あふれる伊豆への愛!金銭換算のできない幸せと共に生きる、自治体職員・飯塚拓也

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第547回目となる今回は、自治体職員・飯塚拓也(いいづかたくや)さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

溢れんばかりの「伊豆への愛」を、一貫性を持って発信しつづけている飯塚さん。地元愛が育まれたきっかけや伊豆の魅力、未来の夢を熱く語っていただきました。

地域学習で目覚めた地元愛。市役所職員の夢を真っ直ぐ追いかけた学生時代

ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

伊豆生まれ伊豆育ち、伊豆が大好きな「生粋の伊豆っ子」飯塚拓也です。

現在は伊豆の市役所に務めており、自治体職員としてまちの魅力を発信する仕事をしています。プライベートでは、伊豆ならではのライフスタイルを楽しみながら、SNSや体験を通じて伊豆の暮らしの魅力を広める活動をしています。

ー伊豆への愛が溢れる飯塚さんにとっての「伊豆の好きな所」を教えてください。

コンパクトに海、山、川が揃っている所が最高です。

丸一日の時間をかけなくても、日常生活の一部に豊かな自然があるのが魅力です。朝1時間だけ海辺に行きコーヒーを飲んだり、夕方軽く海へドライブして夕日を見たり、などの過ごし方ができます。

「足を伸ばせばどこにでも行ける」のは伊豆ならではの魅力だと思います。

ーそんな飯塚さんはどんな学生時代を過ごされましたか?

中学生の頃に、学校のESD教育(持続可能な社会の担い手を育む教育)の一貫として、伊豆の自然について考える総合学習を受けました。

伊豆という地元に触れながら「地元のために自分ができること」を考え、実際に地元を見て周り、アイデアを出すという授業です。地元の伊豆を観光地としての目線で見たり、自然問題や野生動物との共存を考えたりという時間を過ごす中で、僕の中で「地元への愛」が育まれました。

「ずっとここにいたい、伊豆という場所をより良くするための仕事がしたい」と思うようになったんです。

ー学習機会を通して、それまでの地元のイメージは変わりましたか?

はい。今までは当たり前のように伊豆の魅力を感じて生きていたのですが、その希少さと豊かさに気付かされました。この頃から「将来は市役所に入庁して働きたい」とビジョンを持つようになりました。

高校は、進みたいキャリアによって幅広く授業を選択できる学校を選んで入学。座学を中心に、将来を見据えて地域について深く学習しました。

学習範囲が広がると興味や意識も地区から町全体へと広がり、課題も幅広く感じるように。市役所入庁という明確なイメージを持って高校生活を過ごしました。

ー地元の活性化のためにはさまざまな方法があるかと思いますが、その中でも飯塚さんが「市の職員」に惹かれた理由を教えてください。

当時はほとんどイメージだけで決めていたのですが「市役所の職員は街のために何でもする、本気になって行動している人たち」という印象があったからです。伊豆をより良くしていきたいという想いから、一番まちに対して貢献できる仕事として、市役所で働くことを目指しました。

高校時代は野球にも打ちこみながら地域貢献の活動を行い、卒業すると共に市役所へ入庁。中学からの夢を叶える形で職員として働き始めました。

念願の市役所入庁。伊豆の魅力を広げるためにインプットをする職員生活

ー市役所入庁後の活動について教えてください。

19歳の当時、初めて担当した仕事が観光に携わる内容でした。

伊豆の中で最も重大な産業のひとつが、観光です。伊豆をより深く知るために、伊豆半島全体を買ったばかりの車で見て周りました。

僕は元々プライベートでも伊豆が大好きなのですが、この時期には「とことん伊豆を好きになってやろう!」と改めて決意して、ひたすらに伊豆を巡る日々を過ごしていました。

ー当時、改めて知った伊豆の魅力はありましたか?

伊豆の魅力は「有名な観光スポットだけではない」と再認識をしました。

土地で暮らしている人々の営みが風景の一部になっていたり、伊豆という古くから愛される地で新しいチャレンジを生み出そうとする人に出会ったり。伊豆のあらゆる一面を「好きだな」と感じました。

直接その場に行き、自分の目で見て耳で聞いて、地域の皆さんと話したからこそ感じられる「それぞれの伊豆への愛」に触れられました。そんな姿を見て、僕もこういう風になりたいと思えたんです。

同時に、かねてから関心のあった「まちづくり」のためのアクションを起こし始めました。

ー「まちづくり」について、詳しくお聞かせください。

熱海や三島を中心に、行政と民間が協力して地域活性化をする「官民連携のまちづくり」が行われていて、まちに新しい動きが生まれている様子に憧れを抱きました。

「行政と民間が、想いを語り繋がりあう形で進む地域活性化」を地元でも実現するために、プライベートで参加し人脈や経験を積みました。

地域に根差す多様な人の生き方や価値観にも同時に触れ、感銘を受けたのを覚えています。

ー当時は、どのような人たちが集まっていましたか?

