ヘビーユーザーから運用のプロへ。「Wantedlyお兄ちゃん」の原点と未来

色々なキャリアの人たちが集まって、これまでのキャリアや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第11回目のゲストは、ディップ株式会社の次世代事業統括部の「Wantedlyお兄ちゃん」として複業でも活躍されている小林宥太さんです。

現在、本業でインターンや新卒・中途採用をメインに仕事をしながら、「Wantedlyお兄ちゃん」の異名を持ち、多いときには10社ものWantedlyアカウントを運用して採用の手助けをしているという小林さん。

なぜWantedly運用にこだわったのか、またこれからどのようなビジョンを描いて複業に取り組んでいるのか。学生時代を振り返ってもらいながら、彼の原点と現在の活動の経緯、そして思い描く未来について伺いました。

 

神童としてもてはやされた小林さんの学生時代

- 小学生の頃は、開校以来の神童と言われていたそうですね。

僕は全校生徒100人くらいの小さな小学校に通っていたんですが、親の勧めで私立中学の受験をすることにし、無事に合格。周りに中学受験をする人がいなかったこともあって、小学生の頃は神童ともてはやされていたんですよね。

ですが、中学は三重県下の秀才が集まっている環境だったため、成績は真ん中くらいに。自分のことも、「普通の人間なんだな」と感じるようになりました。中学高校時代はアルバイト禁止だったため勉強をするしかなく、友達が少なかったこともあって、つまらない6年間を過ごしました。

- 高校生時代は京都大学を目指していたんですよね?

はい。京都がものすごく好きで、ただただ京都という場所に行きたくて目指していました。高校3年生の夏時点では模試でA判定が出ていたんですが、勉強が好きじゃなかったので、そのあとどんどん成績が落ちていってしまって。結果は不合格。受かった私立大学の中で、名前が一番格好良かった慶應義塾大学に入学することを決めました。

- 大学に入ると、かるたにはまっていたとか。

慶應に入学してからは、かるたにめちゃくちゃはまっていました。高校3年生の頃に読んだ『ちはやふる』という漫画に影響されたんです。大学に入ったら、かるた会(競技かるたに取り組む団体)に入ろうと決めていました。大学1年生の時は、アルバイトもせず、ひたすらかるたにのめり込む日々でした。

 

SNSでのイベント集客に成功した理由は「友達が少なかったから」

- 大学3年生の頃に、学生団体デビューされていますよね。そのきっかけは?

大学3年の夏、「就活支援団体を立ち上げたい」という子に出会ったんです。その子は、就活関連の仕事をしたいという社長さんの下で一年ほどインターンをし、その社長さんの援助を受ける形で学生団体を立ち上げました。

その団体は、企業から協賛金をもらってイベントをやっていたんですね。それを見ていたら、「イベントってお金になるんだな」ということに気づいて。だったら個人でもできるんじゃないかと考えたのが、きっかけです。

- それまで普通の学生生活を送られていたのに、いつのまにかインフルエンサーのように集客できるようになっていったそうですね。

そうですね。僕が入っていたその学生団体は、企業側にはツテがあったものの、学生が集められなかった。そのため、各大学にアンバサダーみたいな人を置いて、学生に学生を集めて貰おうっていうシステムを作っていたんです。

基本的には友達に声をかけて集客するんですけど、僕は友達が少なくて。どうしようかと考えたときに、SNSを使うことを思いついたんです。もともとTwitterの使い方はよく知っていたので、集客にTwitterを使うように。SNSを使って学生にリーチしたというのは、その時が初めてでした。

- 集客するために、どんな方法でフォロワーを増やしていったんでしょう?

個人のアカウントではないものを作っていました。「○○卒就活情報」とか「○○大学就活情報」といったアカウントで、就活生が求めるような情報をツイートしたり、自分の大学の休講情報を書いたりとか。たまに就活とは関係のないお役立ち情報もつぶやいていました。そうしたらフォロワーが増えていったんです。

 

「これから伸びていく会社が自分に合っている」大企業志望からベンチャー企業へ

-ご自身の就職活動への意識が芽生えたのはいつ頃でしたか?

大学3年生の夏くらいですかね。今でこそ1〜2年生の頃からインターンをやっている学生も増えましたが、当時の僕にはそんなの考えられなかった。だから、3年になって焦ってインターンに応募したり自己分析セミナーに行ったりしていました。

はじめは、就活系のメディアをやってるベンチャー企業で3ヶ月ほど長期インターンをやっていました。法人営業だったり、議事録を書いたりといった仕事をさせてもらって。それが僕の就職活動のスタートでしたね。

- はじめの頃は、ブランド重視で大手を狙っていたそうですね。

サマーインターンで行った10社は、各業界トップシェアの企業ばかりでした。携帯会社やクレジットカード会社、保険会社など、BtoCをメインに狙っていたんです。ベンチャー企業はまったく考えてなかったですね。

- では、途中で就活の方針が変わったのでしょうか?

