1つの行動で人生は変わる。LABOT・栗林 和矢が大切にしている価値観とは

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第478回目となる今回は、株式会社LABOT 取締役COO・栗林 和矢さんをゲストにお迎えし、現在のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。

現在、株式会社LABOTで取締役COO(最高執行責任者)として活躍している栗林さん。これまでの人生で大切にしてきた価値観や、株式会社LABOTに入社するまでに起こった数々の転機について語っていただきました。

入院をきっかけに「世の中の解像度」が上がった中学時代

ーまずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

株式会社LABOT・取締役COOの栗林和矢と申します。現在、23歳です。

株式会社LABOTは、日本で初めてISA(Income Share Agreement)という仕組みを取り入れたプログラミングスクールを開校し、主に教育事業を展開しています。

*ISA:所得分配契約…在学中には学費の支払いが不要で、就職後に決定した年収に連動して支払額が決定する契約

ー23歳で株式会社LABOT・取締役COOとして活躍されている栗林さん。幼少期はどんな性格だったのでしょうか?

小学校の頃は、自分の席に大人しく座っていられないくらい落ち着きのない子どもでした。また、比較的気になったものに対して「これって何だろう?」「どうなっているんだろう?」と疑問を持つ性格でもありました。

僕の地元は田舎だったので、図鑑に載っている薬草や昆虫を1人で探しに行った思い出があります。ほかにも、知らないことは積極的に調べていたり、興味のあることはとりあえずやってみたり……。

ー好奇心旺盛だったのですね。幼少期で思い出に残っている大きな出来事はありましたか?

中学生の頃に経験した、事故での大きなケガでしょうか。

右腕を300針縫うほどの大ケガで、当時は「何で僕が怪我をしなきゃいけないのだろう」と絶望感を抱いていました。今思うと、ケガをしたからこそ見えた世界観や価値観の変化があったので、得られたことも大きかったと思います。

ーケガから得られたこと……。具体的にはどのようなことですか?

大きなケガだったので病院に入院する期間があったのですが、治療やリハビリを経験するなか、僕よりも大きなケガや病気を患っている人をたくさん見てきました。僕は300針で何とかなりましたが、足や腕を切断された方もたくさんいました。

そのような方たちを目にしていると、徐々にではありますが、絶望を感じていた自分の状況は「大したことないな……」と感じるように……。

また、入院中寝たきりの時期もあったので、1人では何もできない無力感もあり、改めて自分の小ささを見つめ直す期間になったように思います。

ーケガでの入院を経て、価値観や行動はどう変化しましたか?

日常の何気ないことにでもありがたみを感じられるようになりました。また、幼少期から「とりあえずやってみる精神」で突っ走って来ましたが、考えなしに突っ走ることで痛い目をみることもあるというのは身を持って体験しましたね(笑)。

ただ、自分の知らなかったことを知ったとき、それまでと同じものを見ていても見え方や感じ方が変わることがあると気づいていきました。僕はそれを世の中の「解像度が上がる」と表現しています。中学生の頃の入院体験は、まさに世の中の解像度が上がった出来事でした。

今、このようにお話しをする機会をいただいて、自分の過去を振り返ってみると僕は世の中の解像度が上がるタイミングが好きなのだなと感じます。「興味を持ったらまずは動いてみること」は幼少期から変わっていないなと思いました。

ポジティブな言い訳が行動力に!価値観が変化した東大生との出会い

ー高校卒業後の進路について教えてください。

僕は、家庭の事情や金銭的な問題で幼少期から大学には行けないと言われていたのですが、中学時代のケガを理由に医療系の専門学校へ進学。日中働きながら、夜に学校へ通っていました。

専門学校への進学にあたって東京にアクセスしやすい地域に出てきたので、「せっかく都会に行く機会があるのだから」と色々な人と会う機会を作っていきました。

そのなかで、たまたま東大生と出会い、僕の価値観が変わるきっかけになりました。

ーすごいですね!勇気を出して掴んだ東大生との出会いはどうでしたか?