公務員の方々も参加していて、市役所の職員という肩書を持ちながらNPOで活動している方もいて、アグレッシブな生き方に憧れました。

自分も市役所職員の一員であると同時に、伊豆を愛する1人の住民としても動いていいんだと気づき、選択肢と未来が広がりました。

「地元が好き」という想いのまま純粋に行動していいと確信を持てたことが大きいです。愛が1番の原動力なのだ、と改めて気づかされました。

移住者との交流で気づいた「伊豆を愛する理由」。当たり前のようにそこに「あったもの」

ー飯塚さんの地元愛が、現在の形に至ったきっかけを教えてください。

21歳の時に、伊豆に移住をしてきた方々と出会ったことです。

公私共に親交があった移住者のコミュニティの方々と関わりを持たせていただく中で、彼らが「金銭換算できない価値」に真の幸せを感じていることを知りました。

伊豆の地で生まれ育った人には当たり前の自然の中で得られる原体験。伊豆での豊かな暮らしを、元々の住人以上にイキイキと、大切にして暮らしていたんです。

そんな彼らの暮らしから、僕らは「当たり前のように伊豆の自然や魅力を得ているんだ」とあらためて気づきました。

例えば、祖父が自分でガレージの屋根を直している風景。当然のように自給自足でお米を作り、それを僕らが食べていること。先代から受け継いだ伊豆の地が、今を生きる人の手により豊かな生活になり、自分の暮らしの一部になっている……。

今まで当然のように「そこにあるもの」として認識していたものを見つめ直せたことで、自分が伊豆を好きな理由は「この豊かな暮らしそのものが好きだからだ」とハッキリと言語化できるようになりました。

20年以上「居心地がいい」と感じていた正体に、ようやく気づけた感覚でした。この気持ちこそが、現在の僕の生き方であり価値観の軸になっています。

自分自身が伊豆の暮らしで感じられる幸せ・豊かさに気づけたからこそ「今まで以上に、伊豆の暮らしをとことん追求しよう、楽しもう」と決意し、現在に至ります。

暮らしの中に価値がある。伊豆愛が溢れる飯塚さんのこれからのチャレンジ

ー飯塚さんのこれからの挑戦を教えてください。

将来的には「伊豆の暮らしを体験できる宿」を開業したいと思っています。

自分が価値を感じている伊豆の自然やアクティビティを、体験型のコンテンツに変換し、訪れた人に提供できる宿を作りたいです。

現在は、仕事をしながら体験コンテンツの引き出しづくりに没頭しています。

例えば、自分で切りだした薪で火を点けてキャンプをしたり、自分で川で蟹を捕って美味しく食べたり。この場所を通じて、伊豆での幸せなひと時を体験してもらえたらいいなと思っています。

伊豆の魅力を広めるだけではなく、元々住んでいる人が魅力を再認識できる場所にもしたいですね。

この夢を抱いたきっかけも、移住者の方々との出会いです。彼らの「好きなことを生業にしよう」という生き方に僕も共感を抱いています。自治体職員として、大好きな地元の活性化のために力を尽くしながら、自分自身の夢も追いかけていきたいです。

ー飯塚さんが胸に抱く伊豆への熱い気持ちが伝わりました!

現在、SNSで伊豆の豊かなライフスタイルを発信しています。

オリジナルの「#izulife」という造語を作り、インスタグラムを中心に投稿しているのでぜひ見てみてください。

伊豆は、暮らしの中にこそ魅力があり、価値があります。写真から少しでもその魅力が伝われば幸いです。

しかしもちろん、写真だけではリアルな伊豆は伝わりません。ぜひ自分の目で、耳で、肌で伊豆を感じにきてくださいね。

ーありがとうございました!飯塚さんの今後のご活躍を応援しております!

今回のゲスト・飯塚さんが伊豆の魅力を発信するアカウントの詳細はこちら。

取材:山崎貴大(Twitter
執筆:METLOZAPP(Twitter/BLOG
デザイン:高橋りえ(Twitter