たくさんの人に会い知ることは人生の糧になる。ホステル経営・藤岡ちえりの人生観とは

会社を辞めて飛び込んだネパール。日本にはない考えや価値観を知った

ーその後は会社を辞めてネパールに行ったとお聞きしました。なぜネパールに行ったのですか?

Twitterでネパールのボランティア活動の募集を見つけたんです。ネパールについて何も知りませんでしたが「これは行かなければいけない」と直感で思い、応募しました。

ーネパールで感じたことはありますか?

貧困者が多い街でしたが、想像していた以上に人の暖かさを感じました。重たいレンガを1日運ぶ仕事の給料は1日300円ほどでした。1日300円ほどの給料でも「僕には仕事があって幸せだ!」と言っていたのです。

そのような厳しい環境のなかでも、みんなが笑顔で過ごしていたのが印象的です。人間の豊かさはお金ではないと実際に現地で体験してわかりました。日本にはない考えや価値観を教えてもらったので、とてもよい経験をしました。

ー2020年に新型コロナウイルスが流行しました。何か影響はありましたか?

当時はフリーターでホテルのアルバイトをしていました。毎月1回は旅行に行っていたのですが、新型コロナウイルスの影響で行けなくなってしまったのです。

自分の楽しみやホテルのアルバイトができなくなり、なんのために生きているのかわからなくなりました。たくさんのゲストハウスが潰れていくのを見て、鬱のような感覚でした。

奈良県でゲストハウスを経営することが一番の夢

ー新型コロナウイルスが落ち着いてきたころに大きな転機があったとお聞きしました。何があったのでしょうか?

Twitterで知り合った方から「ホステルを受け継いでくれない?」と声をかけてもらったのです。新型コロナウイルスの影響でホステル経営が難しく、ゲストハウスをやりたいと思う人が少なくなっていました。

私は常に「ゲストハウスをやりたい」と言い続けてきたので、声をかけてくれたのだと思います。

ー実際にホステル経営をして、感じたことはありますか?

自分の知らなかったことを聞けるのはとても新鮮で、様々な生き方があることを教わりました。たくさんの人の考えや価値観、国の文化を知ることができて、とても楽しい時間を過ごしています。

ーゲストハウスを経営するなかで、藤岡さんが大切にしていることはありますか?

コミュニケーションを大事にしています。すれ違うときは挨拶を心がけていて、お客様同士が居合わせたときは、簡単にお互いを紹介するようにしています。

簡単にお互いを紹介することで、そのあとのコミュニケーションがとりやすくなると思うのです。自分から声をかけてよいか迷われている方もいると思うので、最初のマッチングをできるだけお手伝いしています。

ーこれからの夢やビジョンをお聞かせください。

奈良県でゲストハウスを経営するのが一番の夢です。私が生まれ育った生駒市にはゲストハウスがありません。生駒市にカフェやバーが併設しているゲストハウスを作りたいと思っています。

また、不登校で学校に行けない子は、居場所がないと感じている子が多いと思います。そういった子たちにとっても、ゲストハウスが交流の場になればいいなと思っていて。

いろいろな仕事や国の文化、価値観を知ることで「このような人生を歩みたい」「こんなキラキラしている大人になりたい」と思うきっかけになるようなゲストハウスを作りたいです。

ー最後に同世代に向けてメッセージをお願いします。

いろいろな人の考えや価値観、国の文化を知ることは自分の人生の糧になると思います。たくさんのことを知ることで、何か悩んだときや、誰かが困っているときに助けられるようになると思うので、いろいろなことに興味を持って生きてほしいです。

ー本日はありがとうございました!

取材:丸山泰史
執筆:吉川幸汰(Twitter
編集:松村彪吾(Twitter
デザイン:安田遥(Twitter