様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第793回目となる今回は、OrgaNect合同会社・共同代表の福原 海里(ふくはら・かいり)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。
大学在学中に起業をした福原さん。起業を決意するも挫折を経験。そこからどのようにワクワクが生まれ、自身の仕事に価値を見出すことができたのか、話していただきました。
夢が教師から起業家へ
ー自己紹介をお願いします。
OrgaNect合同会社の共同代表を務めています、福原海里です。農家の方向けに「マネタイズポイント」と呼ばれる収益のポイントを増やす事業を行なっています。
ー農業に携わるようになった経緯を教えていただけますか。
実は農業より起業家に興味がありました。農業に携わるようになったのは、高校生の時、人材育成のプログラムに参加させていただき、農業に熱い思いを持つ女性と出会ったことがきっかけです。
彼女はビジネスをしたいというよりは農業をしたいと考えていて、一方で僕は何をしたいかは決まっていなかったのですが「起業して世界を変えたい」と思っていました。女性のほうから話を持ちかけていただき、そこから一緒に仕事をすることとなりました。
ー起業家になりたいと思うきっかけは何だったのでしょうか。
初めから起業家を目指していたわけではなく、高校生までは教師を目指していました。人に教えることが好きで、教えることで人に「わかった」と言ってもらえることが嬉しかったからです。
先生が教えるより、自分が教えた方が伝わっているじゃないかと調子に乗っていた時期もありました。
先に問題を解き終わった人が周りに教える授業があったのですが、そこで先生の授業で理解できなかった子を僕が教えたら「理解できた」と言う人が多かったのです。
今考えると、先生は多数に向けて授業をしているので分からない人がいて当たり前で、考えが浅はかでした。
その後、高校生の時に先生が土日に部活動で顧問をし、生活指導に追われているのを見て「時間に制限が生じてまで生徒指導はしたくないな」と思いはじめました。
小学校高学年から抱いてきた教師という夢ではありましたが、そんな理由で大学進学前に突如として崩れることとなります。
進路決定の大事な時期に夢がなくなり、自分が好きなことや、やりたいことを仕事にしたいなと考えた時に、起業家は「自由でかっこいいな」と思いました。
ーそこから起業したい気持ちへと変わっていくのでしょうか。
そうですね。受験や部活が終わったら、絶対起業家に話を聞きに行こうという思いが強くなっていくなかで「琉球frogs」というプログラムに出会いました。
シリコンバレーやエストニアの方々にプレゼンする機会もあり、起業を目指す中高生が主に参加をしていました。
高校3年の受験期だったこともあり、選考の際に「結構きついですよ、大丈夫ですか」と念押しに確認されましたが、それを押し切って参加を決意したのです。
「夢は人に言えば叶う」と親から言われていて、それもあって周囲には起業家になると常に話してきました。進路相談のときも「起業家になります」と言い切りました。
担任の先生が琉球frogsのチラシを見せてくれたことが参加するきっかけとなりましたが、それも夢を話し続けたおかげだと思います。
周りに起業家はいませんでしたが、視座の高い先生との出会いに恵まれたことは幸運でした。
初めてお金をいただく体験をする
ー初めて自分のサービスでお金をいただく体験をしたと伺っています。この背景を伺っても良いでしょうか。
琉球frogsのプログラムに農業の課題を解決するという内容があります。そこで畑を回りながらインタビューを行ったのです。述べ50名から話を伺うことができ、最初に伺った農家はオーガニックにこだわりを持った農家でした。
素晴らしいものを販売しているのにも関わらず、消費者の理解が追いついていないため、商品が思うように広まっていないことが課題でした。
もちろん生産量を増やしたり販路を拡大することは大切ですが、消費者の意識を変えるために、まずは人を畑に呼んで地道に訴えることにしたのです。
そして何から何まですべてが初めての体験農業を開催し、人からお金をいただくことができました。アルバイトをそれまでしたこともなく、サービスの対価としてお金をいただき、誰かの人生に影響を与えられたことが嬉しかったですね。
起業家は積み重ねで大きくなっていくのだなと思うのと同時に、より自分も起業家として生き続けたいという思いが芽生えました。
ー共同代表との出会いもこのプログラムの途中だったと伺っています。
プログラム内でのチームビルディングの過程で出会いました。一人でこのプログラムを駆け抜けられるのだろうかと不安があった時に、一緒にやらないかと誘っていただきました。
自分にないものを持っていると声をかけていただき、僕に可能性を感じてくれて僕の才能を買ってくださり嬉しかったです。
頭の中では農業には興味を抱いていなかったのですが、いつの間にか「一緒にやりましょう」と返答をしていました。