田舎から出てきたばかりの僕は「とにかく自分のことを知ってほしい!」と今までの出来事を一方的に話してしまったのですが、話し終えた僕に、その東大生の方は「君、何話しているか分からない」とバッサリ言い切りました。こんなに正直に意見されたのは初めてだったので、逆に新鮮でしたね(笑)。

東大生といえば、僕にとって、某テレビ番組の出演している方のようなイメージしかなく、性格や感性が尖っている人ばかりがいると思っていた分、衝撃は大きかったです。

しかし、不思議と意見されたことに嫌な感情は湧かず、この人たちがどんな風に考えているのか、に興味を持ちました。そして、できるだけその人たちと過ごす時間を作るように行動しました。

日本最高峰の大学に通っている人たちの考え方や価値観に触れるうちに「僕はなんて狭いところで生きてきたんだ」「僕ってなんて小さい人間なんだ」と気づくきっかけになり、価値観も変わっていきました。東大生との出会いや過ごした時間は僕の価値観が広がって、振り返ってみると学びの多い出来事だったと思います。

ー行動力が新たな価値観を育てるきっかけになったのですね!

自分が尊敬する人などを見ていると、やっぱり動いてしまうという部分があります。「尊敬する人もやってるんだから自分もやってみよう」「周りができているなら自分もできるのではないか」といったように、何かポジティブな言い訳を作って動くようにしていますね。

「自分が価値を見出せることは何か?」葛藤と無力感を抱いた20歳

ー東大生との出会いを経て、その後のキャリアに影響がありましたか?

はい。その後も専門学校行きながら、学校のない日は毎週のように東大生と会う時間を設けたり、何か機会があれば連絡したりと、積極的にコミュニケーションをとっていました。

住んでいるところから片道1時間かけて都内へ行き、話す時間を作るなかで東大生たちが会社を作ることになり……。ご縁があってその会社でインターンを始めたのですが、結果的には専門学校を辞めてフルコミットする形になりました。

ー仕事は順調に進んで行ったのでしょうか?

いいえ。当時、東大生たちが展開していた事業は教育関係のサービスで……。簡単に言えば、大学受験を支援する学習塾です。

少人数で事業を運営していたので、僕自身も色々な業務を兼務していたのですが、やっぱり受験業界において「学歴」は超えられない壁であり、僕の弱いところだと痛感しました。やはり、教育に携わる部分では「学歴」が重要です。同じ内容を教えていたとしても、受験をクリアした大学生が教えるのと、高卒の僕が教えるのとでは説得力が違います。

何もない僕が、どうすればこの会社で価値を還元できるだろうと葛藤したり、大きな無力感に襲われました。

ーその無力感はどうやって乗り越えましたか?

「じゃあ、僕は何ができるのか?」と考えた時に、当時は集客のためのメディアを作ったり、それを運用したりする業務に携わっていたので、プログラミングやものづくりの部分で自分の価値を見出していきたいと考えました。

ただ、結果的に学習塾では価値を還元できないと挫折。その後はプログラミングや何か作ることを得意分野にしようと、活動をシフトしていきました。

人間は誰しも異なる考え方を持つ。小さな意識がきっかけでLABOTに入社

ー自分の価値をプログラミングにシフトすると決めた栗林さん。プログラミングのスキルは独学で習得されたのですか?

学習塾で働きながら独学でスキルを習得しようと努力はしていたのですが、限られた時間の中で、初学者が片手間で身につけられるほど、浅いものではありませんでした。このまま悩んで中途半端になってしまうのはよくないと考え、Twitterでプログラミングを教えてくれる人を探しました。DMでエンジニアの方に「教えてください!」と懇願しました……(笑)。

運良く快諾してもらえたので、小さな受託企業に弟子入りすることができ、朝から晩までオフィスに入り浸ってコードを書きましたね。仕事も手伝いながら勉強させてもらっていたのですが、少しずつスキルが身についていることが実感できました。

今振り返ると、凹んでいた気持ちがポジティブに変わっていったタイミングだったと思います。

ーなるほど!朝から晩までコードを書き続けるのは大変だったのでは……?

