どんな時も、最高の乾杯ができる人生を送りたい。HRコンサル、酒屋、父親と3足のわらじをはく青木佑介の生き方

人が好きであることを再発見した世界一周

ー世界一周に1年間行っていたそうですね。どのルートで回りましたか。

ある日、世界を旅がしたくて寝れなくなった日が続き、気がついたら登山用のザックを買って、休学届けを出していました。周りは就活をして、面接やエントリーシートに必死な中、僕は休学届と各種予防接種シート、ビザ発行に必死でした(笑)。

何かに縛られた旅をしたくなかったので、何も決めずに、中国・北京への片道切符を買って気の向くままに旅をしました。ルートは、東南アジア→南アジア→ヨーロッパ→アフリカ→南米→中米→アメリカといった感じです。

ー世界一周中の印象的なエピソードはありますか。

2つあります。1つめは、ミャンマーの街中で知り合った人に「案内してあげる」と言われついていくと、最終的に隣町の裏道に連れていかれ、ボコボコにされた後、お金をすべて渡したことがあります。あの時は本当に、死ぬかと思いました。

殴られた事やお金が無くなったことより、人生で初めて、人に裏切られたことがショックでした。

2つめは、アフリカに行ってマサイ族に会ったことです。マサイ族が暮らす村に行き、狩りの方法やご飯の作り方、ジャンプの仕方などを約1日かけて習ったのです。

村を離れる時に通訳を介して「You like people」と言われたのです。人類誕生の地・アフリカで、言語も文化も違う人から「人が好きだね」と言われた時は、衝撃的でした。やっぱり僕は人が好きだと再発見した瞬間でした。

インターンで好きと仕事が繋がった瞬間、HR/採用領域を目指すように

ー世界一周で学んだことはありますか。

人って面白いもので、1年もの間、欲望に従って生きていると虚しくなり、誰かに何かをしたくなるのです。「働く=誰かに何かを与えること」だと学びました。

ー世界一周を終えて日本を帰国した後はどうされましたか。

帰国後は、Human Resource、Outdoor、Local Socialを主事業としている株式会社TRAILSで、2年半ほど学生インターンシップをしました。

ーインターン中の印象的なエピソードはありますか。

TRAILSでは、HR事業(新卒人材紹介)をメインに仕事をしていました。当時、周りも就活をしていて、自分が携わるサービスで友だちを救えたことが最も印象に残っています。

ある1人の友達が就職活動(自分の人生の生き方)に悩んでいたタイミングで、TRAILSを介して約 1年、面談や内省をしました。内定をもらった瞬間に「人生の岐路に共に立ってくれてありがとう」と涙ながら、握手をしてくれたのです。まさに、マッチングに立ち会えた瞬間でした。

この「ありがとう」をたくさん言われる人生にしたいと思い、HR/採用の領域を目指します。

ーHR領域でリクルートを選んだ理由を教えてください。

TRAILSでマッチングの根元に触れた僕は、マッチングを世界で1番多く作っている会社に行こうと思いました。結局、リクルート1社だけ受けて、入社をしました。

ーリクルート での印象的なお仕事はありますか。

最初の配属は、採用求人広告(首都圏・リテール担当)の営業をしていたときに出会ったある補聴器メーカーが忘れられないです。

当時、社員6人の会社にとって、エンジニアは会社の心臓と言っても良い重要なポジション。突然、エンジニアが辞めたことで、会社存続の危機にありました。お客様とどんな方を採用するのがいいかを考え抜いて制作した求人広告の掲載当日の朝9時に58歳の経験者から応募がありました。

その方は、奥様の看病をするために仕事を辞めましたが、半田ごてを死ぬまでにもう一度握りたいと思い、再就職を考えていたそうです。社会に居場所が無い感覚を覚えていたときに見つけた求人でした。

実際に会いに行くと、「青木さんのおかげで人生をやり直すことができます。私に居場所をくれてありがとう」と泣きながら頭をさげてくれました。また、お客様からも「事業を続けることができます。ありがとうございます」とお言葉をいただきました。

まさに、「生きる」を感じた仕事でした。

ー現在リクルート では、どんなお仕事をされているのですか。

RPO(採用の代行・コンサル)サービスに、リクルーターとして関わっています。国内大手企業に対し、採用コンサルタントとしてチームでクライアントの人事を代行し、採用成功・最適化を創りだすお仕事です。

リクルート のサービスに関わらず、世界中の色々なサービス・手段を使って、お客様の「採用成功」にコミットすることをミッションとしています。

ひとつのマッチングが、求職者の人生を変え、国や業界を変えるインパクトを生み出す可能性を持っています。マッチングの可能性や怖さ、そこに自分が関わるワクワクと緊張を抱えながら、働いています。

国や業界、そして人生を変える「これまでにない、大きなありがとう」を、どこまでこの手で創りだすことができるのか挑戦中です。

ー結婚し、子どもが生まれて変化はありましたか。

一時期、子供が生まれ、牙を抜かれた状態になったことがありました。無意識のうちに全ての言動が、中途半端に守りに入っていたのです。

あるとき、「自分の人生を生きている、かっこいいパパでありたい」と思うようになってからはそれが働く源になっています。子供はエネルギーの塊なので、いつも負けてたまるか〜と思っていますね(笑)。

また、好きなことを仕事にさせてもらえているので、仕事が自分の時間という感覚があります。年中無休酒屋で働いている家庭で育ったため、休むことに体が慣れていないのです。今がとても楽しいです。

ーリクルート での仕事のかたわら、酒屋を手伝っているとお聞きしました。

普段は東京で働き、2ヵ月に1回伊勢の実家に帰っています。店頭は父と母に任せ、基本はリモートでポスターなどのクリエイティブなものを作ったり、ECサイトや公式インスタグラムを運営したりしています。

これからも家族と地域のみなさんと、お店をより面白くしていきたいです。

ー最後に、同世代に向けて一言、お願いします。

人生は、誰しも1回きりです。この記事を読んでくださったみなさんも、約70回「あけましておめでとう」と言っておせちを食べたら、今の人生は終わる。どんな時も、「あ〜最高だ〜」と言って1番気持ちの良い乾杯がしたいと思うのです。

その瞬間のために、自分の人生を生きましょう!

ーありがとうございました!青木さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:あすか(Twitter
執筆:Kumi(Twitter
編集者:松村彪吾(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter