違うなと思ったら、逃げて別の居場所を探してもいい。おむすび小娘、筧玲奈はワクワクするほうへ

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第987回目となる今回は、おむすび小娘、筧玲奈さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

食を切り口にしたライティングをしながら、週末には品種にこだわったおむすびをマルシェで販売している筧さん。これまでの経験から大切にしている価値観や、食に興味を持ったきっかけについても教えていただきました。

両親の離婚・再婚で転校を繰り返す

ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

筧玲奈(かけひ・れいな)と申します。食を切り口にしたライティングを主軸に、活動しています。

週末は、八百屋さんやお米屋さんでアルバイトをしていた経験から、品種にこだわったおむすびをマルシェで販売する活動をしています。よろしくお願いします。

ーここからは、筧さんの過去を振り返ってお伺いします。どのような幼少期を過ごされたのでしょうか?

小学3年生〜5年生にかけて、両親が2度、離婚と再婚をしました。その間他国も含め、2年間で4〜5回の転校を経験しました。

目まぐるしい環境の変化に、どうやったら自分を受け入れてもらえるか、なじめるのか常に模索していましたね。友達作りには苦戦した思い出があります。

日本人学校のない地域に行くと、現地校に通うことになるのですが、言語の障壁も感じましたね。そこで学んだのは、とりあえずジェスチャーでもいいから、自分からアクションを起こしてみること。

意外にも相手は、英語が話せるかをあまり気にしていなかったり、笑っているだけで相手も笑ってくれたりと、コミュニケーションは言葉が全てではないことを知りました。

周囲の環境が常に変化していたので、幼いころから自分の居場所やどうすればなじめるのかを模索していたように思います。

笑顔で過ごせる山岳部を選択する

ー高校時代は山岳部に所属されていたそうですが、山には元々興味があったのでしょうか?

実は、あまり興味はありませんでした。登山の経験もほとんどなく、家族で高尾山にロープウェイで行ったことがあるくらいです。

山岳部の入部説明会に参加し、衝撃を受けたことが入部の決め手になりました。

先輩方が全員、楽しそうにお話されていたことが印象的でした。3泊4日の山行では、お風呂に入れないのですが、それすらも楽しそうに話しているのを見て、この場所ならもっとワクワクしながら私も過ごせるのかなと思い、入部を決めました。

笑顔で登山している自分が想像できたんですよね。学年問わず、わいわいと過ごせる環境を選んで、心から良かったと思っています。

中学ではバトントワリング部に入っていましたが、大会や舞台への出場をかけて、部内で技量を常に比較される環境に居心地の悪さを感じていました。中高一貫校だった関係で、中高で同じ部活にする方が多い中、私はあえて部活を切り替える選択をしました。

ーバトントワリング部の環境に違和感があったことが、他の部活を選択する背景にあったと思うのですが、所属していたところから抜ける難しさを感じませんでしたか?

最初は感じました。なぜかというと、それまでは続けることが美徳というか、継続することがいいことだと思っていたからです。

それでも継続する決断ができなかったのは、選択期間の1週間がたっても、高校のバトン部で私が笑っているイメージがどうしてもできなかったからです。

一方で、山に登っている私を想像してみると、お風呂に入っていなくても笑っているイメージができました。それなら笑顔で過ごせる環境に足を踏み入れてみようかなと思い、これまで所属していた環境から離れる決断ができました。

嫌でも続けるのではなく、ワクワクする環境を満喫しているところを想像できたことが、新しい選択につながりました。

ー目の前のことや山登りに集中する。1つのことを極めていくやり方や考え方が、今の筧さんの活動につながっているように感じます。

そうですね。つながっています。山岳部の活動をしている中で考えていたことが、今にも通じていると思うことがあります。あまり先を見すぎず、目の前に集中することが、山岳部時代の学びの1つです。

あまりにも見上げすぎると、「まだここだ」「まだこんなに低い」と、現状との差を実感して苦しくなってしまいがちです。それでも、目の前の1段や1歩を歩み続けていれば、振り返ったときには結構進んでいるなと思うことが、山の中で何度もありました。

今でも、どうしても上を見過ぎてしまうこともあるけれど、当時の学びを元に、目の前に集中することを意識するようにしています。