リーダーシップの無さを痛感する
ーリーダーシップのお話を転機に挙げられていますね。詳しく教えてください。
僕は今までサッカー部のキャプテンをしたりリーダーシップを発揮してきました。しかし、メンバーが5人いるプログラム中、僕は何もできませんでした。
周りは農業の課題解決や保護動物や教育業界を変えたいとさまざまな思いを持っていましたが、その中で僕だけ「起業家になりたい」と漠然とした思いでした。自分の考えを言えないことが悔しかったです。
「絶対こうした方がよい」と思ったことも言えず、そのときは逃げてしまう自分がいました。リーダーシップがあると思っていたにも関わらず自分の無力さを痛感し、リーダーとは何なのだろうと考えさせられました。
ー18歳当時、周りには何かを成し遂げたい、強い思いを持った方が多かったのでしょうか。
やりたいことが決まっていたり、自身の原体験をもとに、成し遂げたい思いを実現しようとしている人しかいませんでした。
しかし僕には原体験もなく、当時は「起業家はかっこいいから」と漠然としたことだけを言っていました。
現在は、起業家になりたい理由を「自分の好きなこと、ワクワクすることを大切にして価値を生み出し社会に価値を見出したいから」とはっきり言えます。18歳当時は、周りと比べて劣等感を抱いている自分が、周りに発言をしていいのだろうかと逃げていました。
この悔しい経験をしたあと、見返したいという思いが強くなり、「僕ならできるはずだ」と自分を鼓舞し、成長してみせると決意が固まりましたね。
同時に、多くの優秀な起業家とも話す機会に恵まれ、すべてにおいて勝つのは無理なのだと悟ります。
シリコンバレーの起業家で、2つしか年齢が変わらないのに大きな会社を持っている方とお話しさせていただいたりもしましたが、経営者の思考をその時学び、どの分野であれば自分が活躍できるのかを考えるようになりました。
ー起業家の方と出会う中で、自分の活躍できる道を探すようになったのですね。
はい。それに、みんなワクワクしながらプログラムに取り組んでいたので、そこに勝ち負けはなく「楽しかったら良いんじゃないか」と思うようになり、吹っ切ることができました。仕事を楽しみながらも、結果を出したいと思考も変化していきました。
サービス開発に悩み、活動を一時休止する
ー大きな転機を迎えたそうですが、この背景を教えていただけますか。
半年間で多くの農家の話を伺い、たくさんの課題を聞きました。
たくさんの課題を解決するために農家と飲食店のマッチングサービスを開発したり、規格外品を利用したオーガニック離乳食を開発したりと、起業家にアイディアを提案してはフィードバックを受けることを繰り返していました。
それでもこれらを実現することはできず、途中で頓挫してしまいます。すべては自分の実力不足で、誰かの課題解決がこんなにも難しいのかと感じました。
ーこれらのサービスは共同代表と考えたものだったのでしょうか。
そうです。農家にヒアリングして、同時に農業体験をさせていただき、共同代表と戦略を考えていました。
起業家からのフィードバックも週に1度受け、それ以外の日も別でメンターから意見をもらい改善策を練る日々でした。毎日フィードバックを受けていたことも重なり、僕たちは疲弊してしまいます。
プログラムが終わったあと、「1ヵ月は何もしない期間を設けよう」と共同代表と話をして一時的にビジネスを休むことを決めました。それほど精神的に追い込まれていたのです。