もちろん、辛いこともありました。

でも、これを頑張れば自分の理想に近づけるという期待もあったので、多少辛くても乗り越えられました。むしろ「自分にもできた!」という学ぶ楽しみを改めて実感できるようになり、1日15時間や16時間勉強するように。

エンジニアの方の力を借りながら、目標に向かって学習方針を設計し、効率的なインプットやアウトプットの道筋が明確的だったことが、学習を継続できた大きな理由だと感じています。

ーその後、株式会社LABOTに入社することになりますが、なにかきっかけがあったのでしょうか?

はい。僕が弟子入りしていた会社がLABOTにジョインすることとなったのが、入社のきっかけです。

僕は弟子入りした会社で開発以外にも書類の整理なども業務として行っていました。そのため、会社がLABOTと一緒に事業を行っていくにあたり、引っ越しの準備やオフィスの引き払いなども僕が担当していていました。

引っ越しのに関する連絡をするために、LABOTの代表・鶴田とやりとりを行っていたのですが、受け取った連絡にひたすら即レスしていたら「進め方やスピード感がいいね!」と評価され……(笑)。それがきっかけで、LABOTにアルバイトとしてジョインすることになりました。

LABOTは「人の可能性に投資する」というビジョンを掲げています。アルバイトをするなかで、プログラミングを学習していたときの感覚が抜けず、自分にできる業務を巻き取っていたら、代表の鶴田からお誘いを受けました。

もともと、鶴田が考える世界観や展開する事業に対して共感をしていたため、喜んで入社しました。

ーレスポンスのスピード感がきっかけなのですね!普段からコミュニケーションを大切にされているのですか?

そうですね。何気ないコミュニケーションのなかでも相手の目的や意図を考えて、レスポンスすることは意識しています。

特に、僕が働いているスタートアップ企業などでは、少ない人数で大きなことへチャレンジしていきます。そういった環境下では、さまざまな情報が錯綜しがちですが、それら一つ一つの前後文脈や意図を汲み取って、目的に対して何が適切か考えていくことが大切だと感じています。

その際に、「そもそも自分と他人とでは同じことを言っていても意図が違う」という前提にたってコミュニケーションすることが必要だと思います。

ー「自分と他人は違う」。確かにその通りですね!

最近読んだ本で知ったのですが、「環世界」と呼ばれる考え方に近いのかなと考えています。環世界とは、ざっくりいうと“この世に生きるもの全てがそれぞれ異なる特有の感覚を持ちと、主体的に行動している”という考え方です。

僕たちは、これまでの経験や持っている知識を組み合わせて目の前の物事を解釈していますよね。その人独自の世界観で物事を捉えています。自分と他人の視点や解釈はそもそも絶対に違うという前提でコミュニケーションを取れば、お互いが気持ちよく関わっていけると思うんです。

コミュニケーションだけでなく人間関係全般においても、大切な考え方だと思います。「誰が何をできるのか」「どんなことをやりたいのか」という部分を意識しながら仕事を進めていく。相手の目的や意図・考え方を知ることは、仕事をする上でも重要です。

僕自身、できないこともまだまだたくさんありますが、この考え方は大切にしていることの一つですね。

ー勉強になります!最後にこの記事を読んでいるユニーク世代にメッセージをお願いします。

学歴もなく、バスが1時間に1本しかない田舎出身の僕でも、きっかけ1つで人生は大きく変わってくると感じています。もちろん、僕自身もこれからどんどん結果を出していきたい。LABOTが掲げる世界観やビジョンをしっかり達成していきたいたいと努力している途中です。

皆さんと一緒に頑張っていきたいと思います。僕の話が誰かの参考になれば幸いです。ありがとうございます。

ーありがとうございました!栗林さんの今後のご活躍を応援しております!

取材者:松村ひかり(Instagram / Twitter
執筆者:ともだ(Twitter
デザイン:高橋りえ(Twitter