のことを教えてくれる上司と、会社が新しく取り組もうとしているIT関連のことを教えてくれる上司の、教えてくれる仕事の方法が異なっていて、悩んだ経験があります。

もともと自分を責めてしまう性格ということもあって、うまくいかないことを全て自分のせいだと思ったり、上司が怒っていなくても怒られているように感じてしまったり…….。全てに混乱してしまっていた時期でした。

このまま働き続ける自分を想像できなかったこともあり、1回音楽から離れてみようかなと思いはじめたのです。

ーどのように乗り越えていきましたか?

ノートに自分の気持ちを書き出して、整理していました。東京で出会った友達にもらった本がきっかけで、「自分にとって豊かな生き方」について考えました。「今自分がやりたいこと・好きなこと」「自分の得意なこと」などを直感でノートに書き出した結果、今の自分には癒しが必要だと気づいたのです。

自分にとって癒されるものが、雑貨やインテリアだったので、土日にはお店に足を運んでいました。このように自分の感情を紐解いていく中で、過去にスウェーデンに行った時、息がしやすかったことを覚えていて、「一度スウェーデンに住んでみたい!」と思うようになりました。

デンマークに滞在中に好きになったイラスト

ースウェーデンに住みたいと思うようになった後、具体的にどのように進めていきましたか。

調べた結果、スウェーデンはビザの関係や学費が高いことから、暮らすのが難しそうだとわかりました。

一方隣の国のデンマークでは、民間のサポート制度が充実していたり、国が学費を支援したりしているため、生活しやすそうなこともわかりました。そのため、デンマークで暮らしてみようと思ったのです。

ー実際にどのような生活をしていましたか?

専門的なことを学ぶための支援もありましたが、私は「デンマークの暮らしが知りたい」ということを目的にしていたので、デンマーク語を満遍なく学ぶことができ、サステナブルな暮らしにフォーカスしている科目のあるフォルケホイスコーレ(成人学校)で学ぶことを決めました。メインの教科を学びつつ、週に2日選択科目もあるので、アートや陶芸・音楽などを学んでいました。

コロナウイルスが流行していたタイミングでもあったので、あまり外出はできませんでしたが、すごくリフレッシュできましたね。時間の流れもゆっくりで、自分にとって「これが豊かだな」と気付くことができました。

ー実際にデンマークに行って学んだことや気づきについて、教えてください。

直感に従うことの大切さです。デンマークでは、英語も勉強するために毎日英語日記をつけていました。その時に日記にイラストを描くのが楽しく、本格的にはじめるきっかけに!

デンマークに滞在したのは「自分にとっての豊かさ」を考えた結果、その時の直感から結びついたものだったのですが、その変化がイラストに興味を持つという新しい変化に出会わせてくれました。直感に従い変化を起こすことで、出会えるものは大きいと実感しました。

変化を起こすことが最大のリセット!

ーデンマークから帰国した後、どのような生活を送りましたか?

イラストを本格的に始めて、Instagramに投稿するようになりました。グッズやアイテムも作るようになり、新しい方に知っていただく機会が増えました。

今までは音楽から自分を知ってくれていた人だけでしたが、イラストを見て知ってくれた人や、海外にいたことを発信すると海外経験がある人と出会う機会が増えました。自分にとって、ワクワクする人と出会うことが多くなったのです!

出会った人とは、「お互いの得意なことを活かして、何か一緒にしてみない?」という会話も多く、輪が広がっていくことを感じます。幼少期の経験でもお話しした「誰かを巻き込んで企画することが好き」ということを、今実践できている感覚です。

また、音楽についても、自分をつくるうえで必要な要素だったと改めて立ち返ることができました。イラストをはじめてから「自分の音楽の作品に、アートワークをつくって展示し、ライブをすること」を実現したいと思い描いていました。音楽活動も再開し、ついに今年の夏に夢を叶えることができる予定です!

そのライブで披露する楽曲は、自分一人ではなく、何人かの作曲家さんと一緒に曲を作ります。また、帰国後は陶芸が有名な地元に戻ったのですが、陶芸のアーティストさんと展示でコラボする予定です。私のアーティスト活動は、一人ではなく、多くの人のおかげで成り立っていることにフォーカスした展示を開催しようと思っています。

ー今後の展望についても教えてください!

展示とライブ企画の開催をひかえて見えてきたのが、「やはり自分はアーティストとして生きよう」ということです。それでは、どんなアーティストとして生きるか。

アーティストの活動は、いろいろな人に支えられて、いろいろな人と繋がることで成り立っています。日本中だけではなく、世界中の人たちにシェアされるアーティストでいたいです。曲を作って海外でも、ライブをしてみたいですね!

イラストについても、コラボしやすい活動でもあるので、いろいろな人と絵を通じてコラボしたいです。

ー最後に読者にメッセージをお願いします!

ちょっとずつしか人は変われないと思います。変わりたいと思っているのなら、自分の中で劇的な変化だと思うことを、自分で起こしていく。それが最大のリセットになると思います。

大きな変化を起こすときは、順応するにも時間がかかるものです。もし自分が変わりたいと気づいているなら、早めに行動を起こすに越したことはないと思います。人生はそこからです!!

ーありがとうございました!SUEKIKさんの今後のご活躍を応援しております!

取材:八巻美穂(Twitter / note
執筆:長瀬ちか(Twitter)
デザイン:高橋りえ(Twitter