様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第675回目となる今回は、BENIRINGO共同代表・田中藍奈さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。
環境問題に関心があり、BENIRINGOをはじめさまざまな活動をする田中さん。多忙な活動を支えているのは、人との繋がりでした。
さまざまな活動 ~身のまわりで、できることから~
ー自己紹介をお願いします。
神奈川県茅ヶ崎市在住の田中藍奈と申します。生まれ育った茅ヶ崎市で4つの活動をしています。「身のまわりでできることをする」という想いから茅ヶ崎市を拠点にしています。
1つめは「BENIRINGO」です。社会問題の解決のために、皆さんに情報発信をする目的でフリーペーパーを作ったり、イベントや訪問授業をしたりしています。
2つめは「PlantPitty」です。茅ヶ崎市の食品ロスを減らし、自給率を上げ、有機野菜の普及を目指しています。家で余った食材を持ち寄り自立支援ホームに寄付したり、地元の有機農家さんをお呼びしてお話を伺ったり、販売するなどして、生産者と消費者を繋ぐ活動もしています。
3つめは「幸町こども食堂」で、ボランティア運営スタッフをしています!コロナ禍の影響でテイクアウトが中心でしたが、最近は時間交代制で食堂形式を再開しました!料理教室を開くようなスタッフもいて、とても評判がいいですよ!
4つめは、サブスクリプションで環境やLGBTQなどの社会問題を幅広く学べる「アップサイクル大学」の事務局長です。アップサイクルとは、ゴミなどに新たな価値を吹き込んで、元の素材を生かしながら別のものにする取り組みです。アップサイクルジャパンという会社が運営する「大学」です。
ーBENIRINGOについて詳しくお聞かせください。
BENIRINGOはフリーペーパーの作成、マルシェの開催、訪問授業などの情報発信をしています。フリーペーパーでは環境問題について取り上げています。取り上げる内容は、例えば茅ヶ崎市のゴミの問題についてです。ほかにも、茅ヶ崎市内で環境に配慮した飲食店の取材もしています。私たちだけでなく、高校生にも取材・執筆を担当してもらっています。
ー環境問題が大きなテーマなのですね。
そうですね、活動の軸は環境問題です。環境問題を身近に感じてもらいたくて、イベントでは地元の有機農家さんや環境に配慮した雑貨屋さんなどをお呼びしています。想いのある生産者と販売者と消費者を繋ぎ「もの」「想い」「人」の循環をテーマに「クラフトループマルシェ」を開催しました。
BENIRINGO以外の活動でも環境問題や社会問題は常に頭の中にあります。自分が行動をするときに、少しでも問題の改善に繋がるようにしたいと思っています。
SDGsとの出会い ~やりたいことは、まさにこれ~
ーここからは、田中さんの過去を振り返ってお伺いしていきます。ターニングポイントとなる中学生のころにどのような出来事がありましたか?
中学生のころTVで日本の食品ロスを知りました。
もともと世界には貧困問題があるのは知っていたのですが、食糧難で亡くなる人もいるのに、日本は多くの食べ物を無駄にしていると知りました。ショックを受けましたし、この現状はおかしいと思いました。
食品ロスについて考えていくうちに、ほかにもたくさんの社会問題が存在することを知り、それらを解決するような仕事をしたいと思いました。
ー食品ロスを解決したいという想いは誰かと共有できたのですか?
家族も食品ロスについて関心があり、私の活動にも共感してくれています。私の友達には、その話題についてあまり重くならないよう、ラフに話していました。高校生になると、もっと活発に話したり発信したりするようになりました。
ー高校生ではどのような活動をされていたのですか?
高校生の3年生のころ「社会の問題を解決したいけど、実際に私には何ができるだろう」と考えていました。そのときにSDGsに出会い「私のやりたいことはまさにこれ!」と思い感激しました。しかし、私がSDGsに出会った2019年の時点では、まだまだこの目標は世間に普及していませんでした。
そのため、SDGsを皆さんに広めようと思いました。はじめは自分の周りの人からと思い、フリーペーパーを秋に発行しました。これがBENIRINGOの始まりです。
ー田中さんはSDGsのどこに惹かれましたか?
私は当時「世界の問題をすべて解決したい」と壮大なことを考えていて、「世界共通」で同じ想いの目標が存在することや、目標そのものにも惹かれました。そのときは「これさえあれば大丈夫」だと思っていました。
ー3年生のころとなると、周りの人は受験勉強などがあったと思います。周囲との温度差はありましたか?
はじめは「SDGs?何言ってるの?」程度の反応でしたが、私がフリーペーパーやInstagramで発信するようになると、周りの人もSDGsという言葉を見ると「藍奈じゃん!」と反応してくれるようになりました。「SDGs=私」ですね(笑)。
また、担任の先生が授業で扱ってくださったり、生徒会も学校の廊下にSDGsの説明を貼ってくれたりしていました。
フリーペーパー「BENIRINGO」のはじまり ~紙にすれば、想いは届く~
ーまさにその学校のSDGsの伝道師ですね(笑)。なぜフリーペーパーにしようと思われたのですか?
それは、冊子にして街中にあるほうが自然に認知されると思ったからです。これが最も拡散できると思ってフリーペーパーを選びました。というより、それしか思い浮かびませんでした(笑)。
ー簡単にフリーペーパーは作れないと思うのですが、作り方はご存じでしたか?
まったく知りませんでした(笑)。
PCを買うところからスタートしました。買った後もいろいろなソフトをインストールしないといけないことも知りませんでした(笑)。
使い方がわからなかったので、高校の先生に使い方を教えてもらい、なんとか作りました。第1号のクオリティは低かったです。
また、印刷会社に持ち込んだときに「印刷するのにページ数が足りない」といわれ、うちで飼っている猫の写真を挿し込んだこともあります(笑)。
ー活動について田中さん自身の想いと、実際にできることにはギャップがあると思います。それでも、第1号を完成させたモチベーションはどのようなものだったのですか?
私は「作るとなったら作る」タイプの人間です。デザインは素人でしたが、伝えたい想いは文章にして紙にすれば絶対に届くという確信がありました。
「とにかく作る」という想いしかありませんでした。いざ始めてみると楽しくて「どんなデザインにしようか」や「どういう文章にしようか」と楽しみながら考えていました。