今と将来を両軸で考える。ビジネスプロデューサー宮本安祐佳の幸福論

東日本大震災を経験し「今」の大切さを実感

ー東日本大震災を転機としてあげられていますが、それを受けてご自身の中で変化したことはありますか?

高校を卒業して、大学に入学するというタイミングで東日本大震災を経験しました。直接的に大きな被害を受けたわけではないですが、大学の入学式がなくなったり、友人やその家族が亡くなった話を聞いたりして、自分の闘病生活と重なる部分がありました。

いつ何が起こるか分からない、明日死ぬかもしれない、明日震災がくるかもしれない。そうやって明日何があるか分からないって考えたときに、将来を重視していた価値観から、今何をするかだとか、今をどう生きていくのか、みたいな方向に考え方が変わった時期でもありますね。

ー考え方が変わってから、実際に起こした行動やエピソードがあれば教えてください。

高校までは勉強とか目に見えない部分に投資をしていたのですが、大学に入ってからは目に見える形で何かを作りたいという気持ちが芽生えました。大学在学中にmy Japan AwardというCMのようなコンテンツを作るコンテストに参加して、大学外の人たちとも頻繁にコミュニケーションをとって。大学生活では映像を作ることに励んでいました。

ー美大での生活の中で、映像というジャンルを選んだきっかけはなんですか?

美大では芸術学部アニメーション学科に所属していました。学科ではアニメーションを書いたり、研究したり、割と映像と繋がっている場に身を置いていたので、自然と映像にたずさわる時間が多かったですね。アニメーションを勉強していく中で、実写にも興味がわき、my Japan Awardにも参加しました。

ー幼少期から興味・関心が幅広くあったとお聞きしています。さまざまなことに興味がある中でどのように進路を決めたのですか?

映像って、音楽とかデザインとか、いろんなものが集約されているなと感じていて。特にCMは、限られた時間の中で決められたメッセージを伝えなければいけない。そこにすごく興味もありましたし、挑戦してみたいという気持ちが強くありました。

今と将来を両軸で考える

ー大学卒業後はテレビCMの制作会社に就職された宮本さん。広告業界に進んだ理由を教えてください。

大学時代に経験したmy Japan Awardで、広告業界のレジェンドの方たちとお会いして、大きな影響を受けました。師匠のような存在の方もでき、いろいろと相談させてもらう中で、CMを作りたいなという気持ちが大きくなっていって。就職活動では、代理店やドラマの制作会社などの進路も考えたのですが、やっぱり私はテレビCMのプロダクションに入りたいと思い、その軸で就職活動を行いました。

ー現在はスラッシュキャリアを実現し、さまざまな肩書や役職で働かれていますが、どのような経緯があったのですか?

新卒で入社したテレビCMプロダクションで働いて3年目のころ、ある日突然、もっと広い世界を知ったほうがいいのではないかという気持ちになって。CMの制作の場合、CMを作るところまではやるけど、その後に商品がどのくらい売れたのかとか、どういう反応があったのかとか、そこまでは見えないんです。CMのその後みたいなところに興味があったり、自分の知らない世界をもっと見てみたいという気持ちになったりしたのがきっかけかなと思います。

ーさまざまな経験を経て、今と将来の両方を大切にされている印象を受けたのですが、両軸で考えてきてよかったと思える点はありますか?

両軸で考える力をもっていることで、毎年自分をアップデートできている感覚はあります。もちろんまだまだ物足りなさはありますし、将来自分がどうなっていたいのか、本当の答えはまだ見つけられていません。でも、今の楽しさのために将来を諦めないことだったり、逆に将来のために今を犠牲にしないことだったりは、改めてすごく大切だなと思います。

今と将来、どちらかに偏ると、どちらかの幸福度が下がってしまうと思うんです。なので、常に両軸で考えることを意識したほうが、結果的に今の自分も将来の自分も幸せになれる気がします。

ー最後に、宮本さんの今後の目標や展望をお聞かせください。

場所と時間に縛られずに働いていけることを目標にしています。そのためにスラッシュキャリアという選択をしました。例えば、決まった時間に働かなきゃいけないとか、この場所じゃないと仕事ができないとか、そういうものに縛られずにいたいですね。

あとは、職業でこれしかしないっていうのも決めずに、自分のやりたいことを仕事にして、自分が一番力を発揮できるタイミング・時間・場所で仕事をして生きる。自分のモチベーションを高められる場所で生きるっていうのを、将来は絶対にやろうと思っています。

ーありがとうございました!宮本さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:西川莞人(Instagram / Facebook
執筆:黒木伶(Twitter
デザイン:安田遥(Twitter