20代はとことん挑戦。nowhere代表・酒井大輝が思う暮らしの大切さ

ユニット解散、サーフィンで自分を肯定

ー27歳の頃はどんなできごとがあったのでしょうか。

サマーソニックに出演した後の2020年の3月ぐらいに、ユニットを解散しました。夢を叶えれずに悔しかったし悲しかったですが、やりきったのかもなとも思っていました。

また新たに何でも自分のやりたいことを見つけてやろうとポジティブに考えていましたが、その後すぐ新型コロナウイルスが流行りだします。

アパートから外出自粛で出られなくなり、ずっと自分と向き合うしかない毎日を強いられたときに「自分って何ができるんだっけ?」「生きてる理由ってなんだっけ?」と、旅をしていたときの「明日なにすればいいかわかんない」毎日を思い出しました。

何をしてどう生きていったらわからない日々の繰り返しで、コロナが流行った当初は本当に苦しかったです。

ー何に苦しさを感じていたのでしょうか。

何をしたらいいかわからないのが一番辛かったです。どんなことで日本や周りの人に貢献できるかがわかりませんでした。毎日を無駄に過ごしてる感覚があって、なんで生きているのかなとすごい辛かったです。

ーそれから今の事業に向かうのはどんなきっかけがあったのですか。

このままでは何かをしないと人間として終わると思ったので、ふとしたきっかけでサーフィンを始めました。サーフィンは海の奥の方まで行って波が来るまで待つ時間があるのですが、その波を待ってる時間が幸せだったのです。

サーフボードに揺られながら波の音を聞いて、何も考えずにただ波だけを待つ時間がすごく幸せに感じて、マイナスだった心理状態がフラットに戻った感覚がありました。

何もしない時間で自分の感覚がゼロに戻って「何かこのままでもいいな」と自分を肯定できた瞬間でした。

あと、自然に触れる中で焚き火にハマり、火をみながらゆっくり深呼吸する体験がすごい素敵だなと思い、それもまた自分を取り戻すことができたのもきっかけの一つです。

自分を取り戻していくなかで、今の共同創業のパートナーとなる相方と対話を深めていきました。信頼して人間的にも尊敬していた友達で、何か一緒にやろうとなり今の自分の状況を話して、場所作りを一緒にしたいとなりました。

自分の大事にしている価値が似ていて、かつ自分が通ってこなかったキャリアを歩んできた友達だったのです。尊敬もしましたし、自分にできないことをたくさん持ってる人でした。一緒にいれることで成長してる感覚もありますし、いい関係だと思っています。

人生に心地よさをもたらす場所作りをしたい

ー何もしない時間と何もできない時間って、近い部分もあるかと思いますが、そのあたりはどう考えていますか?

みずから何もしないことを選択するのはとても大切だと思います。何もしない時間を選べれば自分に向き合う時間も取れるし、ゆったり暮らすこともできます。本当に自分の人生で大切なものと向き合うきっかけにもなるので、能動的に「何もしないをする」ことは大切だと思います。

ー大事にしている価値を一言で言い表すとするとどんな言葉になりますか。

「好きな人と好きなときに好きな場所で好きなことをしたい」です。年を重ねると人の目が気になって、本当に好きなことを発信できないこともあると思います。でもすこしの興味が「これ本当に好きかも」のきっかけになって今に繋がります。

自分の心に素直にとりあえず一歩踏み出してみるのは大切です。好きなことをやった連続で好きな方に出会えたり、環境に出会えたりするのに繋がってきます。

ーこの先の展望はどのようにお考えなのでしょうか。

今後はもっと自由に好きなときにかつ好きな場所で働いて日本中、世界中にもっといい場所を作っていきたいです。

日本中ツアーを回っていた経験があるのですが、思い出すのは景色や食べたご飯ではなくて、その場所にいた人なんです。その人に会いにいく経験が旅行の本当の価値じゃないかなと思います。

今、自分は渋谷にお店があって、ここに来れば大好きなスタッフや仲間がいます。『BUTTER tokyo』が日本中にできれば日本各地に好きな仲間がいる状況を作れます。

人生に心地よさを持たせるような場所作りを今後もどんどん展開していきたいです。

ー最後に10代の後半の方々や、20代の一生懸命頑張ってる方々に対してアドバイスをいただけますでしょうか。

自分はまだ成功してるなんて全然思ってないですし、一生懸命やっている最中ですが、後から正解なんていくらでもできるのでとにかく選んだ道を最高にできるように一生懸命頑張ることを伝えたいです。

昔の自分もそうですしつい結果を先に求めがちですが、一生懸命やっていれば「あのときの経験ってこうだったんだ」と、点と点がどんどん繋がっていく感覚が絶対くるので、一生懸命トライしてほしいです。

ずっと24時間、週7日頑張り続けるのもとても苦しいと思います。シーシャを吸ったり音楽を聞いたりするなど自分の大好きなものの時間を大切にしながら、ときにはギアをチェンジしてリラックスして、自分と向き合って心のチューニングをするのが大切です。

ーありがとうございました!今回貴重なお話を伺い、一生懸命頑張りながらもときにはリラックスして前に進んでもいいことを学びました。酒井大輝さんの今後のご活躍を応援しております!

取材:黒澤朝海(Twitter
編集:えるも(Twitter
執筆:ひろむ(Twitter
デザイン:安田遥(Twitter