己の進む方向を決めるため休学し、企業で働く
ー大学を休学している間どのようなことをしたのですか。
大学3年生になるタイミングで2年間休学しました。旅武者のインターンやビジネス合宿を経て医療IT企業・メドレーで働き始めました。
医療の存在意義や構造をマクロな視点で見つめ、進む方向性を決めるためです。
最初の1年は粛々と成果を出し続け、インターン生から正社員になったり、一つのプロダクトチームの予算管理から実行まで任せてもらえたり。自分が組織に必要とされていると感じ、楽しく仕事をしていました。
一方で、ポジションや裁量権が増えていくうちに周りの期待値が上がっていき、次第に「やりたい」から「やらなければ」という思考に変わっていきました。
2年目の途中からは自分の中の「べき論」が強くなりすぎて、左耳が難聴になることや、商談前に動悸がするなど身体に症状が出るまで自分を追い詰めてしまったのです。
今振り返ると、非常に辛い状況だったと思います。
ー早く成長したい、何者かになりたい、という思いがあったとあります。ロールモデルになる人を見てプレッシャーを感じたのですか。
どちらかというと、自分自身の価値観に捉われていたと考えています。
普段の生活から「もっと向上しないといけない」「成長しないといけないと自分はダメだ」と思い込んでいました。
また、自分自身の価値を地位や実績など外的な要因でしか評価できませんでした。
ー当時、捉われていた価値観をどのように紐解いていきましたか。
徹底的に自分の中のエゴや痛い気持ちを味わい続けました。内省をしていくうちに自分自身の価値を外的な評価や実績でしか認められていないことに気付き、自分の見たくない部分と向き合うことにします。
辛かったですが、向き合ってどこが痛いのかを味わい共存していくことを意識しました。
ー内省の方法はありますか。
モヤモヤしたらすぐに紙に書くか、友人と対話します。特に不安や焦りが出た時は、それらを打ち消そうとすぐに行動するのではなく、味わうことを意識しています。
組織の中で自己実現できていない人を支援していきたい
ー22歳で父親と和解できたとあります。どんなことがありましたか。
大学1年から父親と絶縁状態でしたが、祖父が亡くなったことがきっかけで連絡を取りました。
祖父とは何年も会っていなかったのですが、葬式に出た時にすごく悲しかったのを覚えています。「存在してくれてるだけでありがたかったのに」と強く感じました。
そこから父親に対しても、やっぱり生きていて欲しいなという気持ちが芽生え連絡をします。
しばらく父と離れていたことで、冷静に父の思い出を思い出せるようになりました。365日悪い父親だったのではなく、ところどころで僕には愛情を注いでくれたことを思い出し、母の目を通して見ていた父親を自分の目を通して見ていきたいと思うようになりました。
一つひとつ向き合ってきたからこそ、伝えられるものや語れるものがあります。
ー2年間の休学を経て復学したそうですね。復学してから3足のわらじを履く生活はどうでしたか。
祖父の死やメドレーでの経験から自分自身を縛っていた価値観や思い込みを自覚し、受け入れることができました。そこから落ち着いた状態で改めて人の豊かさについて探究したいと考え復学を決めます。
また、「成長しなければいけない」という思い込みは、資本主義的な考え方から強く影響を受けていたので復学後は、ビジネス以外の教養(人文学や歴史学など)をかなり勉強しました。
色々な切り口や視点を持った上で、ビジネスで自己表現をしようと考えており、人材や組織にフォーカスをあてた活動や仕事に注力しています。
ー今後の展望についてお聞かせください。
願いや志を持っていても組織の中では萎縮してしまい、力を発揮することが難しい人がいると思います。
すぐに人や組織を変えることは難しいです。そういった人達の背中を押せるように、良い影響を与えられる人になりたいと考えています。
ー京輔さんが生きていく上で大切にしている価値観はありますか。
仕事では2つ大切にしていることがあります。
1つめは凡事徹底です。毎日するべきことをこなし続けるからこそ、信頼を勝ち取り、その結果新しいチャンスが増えると考えています。
2つめは建設的であることです。反応的に意見をぶつけるのではなく、お互いの違いやズレを認知した上で、共通のゴールを握り対話することを意識しています。
他にもライフスタイルでは「諦めない根性」「創造と破壊をいとわないこと」「誠実である」の3つを大切にしています。
ー人生の選択に悩んでいる人に向けて一言メッセージをお願いします。
苦労や苦しみは必ず血肉になると考えています。苦しみや大きなハードルは一種のギフトだと捉えてみてください。
アイデンティティーや価値観を再定義していく上で葛藤と共存し、焦らずに一つひとつ味わいながら生きていけば深みのある人間になると考えます。
ーありがとうございました!岡山さんの今後のご活躍を応援しております!
取材:八巻美穂(Twitter / note)
執筆:Kumi(Twitter)
編集:松村彪吾(Twitter)
デザイン:安田遥(Twitter)