失敗しても何度でも立ち上がれば良い!HR Manager山田魁に聞く自分の人生をつかみとる方法

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第656回目となる今回は、HR Manager・山田魁(やまだかい)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

ElevationSpaceという宇宙開発のスタートアップ企業でHR Managerをしている山田さん。現在の会社に入って活躍された経験から、自分の人生をつかみ取る方法を語っていただきました。

空手の大会で屈辱を感じた学生時代。負けず嫌いな性格に

ーはじめに簡単に自己紹介をお願いします。

山田魁と申します。現在はElevationSpaceという宇宙開発のスタートアップ企業で、HR(人事部)マネージャーをしています。HRの業務内容は採用、組織開発、人材育成、労務です。HRだけではなく、情報システムや事業開発、経理なども担当しています。

ーいろいろとされている業務のなかで、最近では具体的にどういったことをされましたか?

2023年までに、HRとして何をやるのか明確にする業務をしました。具体的な業務内容は、スタートアップの事業計画の一部である、HR部門の計画の作成です。2月に採用した正社員の雇用保険や、社会保険などの手続きをしたり、給与計算をしたり、労務関係の業務もしました。

ー今の会社の魅力はどんなところにあるか教えてください。

ミッション(使命)に魅力を感じています。今の会社のミッションは「誰もが宇宙で生活できる世界を作り、人の未来を豊かにする」です。スケールの大きな考え方がカッコよくて、一番の魅力だと思います。自分の目指す夢と会社の目指す夢が重なっている点も良いですね。

ー会社にはどんな方がいらっしゃるのでしょうか?

ミッションに共感していることが会社に入るための絶対条件なので、会社のミッションに共通した夢をもっている方が多いです。宇宙が大好きであることも社員全員に共通しています。「幼稚園のときから宇宙が好き!」というほど好きの度合いが高いですね(笑)。

人工衛星を作るにはある程度の経験が必要になってくるので、スタートアップとしては珍しく、年齢層は20代から50代と幅が広いです。

ーここからは山田さんの過去をさかのぼってお伺いします。最初のターニングポイントが12歳のときと伺ったのですが、どんなことがあったのでしょうか?

12歳のときに空手をやっていたのですが、大会で負けたにもかかわらず、メダルをもらうという屈辱的な体験をしました。出場人数が4人だったため1回戦で負けても銅メダルがもらえたのです。

そのときに、私は「負けたにもかかわらずメダルをもらうことはとても恥ずかしい」と思い「勝ってメダルをもらえるようになろう」と考え、負けず嫌いになりました。

そこから高校生で2回目のターニングポイントを迎えるわけですが、どんなことがあったでしょうか?

高校生のときにラグビー部に入っていましたが、3年間で1回しか試合に出ることができませんでした。それ以外は常にベンチ温め係で、このときも屈辱的でした。

ただ、仲間との思い出は非常に良いものだったと思っています。

ー3年間でほとんど試合に出られない中で途中でやめようとは思わなかったのでしょうか?

途中でやめることが嫌でした。高校1年生のときになんとなく「自分は試合に出られないかもしれない」と感じていましたが、最後までやり切りたかったのです。

「途中でやめることはカッコ悪いこと」という認識が当時はありましたが、いま考えるとそこまでこだわりを持たなくてもよかったと思います。ラグビーを途中でやめて受験勉強に専念すればよかったかもしれません(笑)。

うまくいかなかった就活。インターンでリベンジするも、力を発揮できず

ー大学生のときに人生で一番つらかったことがあったとお伺いしたのですが、何があったのでしょうか?

就活で絶対にベンチャーキャピタルに行きたいと思って、新卒で面接を受けたのですが、落ちてしまいました。

そのリベンジとして、4年生の9月からベンチャーキャピタルでインターンをするために、大学を休学したものの、まったくパフォーマンスが出せなかったのです。

ーベンチャーキャピタルのどんなところに魅力を感じたのでしょうか?

これは2つあります。

1つ目は、自分のミッションにつながる部分が大きいと思ったからです。ベンチャーキャピタルは、勢いのあるベンチャー企業に対して投資を行う会社です。世の中にインパクトを与える会社に投資をして手助けすることで、自分もインパクトを与える側になれる点が良いと思いました。

2つ目は、私は起業家が非常に好きだからです。ほとんどの起業家が普通の人間とは違うぶっ飛んだ発想を持っていますし、そういう人が世界を変えます。その手助けをできるベンチャーキャピタルは、私に合っていると思いました。

ーベンチャーキャピタルでインターンをされたときに迷いや不安はありましたか?

ベンチャーキャピタルはエリートの方が集まる会社なのですが、大学生のときの自分には経歴がなかったので「自分はこの中で勝ち残れるのだろうか?」と不安に思うことがありました。

ただ、ベンチャーキャピタルはエリート的要素が求められる分、リスクを取れる人間が圧倒的に少ないのです。私はどちらかと言えばエリートではなく、リスクを取れる人間だと思っているので、ベンチャーキャピタルでパフォーマンスが出せなかったことは仕方のないことだと思っています。

ー山田さん自身は、当時から自分のことをリスクが取れる人間だと思っていたのでしょうか?

思っていました。リスクを取る力に加えて、実家があるという環境が整っていたことが大きいと思います。

スタートアップは8割9割負けると言われている、多産多死の世界です。この世界でやっていけているのは、実家に帰れば、最悪どうにかなると考えているからです。

全ては、リスクを取れる環境を提供してくれた親のおかげだと思っています(笑)。

とあるコミュニティがきっかけで現在の会社に就職する

ーインターンをやめて、現在の会社に就職されたきっかけを教えてください。

『ランチトウキョウ』というスタートアップのコミュニティを運営していたときに、現在の会社の社長がイベントに参加してくれたことがきっかけです。

そのつながりから、話をしているうちに、いつのまにか現在の会社にひきずり込まれていました(笑)。

ー『ランチトウキョウ』は山田さんが作ったコミュニティなのですか?

もうひとり石井くんという人がいるのですが、その人と一緒にコミュニティを作り上げていきました。石井くんは、いま起業家として活躍しています。そのときから「自分は起業家の横にいる存在なのだな」と思っていました。

ー現在の会社に入って1年経つと思いますが、印象的な出来事はありますか?

たくさんありますね(笑)。その中でも自分の自信となったのは、会社の空気感を作りだせたことと、雇用の仕組みを0から自分がリードして作ったことです。

私が入社した当初は、会社の資金残高が大学生の貯金ほどしかなく「お金はないし、人もいないし、Slackではなんの議論もない」という状態。その中で、私がSlackで発言を繰り返して、他のメンバーが議論に参加しやすい空気感を作りました。

それからしばらくして、クラウドファンディングで500万円が会社のお金として入ります。そのお金でインターン生の給料を払おうとしたときに出てきた問題が「契約書ってどうやって作るんだ?」や「振り込み方法はどうすれば良いんだ?」などです。これらの問題を全部ひとりで解決して、7月にはじめてインターン生の方々に給料を振り込むことができました。現在はそのときの経験を活かして正社員雇用の仕組みを作っています。

今までうまくいかなかった分が、やっと今になって自分の人生をつかみ取れている感覚です。