挑戦しやすい環境を作る。鹿児島のスタートアップを支援する村上将太郎が描く未来

「挑戦しやすい環境」を作るために

ー改めて村上さんがスタートアップ支援を決めたきっかけをお伺いしてもよろしいでしょうか?

幼少期の機会格差から、挑戦したくてもできないつらさやそこから劣等感を抱いていたため、「どうしたら僕みたいな挑戦したがりの人が挑戦しやすい環境になるのか」をずっと考えていました。

最初は、「子どもと接する時間が長い先生になるのがいいのでは」と思っていましたが、当時の先生から「先生には指導要領や他にも制限があるから、外部からアプローチしたほうがいいんじゃないか」と言われ、起業を考え始めました。

そして高専時代に起業のために動いていたものの、起業したいというよりは「挑戦しやすい環境を作りたい」という気持ちもあったんですよね。それだったら、いろいな種類のロールモデルがあった方がいいなと感じ、自分の周りに起業家が増えていくといいなと。

やはり自分が挑戦者になって周りに知ってもらうにはかなりの時間がかかるため、自分が1社立てるよりも、自分が支援者となり周りに何社もスタートアップができたら目的に近づきやすく、起業する環境や雰囲気作りにもよさそうと思いました。

ー現在行き詰っていることがあるそうですが、どのように向き合われているのでしょうか?

これからさらに支援するためには視点も知識も経験も足りないと痛感しています。例えばファンドやインキュベーション施設を作ろうとしたときに、今ある鹿児島だけの視点ではいけないと感じました。

現状、鹿児島で起業を考えている人に対して、自分の知識や経験を活かしてアドバイスをしたり壁打ち相手になったりすることはできますが、あくまでも僕の経験内での話なんですよね。

しかし、実際に起業してから九州・日本・世界で戦っていかなければならないことを踏まえると、自分の知識レベルだと提供できるバリューが少ないなと。

だからこそ今は「調子乗りを脱してハングリーになる段階」で、エンジンをかけてどんどん学びを増やしていく必要があると考えています。

ー素敵な考え方ですね!最後に、村上さんの今後の展望を教えてください!

「挑戦しやすい環境を作る」ために、起業のエコシステムを作っていきたいです。

その入口として、現在取り組んでいる鹿児島大学スタートアップサークルをさらに盛り上げていこうと考えています。このサークルでは、「起業に興味がある」「ちょっと挑戦してみたい」という学生たちが県内中から集まり、情報交換やアイデア出しをしたり、いいなと思った人のアイデアにジョインしたりしているため、そのなかでいろいろな価値が生まれたらいいなと。

また現在、地方自治体や地元の企業さん、アカデミアと協力して、「鹿児島大学スタートアップハブ」を作る構想中です。ここではただ伴走するだけではなく、投資まで行ってその後の成長を一緒に見ていけたらと考えていますね。

これからも、根拠のない自信と劣等感をいい具合のバランスで保ちながら活動していけたらと思います。

ー本日は素晴らしいお話をありがとうございました!村上さんの今後の更なるご活躍を楽しみにしています!

取材:山本佳奈(Twitter
執筆:庄司友里(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter

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