地域には、多世代ごちゃまぜの「お役と居場所」がある。クリエイティ部代表、羽賀優太のお役

お役と居場所は身近なところにある

ー実際に大学に通われてみていかがでしたか?

高校であれだけがんばっていたんだから、大学では自由にのびのびやろうと決めていました。友達を100人作ろうとして、5月には500人。学校が渋谷だったので、帰らずに友達の家でシャワーを浴びて、授業に行く生活をしていましたね。

恥ずかしいエピソードですが、1年生後半のときに友達の車をぶつけ、修理代を家族に借金することになりました。早く完済してやりたいことをするために、インターンをすることに決めて、再び仮面をかぶったんです。

1年生のときから、2社のインターンに行き、お金を返済していました。オフィスでキラキラ働いているのがかっこいいなと思っていたんですが、仮面をかぶっていても性に合わない部分があり、つらくなってしまいました。

3ヶ月ほどでインターンをやめて、コロナをきっかけに地元に少し戻ることにしました。日常をのらりくらりと地元で過ごしているなかで、身近な地域の素晴らしさを再認識しましたね。

ーそこからどうやってお役を見つけていったのでしょうか?

自分の中で興味のあること・やってみたいこと・自分にできること・自分だからこそできることを整理してみました。

その中で、自分にしかできないことや自分の役割って何だろうと考えました。「自分のやりたいことかつ、自分にしかできないことってなんだろう」それが求められているお役なのかなと考えを深めていきました。

それから地元に戻ったときに、小学生のときに遊んでくれたおじさんやおばあちゃんたちがいなくなっていることに衝撃を受けました。亡くなっている方もいるし、施設に行かれた方もいる。

当時のにぎわいがなくなって、寂しくなってしまった現状をどうにかできないかなって思ったんですよね。

大学4年生の5月には、教育実習に行きました。教育現場を見ていると、コロナの制約もあり、子どもたちが活き活きとやりたいことを言えない環境になっていました。

教育分野でいうと家庭教育・学校教育・地域教育があるなかで、学校に負担が全部いってしまっていることが大きいのかなと、身近な地域を見て思ったんです。

実際に実習をして、先生の負担は計り知れないなと思ったときに、家庭・学校・地域、そして行政や地域コミュニティの間で何かできないかな、自分自身のお役ってどこなのだろうかともう一度考えてみたんですよね。

そのときに、地域で多世代のつながりを持っていることが、周りから見たらすごいことだということがわかって。それが僕に今できるお役でもあるし、地域が僕を受け入れてくれて、ほっとできる居場所でもあることに気が付いたんです。

憧れからつながるチャレンジ循環作り

ー現在はどんな活動をされているのですか?

地域の活性化でいうと、「私設の公民館」のような地域の居場所、若者のやりたいことを応援する『クリエイティ部』や、ママと赤ちゃんの居場所作り「子ども食堂・地域食堂」。

山を開拓して、自然の遊び場「プレイパーク」作りや、高齢者と一緒に楽しめるワークショップや駄菓子屋をプロデュースしていますね。

その芯の部分は、「多世代ごちゃまぜの日常」がキーワードです。カテゴリーや障がいの有無も関係なく、ゆりかごから高齢の方までのごちゃまぜを目的にして、その場所でいろいろな関係性を作っていっていますね。

この前は駄菓子屋をやりました。駄菓子屋をやってみたいおばあちゃんがいて、駄菓子屋を知らないけれど「何かやりたいね」と言っている小学生がいて、「懐かしいのがまたいいですよね」と言っている中高生たちがいる。

やりたいって言ってくれたおばあちゃんが、店番をしてくれるとか、中高生たちが買い出しに行ってくれるとか、小学生たちもそこで楽しんだり交流をしているんです。古き良き昭和の世界観をやっているみたいな感じですね。

ー読者の皆さんに、お役や居場所の見つけ方を教えてください。

何か1つでも行動することが大事だと思います。それでも、行動するってハードルが高いんですよね。

いきなり大きなことをしなくてもいいから、地域に出て散歩をしてみてください。散歩をして、困っている人がいたら「かばん持ちますよ」とか、足が悪いおばあちゃんがいたら「大丈夫ですか」とか、声をかけてみるくらいでもいいんですよね。

地域に一歩踏み出して、その場で触れる人の話を聞いてみることが小さな一歩目になるんじゃないかなと思います。僕は、そういうきっかけ作りの場所を作り続けています。

身近なところから、少しずつ飛び込んでみたらいいかなと思います。

ー今後挑戦してみたいことはありますか?

いろいろな方が関われるようなきっかけ作りや、地域のいろいろな場所に、居場所作りをしていきたいなと思っています。

子どもたちや足の悪いおばあちゃんなどが、ちょっと寄れるような居場所を全国に作っていきたいです。

さらに10年後に向けて、「憧れからつながるチャレンジ循環の生態系づくり」をしたいです。僕自身も不登校の経験がありますが、それが気にならないような、多世代・他属性ごちゃまぜの日常を作っていきます。

そのなかから、日常から憧れでつながっていく、子ども×若者×大人×企業の4つがつながるチャレンジの循環をこれからも作っていきたいと思います。

ー素敵なお話をありがとうございました!羽賀優太さんの今後のご活躍も応援しております!

取材:緒形航(Facebook
執筆:後藤ちあき(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter