様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第452回目となる今回は、シンガーソングライターユニットRons weekのHonamiさんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。
シンガーソングライターユニットRons weekとして活動しているHonamiさん。なぜシンガーソングライターを目指そうと思ったのか、MasamiさんとRons weekを結成した秘話などを教えていただきました。
厳しい部活の合間に聴いていた音楽が心の支えに
ーまずは簡単に自己紹介をお願いします。
シンガーソングライターユニット「Rons week」のHonamiと申します。シンガーソングライターになるため、18歳に石川から上京しました。現在は、Rons weekのギター&ボーカルを担当しています。
相方のMasamiとは通っていた専門学校で出会い、それぞれソロで活動していましたが、2020年7月にRons weekを結成しました。
ー幼いころから歌手に憧れを抱いていたのでしょうか?
初めて歌手になりたいと思ったのは5歳の頃でした。周りの人にも「大きくなったら将来は歌手になりたい!」と公言していたくらいで……(笑)。
『亜麻色の髪の乙女』という曲が大好きで、毎日のように歌っていたのを今でも覚えています。
ー音楽以外の面で、幼少期はどのように過ごしていたのでしょうか?
小学生の頃は習い事に忙しい子どもでした。ピアノにヒップホップダンス、バトン、習字など……。
小学6年生になり、学校の陸上クラブに所属することになったのがきっかけで中学校も陸上部に入りました。リレーで全国大会に出場した経験もあります。走るのが大好きだったので、石川県で一番強い高校に進学しました。
ー強豪校というと厳しいイメージですが、実際はどうでしたか?
そうですね。「髪は決まった長さ以上に伸ばしてはいけない」「SNSは一切禁止」など、さまざまなルールがありました。特に上下関係が厳しかったですね。
精神的に辛い時期もありましたが、私は頑固な性格で……(笑)。1回決めたことは必ずやり遂げたいと思う人間なので、3年間辞めることなく無事卒業することができました。
今は途中で投げ出さなくて本当に良かったと思っています。陸上部の経験から何事も全力で頑張れば、後々自信につながると学びました。
ー厳しい部活を3年間やり遂げられた背景には何か心の支えがあったのでしょうか?
部活の経験は今では良い思い出ですが、当時は本当につらかったです。そんなとき支えになったのが通学時間に聴いていた音楽でした。休みの日にはカラオケに行ってひたすら歌ったことも……。今思い返すと音楽に支えられていたのかもしれません。
「私と同じように悩んでいる人を歌で支えたい」と音楽に対する気持ちが強くなり、シンガーソングライターになる決意をしました。
ー決めたことはやり遂げるというHonamiさん。部活動以外に悩んだ経験はありましたか?
私は幼少期から高校生まで吃音(言葉が円滑に話せない障がい)に悩んでいました。人と会話する際や人前で話さなければならないシチュエーションなどはとてもつらかったです。でも、陸上部に入って少しずつ改善されていきました。
ーそうだったのですね。具体的にどうやって乗り越えたのでしょうか?
きっかけは合宿や大会のあとに強制的に設けられる1人1人のトークタイムです。自分の思ったことを発言しなければなりませんでした。
部活の仲間に対して不安があれば、いつまでも話すことに慣れずにいたと思います。でも、上手く話せないときも部員達が応援してくれました。
それから少しずつ自分からも部活中に「頑張っていきましょう!」と部員に声掛けするように努力するように。すると次第に吃音に悩むことがなくなりました。
吃音に悩んでいる方は「なぜ声が出ないのかな」と自分を責めてしまいますよね。でも、周りは意外と気にしていなかったり、同じ悩みを持っている人もいたりするので安心してほしいと思います。
母の後押しで本格的にシンガーソングライターを目指す日々
ー本格的にシンガーソングライターを目指したのはどのタイミングだったのでしょうか?
母に「厳しい部活の励みになっていた音楽を仕事にしたい」と伝えた16歳の頃です。歌手は現実的ではない職業で成功するかどうかもわからないので、勇気を振り絞って伝えたのを覚えています。
母は私が告白したあとすぐに、「いいやん!本格的に歌手を目指すなら、ボイトレに通ってみたら?」と提案してくれました。
それから土日の部活が終わったあとは、母親に車で送ってもらいボイトレに通うことに。当時から、月に数本ライブを行っていましたが、母は夜遅くまで私のスケジュールに付き添ってくれました。
ーお母様が歌手になるという夢の後押しをしてくれたのですね!高校卒業後はどのような進路に進んだのでしょうか?
東京の専門学校に進みました。歌手=東京という安直なイメージで東京を選択しました(笑)。
東京に住む前に街や学校などの雰囲気をしっかりと確認しておきたかったので、専門学校を決める前に1人で東京に何度も足を運んだのを覚えています。
私は地元の田舎よりも都会が好きなのか、初めて東京を訪れたときもどこか親近感がありました。東京に親戚が住んでいたので助けを借りながら、入学して約半年経ってからやっと音楽活動をスタートすることに。
ーお母様と離れて暮らすことになったのですね。1人暮らしは寂しくなかったですか?
実は、一度もホームシックになったことがありません(笑)。地元へ帰りたいと思ったことがありませんでした。
私は根っからの頑固なので「帰ったら終わりだな。夢をかなえるためには東京で頑張らないと」と心の中で思っていましたね。
相方Masamiさんと出会い、同じ夢を追いかけた専門学校時代
ーRons Weekの相方であるMasamiさんと仲良くなったきっかけを教えてください。
専門学校が同じでした。授業で「かわいい子がいるな。仲良くなりたい」と思い、私から話しかけたのを覚えています。Masamiは当時から歌がとても上手でした。ほかにも仲良くしていた友人はいましたが、Masamiとは一番話が合いましたね。
音楽の方向性も似ていて、ずっと一緒に行動するように。文化祭で一緒に演奏したのがきっかけで、さらに仲が深まりました。
ー専門学校のときにユニットを組もうとはならなかったのでしょうか?
当時は、お互いシンガーソングライターを目指していたので、2人で一緒に音楽をするとはまったく考えていませんでした。一番仲の良い友達だけどライバル的な存在でしたね。
ー専門学校を卒業後はどのような道を歩んだのでしょうか?
学生の頃からライブを月に2~3本行っていたのですが、そのタイミングで広告代理店社の方が私のSNSを見てくれたそうで……。ライブまで足を運んできてくれて、スカウトしてくれました。それがきっかけで事務所に入ることに。
私の意見を尊重してくれて自分に合う事務所だと感じ入所することにしました。
ー事務所での活動はいかがでしたか?
初めは事務所も自分の意見を尊重してくれていましたが、活動していく上で段々とズレを感じ始めました。事務所はもちろん売上を考える必要があるので色々な活動を勧めてくれましたが、自分のやりたい仕事とのギャップが大きくなっていったのです。
次第に事務所を退所することを検討し始めました。
お互いにつらい時期を乗り越え、ユニットを結成
ーその後、どのタイミングでユニットを組むことになったのでしょうか?
卒業後は私もMasamiも同じ事務所に所属していたのですが、次第に事務所との方向性の違いが顕著になっていきました。さらに、コロナが流行し始めた時期と被ったこともあり、自分自身の活動に対して方向性がわからなくなってしまったのです。
「この先どうしたらもっと上手く行くのかな」「事務所の方向性に合わせて仕事していくべきだろうか」と、不安で押しつぶされそうになっていた時期でした。
そのときに一番の支えになってくれたのがMasamiです。Masamiも私と同じで、この先どうしていけば良いか悩んでいたみたいで……。
コロナが流行する前に、よく居酒屋でお酒を飲みながら話していた思い出からできたのが『ほろよい』という曲です(笑)。
さまざまなタイミングが重なって自然に2人でいる時間が増えるとともに、「2人で一緒にユニットを組んでみようか」という決断に至りました。そして2人で事務所を退所することになったのです。
ーMasamiさんがHonamiさんお互いが心の支えとなっていったのですね。ユニットの話を切り出したのはどちらだったのでしょうか?
私です。内心「断られたらどうしよう……」とドキドキしましたが、「2人でいい音楽が作れる」と自信を持っていたので伝えることができました。
結果的にMasamiも「私もそう思っていた」と言ってくれたので良かったです。
ユニットになると仲が悪くなる場合もあるという話をよく聞くのですが、今でもMasamiは音楽も、プライベートでも一番の理解者ですね。
ーHonamiさんは自分の気持ちを伝えることで人生を切り開いているのですね。
そうかもしれません。思いを伝えることは勇気がいります。でも、自分の気持ちに正直でいれば大丈夫。
私は「絶対歌手になる」「2人でやれば絶対上手くいく」という強い意志があったからMasamiにユニットの話を切り出せました。母に歌手になると伝えるときも、まったく心にブレはありませんでしたね。
ーRons weekというユニット名の由来について教えてください!
2人の共通点が「丸顔」だったのが由来です(笑)。
ユニット名は英語がいいねと話していたのですが、「Ron」がどこかの国の言葉で「まる」という意味だったので選びました。また、毎日の音楽で彩りを届けたいという気持ちを込めて「Rons week」と名付けました。
ー最後にRons weekの今後の展望や、U-29世代の皆さんにメッセージがあればお願いします。
2年後にはZeppでライブができるように自分たちができることをやろうと思っています!
SNSやメディア出演など音楽に関わることであれば全部挑戦していきたいです。将来的には私が高校生のころ音楽が支えだったように、皆さんが辛いときや元気になりたいとき生活の一部を支えられるアーティストでありたいと思っています。
ーありがとうございました!Rons weekの毎日の音楽に彩りを届けたいというモットーがとても素敵だなと思いました。Honamiさんの今後のご活躍を応援しております!
取材:吉永里美(Twitter/note)
執筆:Risa(Twitter)
デザイン:高橋りえ(Twitter)