Fintech系のスタートアップで半年間インターンをしたときに、就活方針を変えました。先ほどお話しした長期インターンのあと、夏休みの間にそのベンチャー会社が廃業してしまったため、次のインターン先を探していたんです。そこで紹介してもらったのがその会社で、インターンをしているうちに「これから伸びていくような会社のほうが自分に合っているかもな」と強く感じたんですよね。

- それで、最終的にディップ株式会社への入社を決められたわけですね。

実は大学4年の5月に一度、別のIT企業から内定をいただいていたんです。そこで就活が終わって暇になってしまったので、学生団体から独立して自分で就活系のイベントを企画するようになったんですが、だんだんそっちのほうが楽しくなってきちゃって。このまま就職するのも…と思い、内定式の一週間前に内定を辞退させてもらうことに。

翌年は、イベント業の収入と塾講師のアルバイト収入とが十二分にあったので、新卒フリーランスという道も考えていました。でも、このままじゃ自分の世界が広がらないなと感じて就活をすることにしたんです。

就活イベントを企画していたこともあって、採用や企画をさせてもらえる会社を探して見つけたのがディップでした。今の上司や役員さんなどとも会ってみて面白そうな会社だな、と思えたので入社を決めましたね。

 

ヘビーユーザーだったからこそできたWantedly運用

- 学生団体で集客の差別化に成功し、ディップにも内定が決まっていた。しかし、3回目の大学4年生を送ることになられたわけですよね。

入社予定も決まり、内定式にも出席していたんですが、僕の履修ミスにより留年することになってしまったんです。それがわかったのが3月の半ば。急いでディップの人事さんに話をしに行きました。そうしたら「一年待ちます」と言ってもらえたので、翌年入社することになったというわけです。入社までの間は、ディップで内定者インターンとして働かせてもらうことになりました。

- 留年が決定した1ヶ月後に、Wantedlyの運用に力を入れ始めたそうですね。具体的にどのようなことをされていたんでしょうか?

Wantedly経由でディップに入社が決まったくらい、もともとヘビーユーザーだったんです。Wantedlyって、ウォンテッド・スコアというものがあるんですけど、学生の間ではそのスコアを獲得するのが流行っていました。僕も当時は、ランキング上位に入っていたんですよ。

ところが、ディップに入ってみたらWantedlyのアカウントの専任がいなかった。だから「やりたい!」と手を挙げて、その運用をやらせていただくことになったんです。当時のディップのアカウントには、簡単なメンバーインタビュー記事しかありませんでした。しかし、インターン生を集めるためにWantedlyをもっと積極的に活用していこうというタイミングだったので、だったら学生たちが欲しい情報をいかに出せるかが大事だなと考えて、学生目線での情報発信をするようにしたんです。

- ディップへの入社後、ミッションは変わったんでしょうか?

インターンの最初の半年は、ひたすらWantedlyを運用していました。それが軌道に乗ってきてインターン生が10〜20人ほど入ってきた時から、プレスリリースを書いたり他の人の手伝いをしたりといったこともするようになっていたんです。

でも、入社してからはまたWantedlyに注力し始めました。今のTwitterアカウントを始めたのも、社員になってからです。Wantedlyを活用して採用しながら、インターン生の管理や人事部とのやりとりといった業務も担当し始めました。入社2年目の今は、『Jisedai』という採用オウンドメディアの立ち上げ、運営なども行なっています。

 

「Wantedlyお兄ちゃん」としての複業から幅を広げていきたい

- 現在、本業以外でも色々な企業の採用をお手伝いされているんですよね。

そうです。入社一年目の6月くらいに、ちょっと暇なタイミングがあったんですよ。そのときはまだ今みたいに「サラリーマンは複業、兼業だ!」っていう時代ではなかったものの、「僕は忙しいほうが向いているし、複業してみようかな」と思ったのが始まりでした。

最初は、採用に困ってるところを会社の先輩に紹介してもらい、無料で相談に乗っていました。Wantedlyを使っている企業であれば、その運用を有料で任せてもらっていたんです。そういったことを数社やってSNSで発信していたところ、僕のところに企業から直接メッセージが来て依頼を受けるようになりました。

ー ディップに入社して2年目、「Wantedlyお兄ちゃん」として複業でも活躍されている小林さんですが、今後はどのようなことをしていきたいですか?

今は「Wantedlyお兄ちゃん」が強く出てしまっていますが、採用コンサルタントとして他の採用手法も使えるようになりたいなと思っています。たとえば、最近はWantedly内で就職活動中の人を直接スカウトするための「スカウトチケット」をディップで購入したんです。今までやってこなかったスカウトという方法がこれから試せるのは面白いですね。また、Wantedly以外の媒体も活用できるようになったらいいかな、と。

ー 大きな変化を求めるというよりも、今いる場所でさらなる広がりを……という感じですね。

そうですね、部署を変わるようなことは今は考えていません。あとは、現在の部署にいながら他部署の採用を手伝ったり、他部署にインターンを送り込めたりできるようになったらいいなと思います。

(取材:西村創一朗、写真・デザイン:矢野拓実、文:ユキガオ)