優しさの連鎖!フォトグラファー秋岡英太朗から学ぶ「小さな幸せに気づくこと」の大切さ

甘え上手な末っ子が、「人に何か伝えたい」と思うようになった理由

ー幼少期のお話を聞かせてください。どのような子どもでしたか。

僕は、末っ子で甘え上手でした。やりたいことはなんでもさせてもらえました。

ーそんな秋岡さんですが、中学のときにバスケを通して、夢を見つけたとか。

中学生になって、バスケ部に入りました。初心者でしたが、練習の成果が身を結び、2年生の途中からスタメンに入りました。ほとんどの試合で優勝を収めました。

そんなバスケを通して、教師になりたいという夢を抱きました。顧問の存在が大きく、人に何かを伝える仕事がとてもかっこいいと思いました。自分も「誰かに何かを伝えられる人間」になれたらと。

ーバスケ三昧の生活を送っていたと思うのですが、高校2年生のときに、倒れてしまったとか。

高校2年生の冬の練習試合中に、体調を崩して倒れました。最初はただの疲れかと思っていたのですが、次の日から、練習に行けない日々が続きました。

練習に行こうとすると、どうしても倒れたときの怖さが頭をよぎるのです。その怖さはどんどんエスカレートしていきました。いろいろな不安が押し寄せ、結局そのまま学校に行けなくなりました。

ー学校に行けなくなったときのお気持ちはいかがでしたか。

「当たり前にしていたことが、当たり前ではない」ことに気づきました。今まで当たり前だった友達と過ごす、バスケの練習をすることが全部できなくなり、とても苦しかったです。

そんなとき、病院の先生からパニック障害だと診断されました。原因が判明したところで、すぐに治るものではなく、結局3年生まで学校に行けず……。学校どころか、家から1歩も出られないほどでした。

しばらくして、少しずつ外に出られるようになりました。散歩やコンビニに行けるようになり、幸せを感じました。大半の人は、コンビニに行くことを、特に幸せだと感じないと思います。しかし、僕にはそんな些細なことが、何十倍にも幸せに感じられたのです。

この幸せは、パニック障害にならなければ感じなかったことです。その経験があったからこそ、小さなことでも幸せだなと気づくことができました。ある意味、いい経験ができたと思います。

ーその後、新しい夢を持って大学進学をされたとか。

教師から、新たに臨床心理士――心理カウンセラーになる夢を抱きました。初めの頃は、大学進学を諦めていました。高校3年生から少しずつ学校に行けるようになったのですが、勉強が追いつかず……。

しかし、自分と似た経験をした方はきっと世の中にたくさんいると思い、もっと広い世界を見たいと思いました。自分と同じような苦しい経験をした人が前を向くきっかけとなり、寄り添い、一緒に前に進んでいけたら。自分の実体験を通して、伝えられることがたくさんあるのではないかと感じるようになりました。そして、大学進学を決めました。

カメラで“人”を撮る楽しさを知る

ー大学進学後、いよいよカメラとの出会いがあったとのことですが、どのような経験を通して出会ったのでしょうか。

旅行がきっかけで、小さなミラーレス一眼カメラを買いました。友達と沖縄旅行に行くことになり、せっかくならいいカメラで撮りたいと思いました。当時から写真は好きで、携帯とかで撮影していました。

旅行でカメラにはまりました。友達の写真を撮るのがすごく楽しくて。

ー撮っていて、どのような楽しさを感じたのですか。

1番楽しかったのは、景色よりも、友達の「笑っている瞬間」を撮ることでした。友達が楽しそうにしているのを俯瞰で見ると、自分もここにいると感じられ、それが楽しいと感じました。

そのあとに、撮った写真を友達に送ると「めちゃいい写真」と喜んでくれて。写真を撮ることで、こんなに喜んでもらえるのだと嬉しくもなりました。

ー大学在学中、Lovegraphとはどのように出会ったのでしょうか。

友達カップルを撮った写真をFacebookにアップしたところ、それを見たLovegraphの代表が「一緒にやらない?」と声をかけてくださいました。そして、ビジョンに共感し、Lovegraphに入ることに決めました。

ーLovegraphのビジョンに共感したとのことですが、どのような点に共感したのでしょうか。

現在のLovegraphのビジョンは、「幸せな瞬間を、もっと世界に」ですが、当時は、ビジョンとして掲げている言葉はありませんでした。しかし、代表はずっと「世界を平和にしたい」と言っていました。世界を平和にするには、この活動が絶対に必要だと。

代表から「優しさの連鎖」の話をよく聞いていました。誰かに優しくすると、優しくされた人は、その分、誰かに優しくしようと思える。これが写真でも表せるのではないかと。

カップル写真を見た人が、カップルっていいな、愛っていいなと感じてくれる。そして、自分の恋人を大事にしようと思い、自分たちも写真で愛の形を残そうと思ってくれる。また、撮った写真を見て、「あ、好きな人の前では、自分はこんなに笑っているんだ」とさらに愛を実感する。

この連鎖が世の中にたくさん広がっていけば、1人ひとりが目の前にある小さな幸せに気づき、人生が豊かになる。もっと大きなストーリーで見ると、世界平和に繋がっていくのではないかという考え方でした。

この考え方にとても共感しました。まさに、自分が高校生のときに、小さなことでも幸せに感じた経験とリンクしたのです。自分はこの活動をやるべきだと思いました。

ー大学卒業後、そのままLovegraphに就職。現在、Lovegraphで撮影以外にも行っている仕事はありますか。

アカデミーというオンライン写真教室で、カメラマンの育成をしています。写真を基礎から学べ、一緒に学ぶ仲間とも出会える場所です。

「好きなこと」を「楽しく」学んで、技術の習得を目指します。自分自身が楽しい撮影をして、ゲストにも楽しいと感じてもらえる活動ができるようサポートをしています。